『マイケル・ナイマン: ソングブック』  ウテ・レンパー/マイケル・ナイマン

マイケル・ナイマン: ソングブック』 
ウテ・レンパー/マイケル・ナイマン 

Michael Nyman
Song Book 
Ute Lemper 
Michael Nyman Band 
Michael Nyman 


CD: London/ポリドール株式会社 
POCL-1195 (1992年) 
税込定価¥3,000(税抜価格¥2,913) 

 

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帯文: 

「時代を先取るナイマンとレンパーのコンビによる第2弾。
二十世紀末に研ぎ澄まされた光を添えるアーティスティックに美しいソング・ブックの登場。」


帯裏文: 

「数々のグリーナウェイ監督映画の音楽を手掛け、その超近代的で洗練された美しさでブームを呼んでいるマイケル・ナイマンが、ウテ・レンパーという類い稀れな逸材を得て、見事にそのイマジネーションの領域を具現化しています。あくまでクールに、時として明るく軽やかに、ウテ・レンパーの輝く透明な声はありとあらゆるニュアンスを含んで語りかけ、聴き手をマイケル・ナイマンの世界に引き込みます。」


マイケル・ナイマン: ソングブック 
Michael Nyman (1944-    ) 
Song Book
テキスト: パウル・ツェラン/ウィリアム・シェークスピア/ウォルフガング・アマデウスモーツァルトアルチュール・ランボー 
Text by Paul Celan / William Shakespeare / Wolfgang Amadeus Mozart / Arthur Rimbaud 


ツェランによる6つの歌(パウル・ツェラン) 
Six Celan Songs (Paul Celan) 
1.影につつまれたある女性ノシャンソン 6:18 
Chanson einer Dame im Schatten  
2.かれらのなかに土があった、そして 4:12 
Es war Erde in ihnen 
3.詩篇 3:35 
Psalm 
4.コロナ 6:08 
Corona 
5.夜に尖らされて 6:27 
Nächtlich geschürzt 
6.花 5:44 
Blume 

エーリアルの3つの歌(シェークスピア) 
Ariel Songs (Shakespeare
7.来い、さあ行け 3:15 
Come and go 
8.鼾をかいて寝てる間に 1:06 
While you here do snoring lie 
9.五尋の深き海底に 4:18 
Full fathom five 

10.私は奇妙な存在だ(モーツァルト) 5:18 
I am an unusual thing (Mozart) 

パリの饗宴[パリはまたまた大騒ぎ](ランボー) 
L'Orgie Parisienne (Rimbaud) 
11.さあいいか! 戻ってくる火事を 3:18 
Allez! on préviendra les reflux d'incendie 
12.パリよ! お前の足が怒りに満ちて 3:24 
Quand tes pieds ont dansé 


ウテ・レンパー(ヴォーカル) 
Ute Lemper (Vocal) 
マイケル・ナイマン・バンド 
Michael Nyman Band 
指揮: マイケル・ナイマン 
conducted by Michael Nyman 

Recording 
Producer: David Cunningham 
Engineer: Michael J. Dutton 
Assistant Engineer: Chris Brown, Philippe Garcia 
Location: Abbey Road Studios, London 
Date: June 1991 
Mixed at Kitsch Studios, Brussels 
Mastering and editing by Transfermation and at Abbey Road 
Executive Producer: Don Mousseau 


◆本CD解説(柿沼敏江)より◆ 

パウル・ツェラン(1920-1970)は東欧にあるブコヴィナ地方の中心都市チェルノヴィッツ(旧ルーマニア領)に生まれた詩人で、ユダヤ人の両親は強制収容所で死亡し、みずからは逃れたものの強制労働収容所で強制労働を体験する。その後、ブカレスト、ウィーンを経てパリへ移って詩人、翻訳家として活躍したが、セーヌ川に身を投じて生涯を終えた。」

「●ツェランによる6つの歌
 この歌曲は、1990年の5月から7月にかけて、ウテ・レンパーのために書かれたものである。(中略)これらは直観的にナイマン自身が選んだものであるが、〈コロナ〉の中の次のような詩句で表わされるようなキーワードとアイディアが、6つの歌曲全体をつなぐ土台となっている――「石がようやく花咲こうとする時だ」。」

「●エーリアルの3つの歌 
 ピーター・グリーナウェイの映画『プロスペローの本』のために、ナイマンは5つのエーリアルの歌を書いているが、これはそのうちの3曲を書き直したもので、テキストはシェークスピアの『あらし』によっている。(中略)『プロスペローの本』では、ナイマン・バンドをバックにサラ・レオナードによって歌われるこの歌が、ここではウテ・レンパーによって主としてピアノの伴奏で歌われる。」

「●私は奇妙な存在だ 
 1990年から91年にかけてジェレミー・ニューソンの映画『手紙、なぞなぞ、書き物』のために作曲された。(中略)歌のテキストとして、モーツァルトの手紙や残された書き物が使われている。また、(中略)死の直前にモーツァルトが自分の作曲家としての見通しについて述べた言葉も、加えられている。」

「●パリの饗宴〔パリはまたまた大騒ぎ〕 
 1989年、フランス革命200年を祝って行なわれた『パリの横断』という視聴覚による展覧会のために書かれた音楽から取られている。若きランボーがパリの喧騒を描いた詩が自由に抜粋され、テキストとして再構成されている。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(本文16頁)に解説「《ソングブック》について」(柿沼敏江)、「アーティスト紹介」、「歌詞対訳」(中村朝子柿沼敏江)、写真図版(モノクロ)1点。

ツェランの詩はドイツ語、シェイクスピアモーツァルトは英語、ランボーはフランス語で歌われています。モーツァルトの「私は奇妙な存在だ」は「なぞなぞ」です。
パウル・ツェランの詩の訳は「『パウル・ツェラン全詩集』中村朝子・訳(青土社)より転載」。

パウル・ツェランの詩による歌曲には他にバートウィッスルの「ツェランの詩による3つの歌」(1993年録音)がありますが、これとそれとを比べると、ブーレーズ指揮によるバートウィッスルはいかにも難解な現代音楽であり、ナイマンの(音楽をベートーヴェン的苦悩と葛藤以前に戻すかのような)バロック=ミニマル音楽はたいへんききやすいです。ツェランの断片的・吃音的で難解な詩には難解な現代音楽のセッティングのほうがふさわしいような気もしますが、これはこれでよいです。

★★★★★ 


Six Celan Songs (Paul Celan) - 4. Corona