『典礼劇「ダニエル物語」』
The Play of Daniel
プロ・カンティオーネ・アンティクヮ
Pro Cantione Antiqua/Mark Brown
CD: ポリグラム株式会社
オワゾリール NEW ベスト 50
POCL-5203 (1996年)
¥1,800(税込)(税抜価格¥1,748)
帯文:
「中世の最も重要な典礼劇を再現」
帯裏文:
「●中世の教会では聖書や宗教的な出来事を題材とした音楽劇―典礼劇がたくさん作られました。その中にはグレゴリオ聖歌をもとに発展させたものから、全く世俗劇といえるものまで、様々な種類のものがありますが、最も大規模で有名なものがこの「ダニエル物語」です。物語は有名な亡命の予言者ダニエルと二人の王、ベルシャザールとダリヨスをめぐる、ヨーロッパではおなじみのストーリーによります。
●中世、ルネサンスの声楽作品の膨大な作品をアルヒーフ・レーベル等に録音しているプロ・カンティオーネ・アンティクヮの見事なアンサンブルで聴けます。」
典礼劇「ダニエル物語」
The Play of Daniel
1.この日あらゆるものに喜びを 2:26
Congaudeant catholici (?Albertus Parisiensis)
2.キリストよ、あなたに敬意を表して 1:59
Ad honorem tui Christi
3.王よ、永遠なれ……私の言葉に従う者よ
Rex in aeternum vive....Vos qui paretis
4.眼の前にお持ちしました 4:16
Ecce sunt ante faciem tuam
5.王よ、永遠なれ/私たちはこうしてやって参りました 5:17
Rex in aeternum vive / Adsumus ecce tibi
6.ダニエルを探し 5:07
Vos danielem quaerite
7.王よ、永遠なれ……お前があのダニエルか 4:12
Rex in aeternum vive....Tune Daniel nomine
8.ソロモンの書には書かれている 2:28
Solvitur in libro Salomonis
9.祝福さるるは聖母マリアの御腹 4:16
Beata viscera (Pérotin)
10.王よ、永遠なれ……聞け、王宮の諸侯らよ 3:38
Rex in aeternum vive....Audite principes
11.王のもとへ参りましょう 7:34
G'en vois al roi
12.イバラの種子より 1:19
E semine rosa (?Pérotin)
13.ハバククよ、神を畏れる老人よ 5:09
Abacuc tu senex pie
14.ダニエルの神が永遠に統治するのだ 2:07
Deum Danielis
15.神よ、あなたを讃えます 5:40
Te Deum laudamus
プロ・カンティオーネ・アンティクヮ/ランディーニ・コンソート
PRO CANTIONE ANTIQUA / THE LANDINI CONSORT
A Chorister: Paul Elliott
Belshazzar: David Thomas
Magi: Brian Etheridge, Michael George, Stephen Roberts
Belshazzar's Queen: Kevin Smith
Daniel: James Griffett
Nobles: Charles Brett, Timothy Penrose
A Legate: Stephen Roberts
Envious Counsellors: James Lewington, Edgar Fleet, Brian Etheridge
Darius: Ian Partridge
First Angel: Kevin Smith
Second Angel: Michael George
Courtiers and Satraps: Members of Pro Cantione Antiqua
Soloists
Beata viscera: Kevin Smith
E semine rosa: Charles Brett, Timothy Penrose, James Lewington
John Bryan: recorders, shawm, portative organ, nakers
Peter Syrus: fiddle, rebec, shawm, recorders, psaltery
Margaret McCall: rebec, recorders, tabors, cymbals
Elizabeth Liddle: citole, psaltery, lute, tabor
Frances Kelly: medieval harp
Edgar Fleet: bells
指揮: マーク・ブラウン
Mark Brown (director)
Recording
Producer: Chris Hazell
Engineers: Michael Mailes, John Dunkerley
Location: St. Jude-on-the-Hill, London
Cover: Detail from Isaiah and Daniel, 13th century
Date: July 1978
◆本CD解説(Mark Brown/小林誠一訳)より◆
「この作品は一応、中世の典礼劇という範疇に入れることができ、またこの作品と同形式の音楽作品といえる英国・フランス各地に遍在した“Visitatio Sepalchri (墓地訪問)”などと比較することができる。またルーアンで13世紀に制作された Offium pstorum (司祭の職務)などとも比較することは可能だ。しかし、やはり《ダニエル物語》はどの作品の系列にも属さない独自の作品である。(中略)この作品は同種の音楽劇と比較して遥かにスケールの大きいものと考えることができるだろう。」
「ボーヴェで発見された写本によると、この劇は1月1日の受割礼日の祝日、そして教会暦における下級聖職者が多少の気晴らしのために騒ぐ日(いわゆる「愚者の祭」など)のために作曲されたものらしい。こうした愚者祭などの無礼講は教会の高官の激しい非難の対象になっており、特に品の悪い立ち居ふるまいや、敬虔とはいえない楽器の用い方などを非難する文書が残されている。こうした文書があることから察するに、当時こうした無礼講は広く行なわれていたものであり、おそらく《ダニエル物語》の公演も、こうした機会に合わせて行なわれたものと思われる。
写本は13世紀を起源とするものであるが、《ダニエル物語》は厳密にいえば、この世紀の作品とはいえないものである。本来の姿はさらに以前に作られた様々な版が統合されたものであり、13世紀以前のトルバドゥール(南方吟遊詩人)、トレベール(北方吟遊詩人)などが作った版が積み重なり、最終的な形になって行ったのである。」
「この物語のストーリーはおなじみのものである。物語は亡命の預言者ダニエルと二人の王、ベルシャザルと彼を征服したダリヨスをめぐって展開する。登場人物は変化に富み、大胆に引用されている。ベルシャザルはその巨万の富と強大な権力にもかかわらず、みずからの父が犯した罪のために神からの罰を避けることができない。一方ダリヨスは、その虚栄心ゆえに総督ピラトと同じようなディレンマに苦しめられることになる。その他、悲劇的なダニエル、適度に滑稽な老人・ハバクク(中略)などが登場する。そして狡猾な参事官、地方総督、貴族、天使、女王などが登場して、このスペクタクル劇の幕を飾る。」
◆本CDについて◆
ブックレット(全32頁)に「《ダニエル物語》について」(Mark Brown/小林誠一訳)、歌詞対訳(桐沢聡子訳)。
1978年録音。1979年にLPとしてリリースされました。たいへんドラマチックな演出になっています。
★★★★☆
Ecce sunt ante faciem tuam
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