幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

高柳昌行・阿部薫  『漸次投射』

高柳昌行阿部薫 
『漸次投射』 
Masayuki Takayanagi, Kaoru Abe  
Gradually Projection 


CD: DIW Records/Distributed by disk union 
DIW-425 (2001年) 
税抜価格¥2,300 

 

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帯文: 

「1970.7.9 1st・3rdステージの「集団投射」に続き、遂に2ndステージ全約50分に渡る「漸次投射」の全貌が明らかに!美しく狂い咲く伝説のデュオ 解説:悠雅彦」


漸次投射 49:00 
演奏―高柳昌行…g、阿部薫…as、bcl、hca、shakuhachi (with reed) 
録音―1970年7月9日(ステーション'70、渋谷) 

DIRECTOR: 石谷仁 
MASTERING ENGINEER: 北村修治 
DESIGN: 新井康祝 
PHOTO: ©スイングジャーナル社 

©2001 Selfportrait 
℗2001 disk union 


◆本CD解説(悠雅彦)より◆ 

「本作は第1集『集団投射』と肩を並べる第2集で、渋谷「ステーション'70」で行われたライヴの第2セットの「漸次投射」を収めたものだ。」
「両者のヴォイスはそれぞれに独立しており、主従の関係は一切否定されている。つまり、一方がメッセージを発しているとき、他方がそれに従属的に反応するのでも、対等に丁々発止しあうというのでもなく、ほとんどパラレルに進行する。自己と厳しく対峙する表現者の孤絶したヴォイスには、他人が介在する余地などは多分ないだろう。しかし、一方が他方を無視するはずはありえないし、むろん好き勝手に殴り書きっこをしているのでもない。彼らの究極的な行為の結果としてのサウンド、いい換えればどのように生き、どのようにして死ぬかのメッセージが相互にぶつかりあう破壊と創造の美学、すなわち「解体的交感」と呼ぶもののひとつのクライマックスがここにあるということだ。(中略)第1集でふれた通り、この第2集は当夜の第2セットを収録したもので、1曲で約50分に及ぶ「漸次投射」の全貌を明らかにした例外的な記録だ。〈速度〉によってサウンドをマス状態に追い込んでいく、〈時間〉性を追及した「集団投射」に対して、この「漸次投射」では〈沈黙〉の支配する〈空間〉が大きく広がる。〈速度〉=時間→「集団投射」、そして〈沈黙〉=空間→「漸次投射」とまとめた上で、この第2集を第1集の2曲の間におき、当夜のライヴ通りに再現してみると、たとえばベートーヴェンの巨大な後期のピアノ・ソナタ然とした、〈動〉〈静〉〈動〉の3楽章からなるドラマティックで構成力豊かな展開の作品となって偉容を呈する姿に驚く。」


◆本CDについて◆ 

透明ジュエルケース。ブックレット(巻き3つ折り)にトラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)3点。インサートに悠雅彦による解説。インレイ内側(トレイ部分)に写真図版(モノクロ)1点。

情け容赦なかった「集団投射」とはうってかわって、「漸次投射」では高柳の優雅な前衛フラメンコふうアコギに、情念の襞を集合的無意識の深部でまさぐる阿部のバスクラ&情念の襞を高速で逆撫でするアルト&放心ハーモニカ。特に阿部がすばらしいです。

★★★★☆ 

 

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