幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

2004年の変身キリン。  『アノンを捜せ!』

2004年の変身キリン。 
『アノンを捜せ!』 


CD: いぬん堂 
WC-086 (2004年) 
税込定価¥2,940/税抜価格¥2,800 

 

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帯文: 

「未来にも過去にも無限の可能性がある! 元祖「うたもの」変身キリンの名曲が同時代の仲間により蘇る」
「【参加メンバー】須山公美子、大熊ワタル、小間慶大、関島岳郎、中尾勘二/解説: 西村明(酒游舘、関西パンク史家)/ジャケット: さそうあきら


1.Party Doll 
2.8月4日に 
3.赤い靴 
4.カラハリ砂漠の恋 
5.けむり 
6.椅子 
7.満月戦争 
8.馬のヘンリー 
9.サー・ロジャー・ドゥ・カバレー 
10.ウエディング・ムーン 
11.~のために 
12.99 
13.シンナー 
14.帽子 
15.砂漠の砂売り 
16.少年のような少女 


2004年の変身キリン。

須山公美子 Suyama Kumiko/vocals, piano (2,7,8,10,14,16), accordion (3,4,6,9,11,15) 
大熊ワタル Ohkuma Wataru/clarinet, bass clarinet, piano (6,12), glockenspiel, accordion (3,5), vocals (4,7,9,10,13), narimono 
小間慶大 Koma keita/electric guitar, vocals (1~4,6,9,15) 
関島岳郎 Sekizima Takero/tuba 
中尾勘二 Nakao Kanzi/drums, tennor sax, rhythm machine 

All songs written by 本田久作 
except track 1 (須山公美子) track 5 (須山公美子/関島岳郎) track 15 (本田久作/ロシア民謡) 
Produced by 04変キ。いぬん堂 
Engineered by 近藤哲正 
Recorded at BIG APPLE 2004.03.14 
Mastered by 野田浩司 at JVC MASTERING CENTER 
Illustrated by さそうあきら 
Photographed by 由辺田貴
Designed by 松本成夫(MATSUMOTO GRAPHIC FARM) 


◆本CD解説(西村明)より◆ 

「変身キリンは関西パンク創成期の79年に阪神間で結成、87年まで活動した。変キの音楽は「うたもの」の先駆というべき類い稀なもので、現在でもカルト的な支持を集めている。リーダーであった本田久作の音楽性と活動場所の変化によって、変キは結成から82年までの関西期とそれ以降の東京期に分けられる。前期の音源は「変身キリン」(いぬん堂 WC-084)、後期のそれは「その後の変身キリン」(いぬん堂 WC-085)に収録されている。
本作は「変身キリン」、「その後の変身キリン」と続いた変キ3部作の完結編。前2作が発掘音源であったのに対して堂々の新録音である。」
「03年春、私は本田から変キ音源復刻の承諾を得た。元メンバーの須山公美子にこのビッグ・ニュースを報じ「折角変キをCD化するんやからレコ発ライブを企画して本田君を引っ張り出そう」と盛り上がった。早速彼女は須山ソロ名義で8月3日のMANDA-LA2を仮押さえ。私は本田の出演交渉に取りかかったが、彼は頑として首を縦に振らない。本田の代役に変キ結成当初から交流の深かった小間慶大を立て、小間とは劇団「風の旅団」から「野戦の月」を通しての付き合いである大熊ワタルに声をかけた。
大熊は81年5月18日法政大学学生会館での「ガレージ・ギグ」で変キのライブを初体験。強いシンパシーを覚えていた。
「『一週間』のカバーが印象的だった。新しいものがカッコいい風潮の時代にあって童謡的なアプローチがかえって新鮮で、力まない感じが良かった。(中略)」。」
サウンドにボトムが必要と感じた大熊は関島岳郎を誘い役者が揃った。奇しくもメンバー全員名字が「ま」で終わる変身キリン・カバーバンドの誕生である。
8月3日のライブは大成功を納めた。」
「明けて04年、中尾勘二をメンバーに加えパワーアップした「2004年の変身キリン。」は変身キリン結成25周年興行と銘打った関西ツアーを行う。3月13日の磔磔公演はDV収録され、翌14日のビッグアップル公演はライブ・レコーディングされた。本作は後者の音源を作品化したものである。
全16曲の内、M5「けむり」が関島作のインストに須山が歌詞を付けた新曲である以外はすべて変身キリンのレパートリー。」

「【アノン】 
本田/変キを始めたばかりの頃にドラムの高畠千穂の自筆詩稿を読ませて貰ったのが誕生のきっかけ。彼女の詩にはやたらと「あのん」という人物が、ある時は主人公、ある時にはどうでもいい脇役として登場していた。こういう風に自分の詩にレギュラーの登場人物を持つのはなかなかええもんやと感心したのだが、読み進む内に「あのん」は「あの人」であることに気付いた。何やつまらんと思ったが、お陰で私はこのアイデアを罪悪感なしに高畠から盗む事が出来た。しかしひらがな表記のままだと、折角私が「あの人」を読み違えて「あのん」を生み出したにも関わらず、又しても「あの人」と誤読される恐れがあるので「アノン」とカタカナで書く事にした。」


◆本CDについて◆ 

8頁ブックレット(観音折)に西村明による解説「赤い靴はいて朝まで踊れ」、クレジット、歌詞。インサート(カード)に本田久作による「曲解説」。インレイ(バック)にトラックリスト。

変身キリンの歌は歌詞が無意味で非常識なのでよいです。仮に「日本のスラップ・ハッピー」といったようなものがありうるとしたら、商業ベースでは「Fairchild」、パタフィジカルな例外者としてはこの変身キリンだったかもしれないです。スラップ・ハッピーは馬のヘンリーならぬ牛のヘンリー(ヘンリー・カウ)に食べられてしまいましたが、その後何度も復活したので、変身キリンもまた復活するとよいです。

★★★★★ 


8月4日に

youtu.be

 

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