幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『シェーンベルク: グレの歌』  小沢征爾/ボストン交響楽団

シェーンベルクグレの歌』 
小沢征爾 指揮 
ボストン交響楽団


LP: フィリップスレコード/日本フォノグラム株式会社 
18PC-141~42(6769 038)[2枚組] 
定価¥3,600 

 

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Live Recording Public Boston Symphony Hall 

Arnold Schoenberg (1874-1951) 
Gurrelieder 
アルノルト・シェーンベルクグレの歌 
for soloists, chorus and orchestra 
(Publishers: Universal Edition A.G.) 

Text: Jens Peter Jacobsen 
テクスト: イェンス・ペーター・ヤコブセン 
German translation: Robert Franz Arnold 
(Sung in German) 
(歌唱: ドイツ語) 


side 1 27:00
Erster Teil - Part One 
WALDEMAR 
Nun dämpft die Dämm'rung jeden Ton 

side 2 17:02 
WALDEMAR
Mein Haupt wiegt sich auf lebenden Wogen 

side 3 12:03 
WALDTAUBE 
Tauben von Gurre! Sorge quält mich 

Zweiter Teil - Part Two 
WALDEMAR 
Herrgott, weißt du, was du tatest 

Dritter Teil - Part Three 
Die wilde Jagd 
WALDEMAR 
Erwacht, König Waldemars Mannen wert! 

side 4 30:28 
WALDEMAR 
Mit Toves Stimme flüstert der Wald 
Des Sommerwindes wilde Jagd 
(Melodrama) 
SPRECHER 
Herr Gänsefuß, Frau Gänsekraut, nun duckt euch nur geschwind


Waldmar: James McCracken, ténor 
ヴァルデマル王: ジェイムズ・マックラッケン、テノール 
Tove: Jessye Norman, soprano 
トーヴェ: ジェシー・ノーマン、ソプラノ 
Waldtaube: Tatiana Troyanos, mezzo-soprano 
森鳩: タティアナ・トロヤノス、メッゾ・ソプラノ 
Bauer: David Arnold, baritone 
農夫: デイヴィッド・アーノルド、バリトン 
Klaus-Narr: Kim Scown, tenor 
道化のクラウス: キム・スコウン、テノール 
Sprecher: Werner Klemperer 
語り手: ヴェルナー・クレンペラー 

Boston Symphony Orchestra 
ボストン交響楽団 
Tanglewood Festival Chorus 
タングルウッド祝祭合唱団 
Chorus Master: John Oliver 
(合唱指揮: ジョン・オリヴァー) 
conducted by 
Seiji Ozawa 
指揮: 小沢征爾 

Recording Dates and Place 
1979. 3. 30, 31,  & 4. 3, Boston, Symphony Hall (Live) 


◆本LP解説(諸井誠)より◆ 

「《グレの歌 Gurrelieder》は、鬼才アルノルト・シェーンベルクが、26歳から37歳までの11年をかけて書き上げた文字通りの超大作である。後期浪漫派的「膨張」の極点に立つ、あらゆる意味で「巨人的」なこのオラトリオ風大作に、小沢が取りくんだのは、1974年夏のタングルウッド音楽祭においてだった。一方、この記念碑的ライヴ録音が行われたのは、79年3月30、31日、および4月3日の計3日間、ボストン・シンフォニー・ホールにおいてであって、記録によれば、この直後の4月4日、5日の両日、ボストン交響楽団のニューヨーク定期で再度演奏され、非常な成功を収めたようである。」

「ペーター・ヤコブセン(1847~1885)は、(中略)デンマークの詩人・小説家である。《グレの歌》は、《サボテンの花が開く》というヤコブセンの未完の小説の中の物語詩なのだが、珍しい花を育てるのを道楽にしている軍事参事官の美しい娘お目当てに、5人の若者がこの家に出入りしている。父が丹精して花開くまでに育てたサボテンがあった。音立てて開花するというそのサボテンの花開く瞬間を待つという口実で、ある夜5人が集まっている。そこで時間つぶしに順番に自作の詩だの、散文だのを朗誦することになる。《グレの歌》は、その折に発表された一編の物語詩というかたちで紹介されており、シェーンベルクは、その独訳(ロベルト・フランツ・アルノルト)に作曲した。
 あらすじは……。中世デンマーク王国ヴァルデマルⅠ世(在位1157~82)は、侍従の愛娘トーヴェを愛し、グレの地にある狩猟の城で彼女と甘い生活を送っている。嫉妬に狂った王妃は、遂にトーヴェを毒殺するが、ヴァルデマルは悲しみ、怒り、神を呪う。その天罰で彼は死んで幽霊となり、夜毎、幽霊の一群を引連れて、狩りの怖しい雄叫びあげながら国中を彷徨い歩くのである。だが、死してなお愛し続けるトーヴェの愛の力で、呪いが解け、ヴァルデマルは救済される……というもの。」

「全体としてブーレーズのは重厚であり、劇的造型的な演奏。(中略)小沢は、これに反してずっと軽やかであり、物語詩の内容により即している。ブーレーズの語り口が、後期浪漫派的、シェーンベルク的であるとすれば、小沢のは、むしろヤコブセン的、叙情的であり、悲劇性よりはむしろ幻想性にポイントを置いた解釈のように思われる。」


◆本LPについて◆ 

厚紙見開きジャケット。中ジャケに解説「今、小沢の《グレの歌》を聴かないで“愛”を語ることは出来ない!」(諸井誠/1979年)。インサート(全6頁)にクレジット、台本対訳(石井不二雄)、写真図版(モノクロ)1点。

再発廉価盤。リリース年の記載はありません。オリジナルはボックス入り2枚組LP(25PC-37~8/¥5,000)として1979年にリリースされています。

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