幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『フィリップ・ド・ヴィトリ: モテットとシャンソン ― アルス・ノヴァの時代』 セクエンツィア

『フィリップ・ド・ヴィトリ: モテットとシャンソン ― アルス・ノヴァの時代』
Philippe de Vitry (1291-1361)
Motets & Chansons
セクエンツィア
Sequentia


CD: BMGビクター株式会社 
BVCD-33 (1991年) 
税込定価¥3,000(税抜価格¥2,913)

 

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帯文: 

「今年生誕700年を迎えているフィリップ・ド・ヴィトリの貴重な作品集! 
中世ヨーロッパ音楽の演奏で国際的な名声を博すセクエンツィアのニュー・アルバム。
〔生誕700年記念〕」


帯裏文: 

「ヴィトリは聖職にあり、道徳的哲学者・詩人・音楽家でもあった。理論家としては新しい定量記譜法、モーダルリズムからの脱却を扱った著書『アルス・ノヴァ』(本来は〈新しい技法〉の意)が有名である。彼は14世紀フランスの新しい音楽様式と音楽思潮の転換を計ってアルス・ノヴァに至らしめた張本人でもあり、音楽史上極めて重要な作曲家である。このCDは、今や中世ヨーロッパ音楽のエキスパートとして世界のトップ・アンサンブルと評価されているセクエンツィアによる、現代の研究から真作と確定されている4曲を含むヴィトリの全てを、確かな時代考証を経た素晴らしい演奏によって収録した価値あるものである。」


1.おお灰色の群衆よ/王は詩句の/王の中の王(モテット) 2:06 
O canenda vulgo per compita (5) / Rex quem metrorum (8) / Rex regum (4) / Contratenor (7) (Motet)
2.慰める力があるのは私だけ(デコール) 6:02 
Je qui paoir seule ai de conforter (2,3) (Descort)
3.首をつなげ/よいものを創造する/わたしに自由を、主よ(モテット) 1:41 
Colla iugo subdere (5) / Bona condit cetera (8) / Libera me, Domine (7) (Motet)
4.いとも堅固な信頼/とどまれ三位一体よ/アレルヤ、祝福あれ(モテット) 2:59 
Firmissime fidem teneamus (4) / Adesto, sancta trinitas (8) / Alleluya, Benedictus (7) (Motet)
5.ネブカドネザールの像/ウゴ、ウゴ、羨望の君よ/羨望の師(モテット) 1:36 
Cum statua Nebucodonasor (6) / Hugo, Hugo, princeps invidie (5) / Magister invidie (8) / (Motet)
6.いとも堅固な信頼(インタブラチュア編曲)
Firmissime fidem teneamus (7) (Intabulation)
7.恥を知らずにさまよい/ほめるべき美徳/恵み深い救い主の母(モテット) 2:46 
Impudenter circumivi (6) / Virtutibus Laudabilis (5) / Contratenor (8) / Tenor (4) (Motet)
8.ああ、「愛」よ(シャンソン) 4:17 
Ay, amours / tant me dure (2,3) (Chanson)
9.雄鶏が鳴き騒ぐ/新たに魂は/ネウマ(モテット) 1:40 
Garrit Gallus flendo dolorose (5) / In nova fert animus (6) / Neuma (1) (Motet)
10.あの良識ある「摂理」が(ヴィルレー) 4:05 
Providence la senée (1,3) (Virelai)
11.空しい栄光に栄え/力は栄え/ネウマ(モテット) 1:46 
Floret cum vana gloria (4) / Florens vigor ulciscendo (8) / Neuma (7) (Motet)
12.新しいハマンは示した/ああ偽りの幸運/ああわが魂は悲しむ(モテット) 2:03 
Aman novi probatur exitu (6) / Heu, Fortuna subdola (5) / Heu me, tristis est anima mea (1,8) (Motet)
13.慈悲深いペテロ/悲しみの涙を乾かし(モテット) 6:32 
Petre Clemens, tam re quam nimine (4) / Lugentium siccentur occuli plaudant senes (8) / Tenor (7,1) (Motet)
14.思いに満たされ(レー) 13:51 
Talant j'ai que d'obeir (2,3) (Lai)
15.たじろがぬ種族/盗賊の集合/正当にこれらに耐え(モテット) 1:29 
Tribum, que non abhorruit (5) / Quoniam secta latronum (4) / Merito hec patimur (8) (Motet)
16.聖なる信頼のらっぱ/木の頂で幸いに包まれて/わたしは処女である(モテット) 2:01 
Tuba sacre fidei (4) / In arboris empiro prospere (8) / Libera me, Domine (7) (Motet)
17.たじろがぬ種族(インタブラチュア編曲) 2:04 
Tribum, que non abhorruit (7) (Intabulation)
18.もし この命あるかぎり(シャンソン) 3:09 
Se j'onques a mon vivant (2) (Chanson)
19.忠実に愛することこそ甘い喜び/苦悩からの平癒/(第5旋法のネウマ)(モテット) 2:18 
Douce playsance est d'amer loyament (2) / Garison selon nature (4) / Neuma quinti toni (1) (Motet)
20.何故驚くのか、乙女たちよ/乙女のいと美しい姿/喜べ、栄光の乙女(モテット) 1:56 
Vos quid admiramini, virgines (6) / Gratissima virginis species (5) / Contratenor (4) / Gaude gloriosa (7) (Motet)

