幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『Lautenmusik der Renaissance』 Dániel Benkö

『Lautenmusik der Renaissance』 Dániel Benkö
ルネッサンスリュート音楽


CD: TELDEC Schallplatten GmbH, Hamburg
Das Alte Werk/reference
8.44009 ZS (1988)
Printed in West Germany

KING RECORD CO., LTD., Tokyo, Japan
K25Y 9020

 

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Lautenmusik der Renaissance
Lute Music - Musique de luth

1. Matthäus Waissel (um 1540-1602): Tänze aus: „Tabulatura“ (1573) 6:50
トイス・ヴァイセル: 「タブラトゥーラ」よりの舞曲集
(舞曲 シュプルンク 舞曲 舞曲 舞曲 シュプルンク)
2. Valelntinus Bakfark (1507-1576): Fantasia I (4 vocum) [aus „Intabulatura“ (Lyon 1553) 3:09
ヴァレンティヌス・バクファルク: ファンタジア 第1番(4声)
「インタブラトゥーラ」(リヨン 1553)より
3. Anonymus: Tänze aus: „Danziger Manuskript“ 4:26
作者不詳: ダンツィヒ写本よりの舞曲集(17世紀)
4. „Danza“ und „Pezzo Tedesco“ 2:20
舞曲とドイツ風小品(16世紀)
5. Valentinus Bakfark: Ung gay bergier [nach Thomas Créquillon) aus: „Intabulatura“] 2:30
ヴァレンティヌス・バクファルク: 陽気な羊飼い(トマス・クレキヨンのシャンソンによる)
「インタブラトゥーラ」(リヨン 1553)より
6. Anonymus: Tänze aus: „Vietórisz-Manuskript“ [(17. Jh.) Olach-Tanz - Mascarada - Bergamasca - Polonica] 5:33
作者不詳: ヴィエトーリス写本よりの舞曲集(17世紀)
(オラッハ・タンツ マスカラータ ベルガマスカ ポロニカ)
7. Francis Cutting (17. Jh.): Gaillard* 1:38
フランシス・カッティング: ガリヤード
8. John Dowland (1563-1626): Melancholy Gaillard 2:23
ジョン・ダウランド: メランコリー・ガリヤード
9. John Dowland: Allemande „My lady Hunssdon’s puffe“* 1:29
ジョン・ダウランド: アルマンド「ハンスドン夫人のパフ」
10. Baruch Bulman (16. Jh.): Pavan* 3:28
バラック・バルマン: パヴァン
11. Melchior Newsidler (1531-1591/92): Der Fuggerin Tanrz [aus: „Teutsch Lautenbuch“ (1574)] 1:02
メルヒオール・ノイジドラー: フッガー家の踊り
「ドイツ・リュート曲集」(1574)より
12. Hans Newsidler (1508-1563): Gassenhauer 1:06
ハンス・ノイジドラー: 町の歌
13. Hans Newsidler: „Wascha mesa“ und „Der Hupff auff“ [aus: „Ein newgeordent künstlich Lautenbuch“ (1536)] 1:56
ヴァシャ・メザと後奏舞曲
「新編精選リュート曲集」(1536)より
14. Francesco da Milano (1497-1543): Ricercare 23 3:07
フランチェスコ・ダ・ミラノ: リチェルカーレ 第23番
15. Joan Ambrosia Dalza (um 1500): Pavane alla Ferrarese 1:39
ホアン・アンブロジオ・ダルサ: フェラーラパヴァーヌ
16. Saltarello 1:49
サルタレルロ
17. Piva 0:59
ピーヴァ
18. Valentinus Bakfark: Or vien ca vien [nach Clément Janequin) aus: „Intabulatura“ (Lyon 1553)] 3:41
ヴァレンティヌス・バクファルク: オル・ヴィアン・サ・ヴィアン(クレマン・ジャヌカンシャンソンによる)(リヨン 1553)


