『ベルク: 「ルル」組曲/「ワイン」』
ピエール・ブレーズ指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック
Berg - Boulez
New York Philharmonic
Lulu: Suite
Judith Blegen
Der Wein
Jessye Norman
LP: 株式会社CBS・ソニー
25AC 690 (1979年)
¥2,500
帯文:
「ブレーズの“創造の眼”が読みとったベルクのドラマ展開への構図」
SIDE A
「ルル」組曲
Lulu Suite
1.1.ロンド――アンダンテと賛歌
Rondo - Andante & Hymne
2.2.オスティナート: アレグロ
Ostinato: Allegro
3.3.ルルの歌: コモド
Lied der Lulu: Comodo
4.4.変奏曲: アンダンテ
Variationen: Andante
SIDE B
「ルル」組曲
Lulu Suite
1.5.アダージョ: ソステヌート―レント―グラーヴェ
Adagio: Sostenuto - Lento - Grave
2.「ワイン」(演奏会用アリア)
Der Wein (1929)
ジュディス・ブレゲン: ソプラノ (A-3、B-1)
Judith Blegen, Soprano
ジェシー・ノーマン: ソプラノ (B-2)
Jessye Norman, Soprano
ニューヨーク・フィルハーモニック
New York Philharmonic
ピエール・ブレーズ指揮
Pierre Boulez, Conductor
録音データ
「ルル」 1976年3月3日/「ワイン」 1977年1月24日
ニューヨーク、マンハッタン・センター
プロデューサー: アンドリュー・カズディン
エンジニア: バド・グラハム/アーサー・ケンディ/レイ・ムーア
◆本LP解説(丸山桂介)より◆
「組曲〈ルル〉がやがて終ろうとするところで、突然のように烈しい女の悲鳴が聴こえる。この組曲の母胎であるオペラ〈ルル〉のヒロイン、ルルの最後を告げる絶叫である。オーケストラが、一瞬深い、まさに死のように深い沈黙に包まれた瞬間であるだけに、このルルの悲鳴は思わずぞっとするほどに烈しく、恐怖を覚えさせる。それにピエール・ブレーズの演奏がまた、異様なほどの不気味さをたたえてルルの悲鳴を際立たせるのだ。」
「ベルクの組曲〈ルル〉の最後で発せられる悲鳴は、表面的には娼婦ルルの死の叫びでしかないであろう。だがその叫びのなかに、ほとんど測り知れないほどの多くのことが含まれているのも確かなのである。人間の生と死、社会の表層をなす市民的幸福な生活とその背後に横たわる頽落した陰の世界、そのような生の様相をもたらした歴史の歪み、そして深淵……。ブレーズの演奏は、そうした多義的なものを一挙に露わにするほどの、怖るべく不気味な響きをたてる。」
「コンサート用アリア〈ワイン〉は1929年に、つまりベルクがオペラ〈ルル〉の作曲に取り組んでいる時期に作曲されている(中略)。曲はシェーンベルクの十二音技法を使って書かれたベルクの(完成されたものとしては)最初の作品である。そのため、〈ルル〉で活用されることになる十二音技法のいわば予習的な意味と、〈ルル〉的な音響像を先取りしている面をあわせもっている。この作品に用いられている詩は、ボードレールの〈酒の歌〉 Le Vin の、シュテファン・ゲオルゲの独訳版からとられて(中略)いる。」
◆本LPについて◆
厚紙シングルジャケット。ジャケ裏に解説「ブレーズの〈ルル〉――世紀末の一現象――」(丸山桂介)、インサートに解説(続き)&歌詞対訳(丸山桂介)。
★★★★★
Berg - Lulu Suite - V