『シタール幻想~超絶のラーガ』

シタール幻想~超絶のラーガ』 
Classical Music of North India/Sitar and Tabla I 
ワールド・ミュージック・ライブラリー 11 


CD: キングレコード株式会社 
KICC 5111 (1991年) 
税込定価¥2,500(税抜価格¥2,427)

 

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帯文:

シタールとタブラの織りなす有機的な音模様。
すべての音楽を通じて、理想的なデュオの姿がここにある。」


帯裏文: 

「円熟のモニラル・ナグ、最高のアカンパニストと謳われたマハプルシュ・ミシュラ。シタールとタブラというインド音楽の代表的なスタイル。二つの楽器の織りなす有機的な音模様が見事。あらゆる音楽の理想的なデュオの姿がここにある。」


1.ラーガ: スハ・カナラ Rāga: SUHA - KANARA 59:26 
2.ターラ: ティーンタール Tāla: TĪNTĀL 14:20 

シタール: モニラル・ナグ 
Sitār: Sri Manilal Nag
タブラ: マハプルシュ・ミシュラ 
Tablā: Pandit Mahaprush Misra 
タンブーラ: 鳥居詳子 
Tambūla: Sachiko Torii 

Producer: Katsuhiko Nishida
Engineer: Hatsuro Takanami

1985年9月13日キング第2スタジオにて録音 
Recorded Sept. 13, 1985 at KING RECORD #2 Studio, Tokyo

監修: 草野妙子 

Cover Design: 美登英利 
Cover Photo: セライケラのチョウ「太陽神」(田淵暁 撮影・国際交流基金提供) 


◆本CD「楽曲解説」(草野妙子)より◆ 

「●ラーガ: スハ・カナダ(Suha-kanada)によるアーラープ(Ālāp)とガット(Gat) 
 ラーガ: スハ・カナダはスハ・カナラとも呼ばれる。バートカンデ Bhatkhande (1860―1936)の10種の基本音階タート(That)によれば、このラーガ・スハ・カナダはカーフィー・タートに分類され、第3音のガと第7音のニが半音低いが、第6音のダを使用しない。また、上行形はサ♭ガマパ♭ニサの五音階で、下行形はサ♭ニパマ♭ガレサの6音音階である。
 アーラープ: アーラープは狭義のアーラープと拍節感のあるジョール・アーラープの2つの部分と極めて高揚した気分を与えるジャーラーで終わる。
 シタール奏者のモニラル・ナグはタンブーラ(持続音のための弦楽器)が3回演奏されると、まず、共鳴弦のタラフを2回演奏して、ゆっくりとこのラーガ・スハ・カナダの特徴を提示し始めている。開始音は弱いが大変雰囲気のある揺れる音からなる装飾音の付いたサで、続いて極めて正確な技巧を使った各音特有の動きを表現し、このラーガ固有の旋律(パカルと呼ぶ)やチャラーン(ラーガに備わっているフレーズ)などをつぎつぎと織り込みながら、このラーガのもっている特徴を即興演奏しながら提示している。中音域から、低音域に至り、再び中音域で、そして、高音域へと移るが、その間は、どの音の動きも原則に基づきながらも深い情感を与え、少しづつ拡大して、展開していく。(中略)次第にテンポが加わり、旋律音の流れを決して崩すことなく、旋律音の各音の間にチカリ弦(ラーガの音階に合わせて調律されるサイド弦)を1回づつ、そして2回、4回づつと木目細かに入れながら音楽を盛り上げてアーラープ全体を終わる。」
「ガット: ガットはふつうアーラープに続いて演奏される楽曲で、ターラ(リズム周期)に基づいて即興的に変奏をする部分である。このガットのターラはティーンタール(4.4.4.4.の16拍子)である。ガットの主要旋律(テーマの一種)はターラ(リズム周期)の1周期分を基準に作られるが、このガットの旋律は大変美しく、それに加え、どこか荘重な威厳に満ちた雰囲気をもっている。共演者のタブラ奏者はタブラによってリズム周期を保ちながらもリズム的な変奏をする。旋律のさまざまな変奏の加わった周期、その変奏と変奏の間を縫って自己の即興演奏も加えるので、そこに旋律奏者のシタールとリズム奏者のタブラの呼吸と共演の妙技が醸し出される。タブラとの共演の聞き所はお互いに即興しながらも正しく第1拍目のサムに戻らなければならない。時には互いに変奏を何周期にも及んで行い、幾周期目かの第1拍を目指すため、まるでミステリーに包まれたように感じるが、次の、あるいはその次のサムで完全に一致する。(中略)そして、ターラの周期が繰り返されるに従って次第にテンポが速くなり、ますます緊張感が生まれ、最高潮に到達すると、さらに、ジャーラーの部分となり、ティハイ(同じ旋律型を3回繰り返して1番最後の音をターラの第1拍目にもっていくテクニック)で終止する。」

「●タブラ独奏: ターラ Tāla; ティーン・タール Tīntāl
 ターラはインド古典音楽の時間的側面を受け持つ拍節法の周期であるが、(中略)ヨーロッパ音楽に於ける拍節法やリズムの概念だけでは説明できない。インドの哲学的概念から音楽の時間が考案されているのだが、ターラにおける条件の中では、その周期性が最も重要視される。時間の源流は、天体宇宙の運行であり、それも周期性をもって現われる。朝、昼、夜の一連の周期、季節の変化から、めぐって来る1年の周期と同様に、音楽の進行も必ず始めにもどらなければならない。インドのターラも、こうした無限の時間を有限の周期性を持った時間に映し変えた時間芸術なのである。したがって、ターラの周期性は多くの条件の中で最も大切にされる。」
「マハプルシュ・ミシュラ(1934~1987)のティーンタールによるタブラ独奏は、素晴らしい妙技を充分に楽しませてくれる。彼の演奏のターラの周期の枠をシタールによって支えているのは、モニラル・ナグである。このような打楽器演奏のための定旋律をラハラ(Lahara)という。」


◆本CDについて◆ 

ブックレットに「シュリー・モニラル・ナグとパンディット・マハプルシュ・ミシュラ」(星川京児)、「楽曲解説」(草野妙子)、英文解説、写真図版(モノクロ)1点、「ワールド・ミュージック・ライブラリー」CDリスト、地図2点。

シタールのモニラル・ナグ(1939~)とタブラのマハプルシュ・ミシュラをフィーチャーした二枚(本CDではタンブーラが加わっています)のうちの「Ⅰ」で、1987年に「エスニック・サウンド・コレクション 1」(K30Y-5101)としてリリースされ、本CDはその再発、1999年の「ワールド・ミュージック・ライブラリー 02」(KICW-1002)を経て、2008年の「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー」で『シタールの芸術―モニラル・ナグ、マハプルシュ・ミシュラ』(KICW-85009/10)として2枚組にまとめられました。

★★★★★ 


Raga Suhakanara

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