幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『アーヴァーズ追想~イランの音楽Ⅰ』

『アーヴァーズ追想~イランの音楽Ⅰ』
Music of Iran I
ワールド・ミュージック・ライブラリー 5


CD: キングレコード株式会社 
KICC 5105 (1991年) 
税込定価¥2,500(税抜価格¥2,427)

 

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帯文: 

ペルシャ音楽の伝統の上にヨーロッパ的な感覚を加え、
新たなる世界を築き上げた、
革命後のイラン音楽の姿を伝える貴重な1枚。」


帯裏文: 

「革命後のイラン音楽の姿を伝える貴重な一枚。ペルシャ音楽の伝統を失うことなく、ヨーロッパ的な感覚をも加えながら、新たなる世界を築き上げている。世界で最も難しく、また美しい声楽アーヴァーズとサントゥール、ネイ、タールなどの絶妙なアンサンブル。」


1.マーフールによる合奏「愛の秘密」 Dastgāh-e Māhūr "Serr-e 'eshq" 20:22 
2.マーフールによる合奏「愛の秘密」:タスニーフ Dastgāh-e Māhūr "Serr-e 'eshq": Tasnif 6:35 
3.マーフールによるタスニーフ「芸術揺籃の地」 Dastgāh-e Māhūr: Tasnif "Mahd-e Honar" 6:46 
4.マーフールによる合奏 Dastgāh-e Māhūr 18:37 

アーヴァーズ(歌): アリーレザー・エフテハーリー 
サントゥール: モハンマド・ジャリール・アンダリービー 
キャマーンチェ: ダーヴード・ギャンジェイー、ハーディー・モンタゼリー 
タール: マンスール・ユーノスィー・スィーナキー、アッバース・ミャーンデヒー 
ウード: ホセイン・ベフルーズニヤー 
セタール: ベフナーム・ヴァーダーニー 
ネイ: ベフザード・フォルーハリー 
ゲイチャク: アルダシール・ファヒーミー 
トンバク: マフムード・ファラフマンド 
ダッフ: カームビーズ・ギャンジェイー 

1989年4月15日キングレコード第2スタジオにて録音 
Recorded April 15, 1989 at King Record #2 Studio, Tokyo

Director: Kyoji Hoshikawa
Engineer: Hatsuro Takanami

Licenced by MIN-ON

Cover Design: 美登英利 
Cover Photo: イラン・キャマーンチェ(富浦隆則 撮影・国立民族学博物館蔵) 


◆本CD解説(関喜房)より(一部編集)◆ 

「マーフールによる合奏「愛の秘密」
 マーフールは独特の威厳を持つダストガーと言われ、イランの国歌や多くの革命歌もこの旋法で作曲されている。
 演奏はゆるやかなテンポの序奏(moqaddame)で始まり、次いでサントゥールが軽快にチャハール・メズラーブを奏する。ここで歌手がダル・アーマド(dar āmad、出現の意、ラディーフの最初に位置し、ダストガーの性格を象徴するグーシェ)をサアディー(1292没)の詩でゆるやかに歌い始め、キャマーンチェが伴奏する。次いで、歌はダード(dād)、ハーヴァラーン(khāvarān)等のグーシェに少しづつ踏み込みつつ、デルキャシュ(delkash)に到達する。このグーシェはマーフールにおいて最も重要で大部なものの一つであるが、マーフール本来の音階と異なる音階(中略)を有し、それまでの雰囲気を変える役割をしている。ここで伴奏はネイに交替し、チャハール・メズラーブを演奏する。やがて、フォルードを経てマーフール本来の音階に戻る。
 最後はハーフェズ(1390没)の詩を用いたタスニーフで締めくくられる。」

「チャハール・メズラーブ(chahār mezrāb、あらかじめ決められた比較的単純なリズム上で即興的に旋律が展開される形式)」
「ダストガー毎に固有の秩序(中略)を持って配列(中略)された楽曲の集合体は、ラディーフ(radif、列)と呼ばれている。」
「声楽であれ、器楽であれ、即興演奏の際の骨格をなすものは、グーシェ(gūshe)と総称されている。」
「タスニーフ(tasnīf、歌曲)」

「マーフール:タスニーフ「芸術揺籃の地」
 イランの現代の詩人ジャヴァード・アーザル(Javād Āzar)の詩をもとにアンダリービーが作曲したタスニーフである。」

「マーフールによる合奏
 歌手のいないこの合奏では、キャマーンチェがその役割を担っていることに注目したい。」
「この即興演奏にはキャマーンチェとサントゥールの主導権争いが随所に見られる。例えば、前者がラディーフ中の無拍のグーシェの折り目正しい演奏に努めているのに対して、後者は、有拍のグーシェやチャハール・メズラーブにキャマーンチェを引き込もうとしている。このような演奏中の闘いは聞いていて非常に興味深い。」


◆本CDについて◆ 

ブックレットに「解説」(関喜房)、英文解説、写真図版(モノクロ)4点、「ワールド・ミュージック・ライブラリー」CDリスト、地図2点。「解説」中に楽曲で使用されている詩の要約が掲載されています。

本作と『イランの音楽Ⅱ』(KICC 5106)は、2008年の「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー」では二枚組CD『イランの古典音楽』(KICW 85005/6)にまとめられてリリースされています。

★★★★☆ 


Dastgah-e Mahur

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