幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『ストラヴィンスキー: 詩篇交響曲/バレエ音楽「結婚」』  エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団

ストラヴィンスキー詩篇交響曲バレエ音楽「結婚」』 
エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団 

Stravinsky 
Symphony of Psalms 
Les Noces  
Ernest Ansermet 
L'Orchestre de la Suisse Romande 


LP: ロンドンレコード/キングレコード株式会社 
シリーズ: アンセルメの芸術 
GT 9242 (1979年) 
¥1,300 

 

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ストラヴィンスキー 
Stravinsky 


〔SIDE 1〕 

詩篇交響曲(1930) 21:04 
Symphony of Psalms 

ローザンヌ青年合唱団 
Le Choeur des Jeunes de Lausanne 
ローザンヌ放送合唱団 
Le Choeur de Radio-Lausanne 
(合唱指揮: アンドレ・シャルル) 
(Director: André Charlet) 
エルネスト・アンセルメ指揮 
Ernest Ansermet conducting 
スイス・ロマンド管弦楽団 
L'Orchestre de la Suisse Romande 


〔SIDE 2〕 

バレエ音楽「結婚」(1923) 24:25 
Les Noces, Ballet 

バシア・レチッカ(ソプラノ) 
Basia Retchitzka (Soprano) 
ルシェンヌ・ドゥヴァリエ(コントラルト) 
Lucienne Devallier (Contralto) 
ユーグ・キュエノー(テノール) 
Hugues Cuénod (Tenor) 
ハインツ・レーフス(バス) 
Heinz Rehfuss (Bass) 
ジャック・オルネフェール(ピアノ) 
Jacques Horneffer (Piano) 
ルネ・プテール(ピアノ) 
Renée Peter (Piano) 
ドリス・ロシオー(ピアノ) 
Doris Rossiaud (Piano) 
ロジェ・オーベール(ピアノ) 
Roger Aubert (Piano) 
ジュネーヴ・モテット合唱団 
The Motet Choir of Geneva 
(ヴラディーミル・ディアコフ: バス) 
(Vladimir Diakoff - Bass) 
(合唱指揮: ジャック・オルネフェール) 
(Director: Jacques Horneffer) 
エルネスト・アンセルメ指揮 
Ernest Ansermet conducting 
スイス・ロマンド管弦楽団 
L'Orchestre de la Suisse Romande 

Recorded Feb. 1961 

表紙絵: ルドン/両腕をのばす女の胸像 


◆本LP解説(秋山邦晴)より◆ 

「●詩篇交響曲
「この作品のスコアには、「この交響曲は、神の栄光のために作曲され、創立50周年に際してボストン交響楽団にささげられる」と書かれている。1930年の作品である。」
「言葉はすべてラテン語で歌われるが、その合唱はあくまで楽器と同列の役割をもたされて、音色と表現の強化という手段で扱われている。(中略)オリヴィエ・メシアンは、かつてこの曲のリズムの詩的な力をギリシャの詩にたとえたことがあった。」

「●バレエ音楽「結婚」」
ストラヴィンスキーは、(中略)〈春の祭典〉の初演後14ヵ月目の1914年7月にこの作品に着手した。しかしさまざまな都合で中断し、1917年~23年4月6日にモンテ・カルロで完成。ロシア・バレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフに捧げた。初演は1923年6月13日、パリのゲーテ・リリーク劇場で、ロシア・バレエ団によっておこなわれた。指揮者はこのLPをいれているエルネスト・アンセルメ、(中略)それに4台のピアノ演奏は、マルセル・メイエル、エレーヌ・レオン、ジョルジュ・オーリックエドワール・フラマンという異色の顔ぶれだった。」
ストラヴィンスキーはこの作品のサブタイトルに〈歌と音楽をともなうロシアの舞踊曲〉としるしている。舞台の装置のまえで、衣裳をつけた登場者が歌い、演じ、踊るのである。しかしかれが考えたのはオペラではなく、合唱と4人の独唱(ソプラノ、メッゾ・ソプラノ、テノール、バス)と伴奏楽器によって中断なく演奏される4部からなる一種のカンタータともいうべきものである。」
「ここでは民謡詩の素朴なごつごつとした詩の音綴の抑揚を重視した結果は、きれぎれで、粗野にぶつかりあうようなユニークな魅力ある音楽をつくりだしている。第4場に数回ロシア民謡から主題をかりている他は、すべて創作した旋律である。その極度に単純化された異教徒的な、ふしぎな呪文とでもいった抒情性がある。それらはいずれもロシアの音階にもとづいていて、ヨーロッパの音楽にはない異様な感触のひびきなのだ。」
 リズムの構造のうえでは、8分音符やそれよりも短かい音符がきわめてふんだんに使われ、そこにもなにかふしぎな呪文的な雰囲気がうまれている。」
「かれの意図はピアノも打楽器的に取り扱い、人声の表現する単純な形態に、複雑なリズムをぶつけて、ひとつの力強い結合をうみだそうとしたのだろう。
 たしかにこうしたリズムと、新奇な楽器編成によるメカニックで呪文的なぶつかり合いといった表現への実験は注目にあたいする。この作品がオルフの〈カルミナ・ブラーナ〉や、その他の作曲家の作風に大きな影響をあたえたことも当然であったかもしれない。〈春の祭典〉とこの〈結婚〉の2曲だけでも、ストラヴィンスキーが現代音楽の代表的な存在として残ることは間違いあるまい。」


◆本LPについて◆ 

厚紙シングルジャケット。裏ジャケに解説(秋山邦晴)、演奏者(アンセルメ)紹介(志鳥栄八郎)。インサート(4頁)に対訳(小倉重夫)、歌詞対訳(秋山邦晴)。

★★★★★ 


Les Noces - Première Partie - 2. Deuxième Tableau: Chez le Marié