Daniel Benko: laute und orphoreon*
ダニエル・ベンケー(リュート、オルファリオン)

録音: 1981年1月4日、2月3日~4日、ベルリン、テルデック・スタジオ


◆ダニエル・ベンケーによる解説(日本語訳)より◆

「このディスクは、〈ルネサンス・ポップ・ミュージック〉と題されてもよかったであろう。なぜならここには、16世紀に最もポピュラーだったメロディー、国際的に知られたテーマが集められているからだ。(中略)これらはイタリアからイギリスに至るまで、ブルゴーニュの宮廷からクラカウの王城に至るまで、広く歌われ、あるいは踊られた。ある舞曲はドイツから、他の舞曲はイタリア、ハンガリーから、あるいは遠くイギリスから起こったにせよ、それらは多分に共通性を持っていた。なぜなら当時、音楽家たちはひとつの国際的な語法を用いたからである。だからこそ、あるひとつの旋律が、その出自を問わず、ヨーロッパ中の幾つかの文化的中心地に現れ、親しまれることにもなった。それが民族的性格を失うまで、長くはかからなかった。」
「当ディスクの冒頭に置かれた旋律は、おそらく16世紀に最もポピュラーだったもののひとつである。その元の(だがところで、どれを“元の”とすべきであろう?)題はドイツ語で〈私はかつてそぞろ歩いた Ich gieng einmal spacieren〉というが、この同じ旋律は他にも呆れるばかり数多い名前のもとに現れてくる。たとえばネーデルランドでは〈アルマンドノネット Almande Nonnette:〉、イギリスでは〈女王のアルマン Queen's Alman〉、イタリアでは〈ラ・モニカ La Monicha〉および〈天の白百合 Celeste Giglio〉。フランスでは〈とある若い娘 Une jeune fillette〉〈とある生娘 Une vierge pucelle〉あるいは〈わたしの佳人よ…… Ma belle si ton〉となる。時には〈神の良き御業をわれと共に讃えよ Helft mir Gott's Gute preisen〉という教会向きのヴァージョンもある。この曲はまず器楽曲として生まれ、のちに歌詞が与えられたものか、あるいは、もともと歌詞がついていたのを後世の作曲家たちが除いてしまったものか、いずれとも決めがたい。ちなみにイタリア、フランス、オランダなどの器楽曲でも、そのタイトルがもと歌曲であったことを思わせながら、該当する歌詞の伝えられていないものは多い。それらについても、この曲と同じことが言える。この曲は、プロイセンマテウス・ヴァイセリウスまたはヴァイセルにより出版されたが、彼はリュートの教師兼演奏家であった。これらの活動を兼ねることは、むろん普通に行なわれた。リュート奏者は、何でもこなした。彼は他の作曲家たちの古い旋律を探しては編曲し彼自身の曲集に加えたが(剽窃という観念は当時なかった)、また一方彼自身の作品も書き、それらを演奏しながら広く世間を――もちろん成功した奏者ならばであるが――めぐり歩いた。」
「ともあれ、私はこの選曲の中に、各年代を最もよく代表するリュート音楽を含めようと試みた。ここには、通俗なものから洗練されたものに、あるいは民俗的な舞曲から最も手の込んだファンタジアに至るまで、リュート音楽のあらゆる面が聴かれるであろう。」


◆本CDについて◆

輸入盤に別冊日本語解説(全8頁)付。
原盤ブックレット(全35頁)にダニエル・ベンケーによる解説(英文、独・仏訳)。別冊に原盤解説の日本語訳(浜田滋郎 訳)と「ダニエル・ベンケーについて」(浜田滋郎)。

LPはテレフンケン(Telefunken)から1981年に「Das Alte Werk」シリーズとしてリリースされました(ジャケットはリュートを持ったベンケー)。

★★★★☆


Dániel Benkő - Lautenmusik der Renaissance (Das alte werk)

youtu.be

 

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