Total Time - 67:57 


セクエンツィア
SEQUENTIA 
中世音楽アンサンブル
Ensemble für Musik des Mittelalters 
Ensemble for Medieval Music 
指揮: ベンジャミン・バグビー&バーバラ・ソーントン
Leitung/direction: Benjamin Bagby & Barbara Thornton

ベンジャミン・バグビー(歌、ハープ) 
Benjamin Bagby (1), (Gesang, Harfe/voice, harp)
バーバラ・ソーントン(歌) 
Barbara Thornton (2), (Gesang/voice)
パトリシア・ニーリー(フィーデル) 
Patricia Neely (3), (Fidel/fiddle) 
エドムンド・ブラウンレス(歌) 
Edmund Brownless (4), (Gesang/voice)
マイケル・コルヴァー(歌)
Michael Collver (5), (Gesang/voice)
デイヴィッド・コーディア(歌)
David Cordier (6), (Gesang/voice)
ティーヴン・グラント(歌、オルガン)
Stephen Grant (7), (Gesang, Orgel/voice,organ)
エリック・メンツェル(歌) 
Eric Mentzel (8), (Gesang/voice)

Produktion/Production: Klaus L. Neumann
Aufnahme & Schnitt/Recording & Editing: Dr. Thomas Gallia, Paul Dery
Technik/Engineering: Sonart, Milano
Digital remastering: harmonia mundi acustica
Aufgenommen/Recorded 9.-11. III. 1988, 11.-13. IV. 1988, Seewen, CH
Tielbild/Front cover photo: Paris, Bibliotheque Nationale. f. fr. 146 (Roman de Fauvel)

Eine Coproduktion mit Westdeutscher Rundfunk Köln 


◆本CD解説(エドワード・H. ロースナー)より◆ 

「ヴィトリは14世紀でもっとも輝かしい人物の一人であった。外交官として(中略)3代のフランス王に仕え、聖職者としてはモーの司教にまでなり、大学人、知識人として、また道徳的哲学者、詩人としても名高く、ギヨーム・ド・マショー(1300年頃—77)とともに当時最高の音楽家でもあった。しかし、その名声にもかかわらず、ヴィトリの作品はほとんど現存していない。学問的著作はまったく残っておらず、詩は数編だけ、有名な音楽理論書《アルス・ノヴァ(新技法)》[1322-23頃]も[どこまでが本人の手によるものか分からず]不完全なかたちで残されているにすぎない。」

「ヴィトリの作とされる音楽作品は、現代の研究によればわずかに16曲(すべてモテトゥス)であり、このうちほぼまちがいなく真作といえる証拠があるのは4曲だけである(このCDの[5][13][19][20]にあたる)。ヴィトリの作品はすべて2つの手写本のどちらかに収められている。ひとつは有名な〈フォーヴェル物語 Roman de Fauvel 写本〉(パリ、国立図書館 fr. 146)で、1317-18年にフィリップ5世の宮廷で筆写され、ヴィトリ自身その制作に加わったと思われる。もうひとつは14世紀末にサヴォワで作られた〈イヴレア写本〉(イヴレア大聖堂図書館 115)で、こちらはフランス王シャルル5世[在位1364-80]と深い係わりがある。」


◆本CDについて◆

ブックレット(全48頁)にエドワード・H. ロースナーによる「解説」(吉村恒・訳)と、吉村恒による「解説」、「セクエンツィア」、歌詞対訳(金澤正剛/吉村恒)。ブックレット裏表紙に写真図版(カラー)1点。

★★★★★


Motetten un Lieder. Philippe de Vitry

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