幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『ストラヴィンスキー: 兵士の物語』  ジャン・フィリップ・オーモン/レオポルド・ストコフスキー

ストラヴィンスキー: 兵士の物語』 
ジャン・フィリップ・オーモン/レオポルド・ストコフスキー 

Stravinsky 
L'Histoire du Soldat 

Madeleine MIlhaud/Narrator 
Jean Pierre Aumont/The Soldier 
Martial Singher/The Devil 
Instrumental Ensemble 
conducted by 
Leopold Stokowski 


LP: ヴァンガードレコード/キングレコード株式会社 
シリーズ: ヴァンガード名盤ライブラリー 
K18C-8519 (1985年) 
¥1,800 

 

f:id:nekonomorinekotaro:20211023093903p:plain


ストラヴィンスキー 
Stravinsky 
兵士の物語 
(C. F. ラミューズのテキストによる) 
L'Histoire du Soldat (Libretto by C.F. Ramuz) 

第1部 〔第1面〕
1.兵士の行進 
The Soldier's March 
2. 第1景への音楽(兵士のヴァイオリン) 
Music to Scene 1 (Airs by Stream) 
3. 「兵士の行進」のくりかえし 
Reprise of the Soldier's March 
4.第2景への音楽(田園の音楽) 
Music to Scene 2 (Pastorale) 
5.田園の音楽の後奏 
Postlude to Pastorale 
6.第3景への音楽(田園の音楽のくりかえし) 
Music to Scene 3 
7.「兵士のヴァイオリン」のくりかえし 
Reprise of Airs by Stream 

第2部 〔第2面〕 
8.兵士の行進 
The Soldier's March (Extended version) 
9.王様の行進 
Royal March 
10.小さいコンサート 
The Little Concert 
11.三つの舞曲(タンゴ―ワルツ―ラグタイム) 
Three Dances 
12.悪魔の踊り 
The Devil's Dance 
13.小さいコラール 
The Little Chorale 
14.悪魔の歌 
The Devil's Song 
15.大きいコラール 
The Great Chorale 
16.悪魔のがいせん行進曲 
Triumphal March of the Devil 


マドレーヌ・ミヨー(ナレーター) 
Madeleine Milhaud (Narrator) 
ジャン・ピエール・オーモン(兵士) 
Jean Pierre Aumont (the Soldier) 
マルシャル・サンゲー(悪魔) 
Martial Singher (the Devil) 
ジェラルド・タラック(ヴァイオリン) 
Gerald Tarack (violin) 
チャールズ・ルッソー(クラリネット) 
Charles Russo (clarinet) 
セオドア・ワイス(トランペット) 
Theodore Weis (trumpet) 
ジュリウス・レーヴィン(ダブル・ベース) 
Julius Levine (double bass) 
ローレン・グリックマン(バスーン) 
Loren Glickman (bassoon) 
ジョン・スワロウ(トロンボーン) 
John Swallow (trombone) 
レーモン・デロシュ(パーカッション) 
Raymond Desroches (percussion) 
指揮: レオポルド・ストコフスキー 
Leopold Stokowski, conductor 

(フランス語版) 
(Narration & Dialogue in French) 


◆本LP解説(岡俊雄)より◆ 

ストラヴィンスキーがシャルル・フェルナン・ラミューズ(1878~1947)に会ったのは1915年のことである。」
ストラヴィンスキーは(中略)次のように述懐している。
 「われわれが初めて会ったのは、私は32歳、ラミューズは40歳、ローザンヌのレストランだった。(中略)われわれは私の作品のロシア語のテキストのフランス版のために一緒に仕事をしたのだが、私の生涯でもっとも楽しい文学的な協同作業のひとつだった」。
 ラミューズは「結婚」「狐」を初め、この時代のストラヴィンスキーの歌曲の、ロシア語歌詩の仏訳の大部分を行なっている。そのストラヴィンスキーも、ラミューズも、大戦下の苦しい状況を切りぬけるために、何らかの新しい作品の上演形態を考えなければならなかった。
 ラミューズの回想によれば、
 「ある日、ストラヴィンスキーと私は、(中略)単純な作品の可能性を論じていた。大劇場の大観衆を相手にする作品である必要はない。数個の楽器と2、3人の俳優だけで演じられる作品を共作したって悪くはあるまい。われわれ自身で舞台をつくり、ありあわせの場所でもやれるもの、それは野外でやったってよいだろう。巡業劇団の伝統をわれわれのやりかたで再現すればよいのだ」。
 こうしてようやく実現することになった新しい仕事の素材を、ストラヴィンスキーはその頃夢中になって読んでいたアレギザンドル・アファナシェフの編んだロシアの民話集のなかからとることにし、ロシアの民間伝承に関心をもっていたラミューズもそれに賛成した。「われわれは、脱走した兵士と彼の魂を盗みにくる悪魔の冒険を扱った一連の物語にとくに心をひかれた。それはニコライ一世の治下における強制徴兵の残酷な時代の民間説話であった。……この題材はロシア特有の性質のものであったが、人間一般に共通した情況と感情に訴える寓意をもっており、ラミューズと私をひきつけたのは、悪魔の虜になるような宿命をもった兵士の物語に、本質的に人間的なものがあったからである。」
「初演は、1918年9月28日に、ローザンヌの市立劇場で行なわれた。キャストはパントマイムを演ずるために悪魔がジョルジュ・ピトエフ(1886~1939、ロシア生まれの舞台の名優で、日本には戦前ジャック・フェデエの映画「外人部隊」が紹介されている)とその夫人のリュミドラ・ピトエフ(1900~1951、同じく舞台の名女優であった)、兵士はローザンヌ大学の学生ガブリエル・ロッセルが演じた(パントマイムの振付はリュドミラ・ピトエフが担当)。音楽の指揮はストラヴィンスキーがこの頃いちばん信頼していた気鋭のエルネスト・アンセルメ(当時35歳)だった。」


◆本LPについて◆ 

厚紙シングルジャケ。裏ジャケに日本語解説(岡俊雄)。インサートに岡俊雄ストラヴィンスキー〈兵士の物語〉ストーリーと音楽」。歌詞は掲載されていません。録音年月日の記載はありませんが、原盤リリースは1967年です。
ナレーターのマドレーヌ・ミヨーは女優で、作曲家ダリウス・ミヨーの従妹/奥さんです。

★★★★☆ 

 

L'histoire Du Soldat, Part 1 - The Soldier's March