ボンデージ・フルーツ
『ボンデージ・フルーツ』
Bondage Fruit
CD: MABOROSHI NO SEKAI
Manufactured by ISIS RECORDS
Distributed by ART UNION CORPORATION
ISIS 0111 (1994年)
税込 2,500円(税抜2,427円)
帯裏文:
「1994年の東京が生んだ禁断の果実 Bondage Fruit。メンバーの間では早くも傑作の呼び声も高い1st CDが遂に登場。
カセットレーベル「まぼろしの世界」によるCD製作第一弾。」
1.ホーリーローラー Holly Roller 3:02
2.アラビアの象 Arabia no Zou 4:31
3.子供のトロッコ Kodomo no Torokko 8:20
4.リゴ Rigo 2:22
5.オクトパス・コマンド Octopus-Command 7:15
6.飛行する子 Hikou suru Ko 6:42
7.架空の魚 Kakuu no Sakana 6:14
8.金属の胎児 Kinzoku no Taiji 7:34
9.T-REX 6:00
鬼怒無月 Kido Natsuki: guitar
勝井祐二 Katsui Yuji: vocal, violin
大坪寛彦 Ohtsubo Hirohiko: bass
高良久美子 Takara Kumiko: vibraphone, marimba, glockenspeil, percussion
岡部洋一 Okabe Youichi: percussion
さがゆき Saga Yuki: vocal
安紀 Aki: vocal
YEN CHANG: vocal (on 6)
東京ナミィ Tokyo Namie: vocal (on 4)
広瀬淳二 Hirose Junji: saxophone (on 9)
Recorded by Akimoto Takao (GOK SOUND)
Mixed by Kondo Yoshiaki (GOK SOUND)
at GOK SOUND July-August 1994
All titles composed by Kido Natsuki
Except composed "T-REX" by Kido Natsuki and Katsui Yuji
All titles arrangement: Bondage Fruit
Photography and cover designed by Sasaki Hideaki
Artwork by Oishi Chikaco
Production coordinated by Sawai Yasuaki (ISIS RECORDS)
Produced by Kido Natsuki and Katsui Yuji
◆本DCについて◆
デジパック仕様。投込(十字折・片面)に勝井祐二によるライナー、写真図版(モノクロ)7点。
本作は2002年にMABO-014として再リリースされています(ジュエルケース仕様)。
クレジットを見るとヴォーカルが3人いて(ヴァイオリン&ヴォーカルの勝井祐二を含む)、さらにゲストで2人、しかも全て歌詞無しのスキャットですが、さがゆきと双頭女声ヴォーカルの安紀(久保田安紀、元Malinconia、1918年逝去)は吉田達也(Malinconiaにゲストで参加)の高円寺百景のメンバーでもあって、高円寺百景の1st(1994年6月録音)が本作と踝を接して世に出ていることは、日本のZeuhlミュージックの歴史という観点からみると壮観というに相応しいです。ギターの鬼怒無月はのちに吉田達也、日本のZeuhlミュージックを代表するもう一つのバンド「Altered States」のナスノミツルと共にテクニカルパワーZeuhlトリオ「Korekyojinn(是巨人)」を結成していて、それも壮観というに相応しいです。
本作はハードでアグレッシヴかつ雄大な(「大陸的」な)演奏が繰り広げられていますが、その一方で沈み込むようなノスタルジア(われわれがまだ海中で生活していた頃への)を感じさせる「架空の魚」などもあって、たいへんすばらしいです。「金属の胎児」というのは錬金術用語で、「鉱石は地母の胎内の胎児とみなされる」「冶金の儀式を通して〈胎児〉は金属になる」(エリアーデ)。自然が大地=胎内で黄金を育てるプロセスを人為的に加速してレトルト内で実践しようとするのが錬金術で、それはあたかも天体の音楽(musica mundana)を人為的に器楽(声も含む)による音楽(musica instrumentalis)によって再現しようとする音楽家の営為に等しいですが、しかし隠秘学的には黄金を得ることそのものが目的なのではなくて、本作ライナーノートにあるように、「音楽を一緒に作る、演るというのはある意味でとても不自由になる事でもある」が、「拘束具としての音楽は何からも囚われない為の、そこから抜け出して高みに登る為の、契約みたいな」ものであり、「何も音楽の完成した姿を目標に音楽を作ったりするわけではない。」
★★★★★
架空の魚
Bondage Fruit (1994) [FULL ALBUM]
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