『シェーンベルク: 弦楽四重奏曲第二番/ウェーベルン: 六つのバガテル/ベルク: 弦楽四重奏曲』
ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
CD: ドイツシャルプラッテンレコード
発売元: 株式会社 徳間ジャパン
販売元: 株式会社 徳間コミュニケーションズ
32TC-154 (1987年)
¥3,200
Printed in Japan
1 シェーンベルク
Arnold Schönberg
弦楽四重奏曲 第二番 嬰ヘ短調 作品10
弦楽四重奏とソプラノのための
Streichquartett Nr.2 fis-moll op.10
für Zwei Violinen, Viola, Violoncello und eine Sopranstimme
1.1 モデラート 6:12
1 Mässig
2.2 スケルツォ 6:45
2 Sehr rasch
3.3 レント 4:44
3 Litanei, Langsam
4.4 ピウ・レント
4 Entrückung, Sehr langsam
2 ウェーベルン
Anton Webern
弦楽四重奏のための6つのバガテル 作品9
Sechs Bagatellen für Streichquartett op.9
5.1 中庸の速さで― 2 軽やかな動きで― 3 かなり流麗に― 4 非常にゆるやかに― 5 極度にゆるやかに― 6 流麗に 4:19
1 Mässig - 2 Leicht bewegt - 3 Ziemlich fliessend - 4 Sehr langsam - 5 Ausserst langsam - 6 Fliessend
3 ベルク
弦楽四重奏曲 作品3
6.1 ゆっくりと 9:12
1 Langsam
7.2 中庸の速さで
2 Mässige Viertel
ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
Gewandhaus-Quartett
カール・ズスケ: 第1ヴァイオリン
Karl Suske; Violine I
ジョルジョ・クレーナー: 第2ヴァイオリン
Giorgio Kröhner; Violine II
ディートマル・ハルマン: ヴィオラ
DietmerHallman; Viola
ユルンヤーコプ・ティム: チェロ
Jürnjakob Timm; Violoncello
シィビレ・ズスケ: ソプラノ(1-3,4)
Sibylle Suske; Sopran zu 1
Im 1-3 und 1-4: "Litanei" und "Entrückung" Gedichte von Stefan George
19851, 1986-9 ライプツィヒ パウル・ゲルハルト教会: 録音
Aufnahme: 1985-Jan. und 1986-Sept. Paul-Gerhardt-Kirche, Leipzig
Musikregie: Heinz Wegener
Tonregie: Michael Glaser, heinrich Eras
Technik: Michael Richter, hans-Jürgen Seiferth
Schnittmeister: Martina Schön
◆本CD解説(渡辺三七男)より◆
「弦楽四重奏曲第2番 嬰ヘ短調 作品10 (シェーンベルク)
シェーンベルクは、初期の習作も合せて、5曲の弦楽四重奏曲を作曲している。マーラーを想わせる後期ロマン派風の第1番と、12音技法による第3番との間に位置するこの第2番は、シェーンベルクが無調の世界に一歩足を踏み入れた過渡期の作品だが、その第3、第4楽章にドイツの詩人シュテファン・ゲオルゲの詩をソプラノが加わって歌うという特異な形式で知られている。この詩の内容は、多くの研究家が言及しているように、シェーンベルクの作曲技法と密接な関係があると見ることが出来よう。具体的に指摘してみると、第3楽章の「連禱」の“旅路は長かった。手足は疲れ果てている”というテクストには、調性構造の中で作曲活動を続けてきたシェーンベルクが調性音楽への危機に直面している姿が、第4楽章「恍惚」の“私はほかの惑星からの空気を感じる”という部分には、無調という新しい作曲技法を見い出したシェーンベルクの心境がそれぞれ象徴されていると見ることが出来よう。」
「弦楽四重奏のための6つのバガテル 作品9 (アントン・ウェーベルン)
「弦楽四重奏のための5つの楽章作品5」で弦楽器の持つ表現の可能性を徹底して追求したウェーベルンが、さらに集約的で密度の高い音空間を極限にまで広げてみようと試みたこの6つのバガテルは、シェーンベルクが「長篇小説をたったひとつの身振りで表現している」と評した、全体で十分半の長さしかない極小形式の典型的な傑作である。」
「弦楽四重奏曲 作品3 (アルバン・ベルク)
1910年に作曲され翌年初演されたベルク初期の力作で、その充実した内容とユニークな独創性は、師シェーンベルクからも絶讃を受けている。機能和声を完全に放棄した無調音楽で、弱音器用法やスル・ポンティチェロ奏法を始めとする多彩な楽器法が、ベルク独自のファンタスティックな楽想と見事な調和を保っている。」
◆シュテファン・ゲオルゲの詩「恍惚」(渡辺三七男訳)より◆
「私はほかの惑星からの空気を感じる。
今しがた親しげに私に向けられたばかりの顔たちが
暗闇をとおして蒼ざめてゆく。」
「やがて私は陽光に満ちた明るい広野で、
最も遠い山の渓谷を囲んで、
かぐわしい霧が立ちのぼるさまを眺める。
大地は凝乳のように白く、柔らかくふるえ、
私はめくるめく山峡を登り越える、
私はあたかも最後の雲を越えて、
水晶のようにかがやく海を泳いでいるように感じる――
私は神聖な炎のひとつの火花にすぎない、
私は神聖な声のこだまにすぎない。」
◆本CDについて◆
ブックレット(全12頁)に渡辺三七男による解説、シュテファン・ゲオルゲによる詩「Litanei/連禱」「Entrueckung/恍惚」対訳(渡辺三七男 訳)、「ドイツシャルプラッテンのコンパクト・ディスク」(CDリスト)、トラックリスト&クレジット。
日本語タイトルは帯背には「ゲヴァントハウス弦楽四重奏団|シェーンベルク/ウェーベルン/ベルク」、インレイカード背には「新ウィーン楽派の音楽|ゲヴァントハウス弦楽四重奏団」とあります。
★★★★★
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