幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『パリ1920(プーランク、ミヨー、オネゲル)』  セミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団・合唱団

『パリ1920(プーランク、ミヨー、オネゲル)』 
セミヨン・ビシュコフ指揮/パリ管弦楽団・合唱団 

PARIS 
1920 

Poulenc 
Milhaud 
Honegger 

Orchestre de Paris 
Semyon Bychov 


CD: Philips/日本フォノグラム株式会社 
PHCP-5184 (1993年) 
¥3,000(税込)(税抜価格¥2,913) 

 

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プーランク(1899-1963) 
Francis Poulenc 

バレエ「牝鹿」 
Les biches 
1.序曲 3:17 
Overture 
2.ロンドー 3:36 
Rondeau 
3.舞踏歌 4:36 
Chanson dansée 
4.アダージェット 4:32 
Adagietto 
5.遊戯 4:18 
Jeu 
6.ラグ=マズルカ 6:20 
Rag-Mazurka 
7.アンダンティーノ 3:21 
Andantino 
8.小舞踏歌 2:05 
Petite chanson dansée 
9.フィナーレ 3:27 
Final 


ミヨー(1892-1974) 
Darius Milhaud 

10.バレエ「屋根の上の牛」 17:00 
Le boeuf sur le toit 


オネゲル(1892-1955) 
Arthur Honegger 

パシフィック231 
Pacific 231 
11.交響的楽章 6:39 
Mouvement symphonique 


パリ管弦楽団 
Orchestre de Paris 
パリ管弦楽団合唱団(合唱指揮: アーサー・オールダム)(牝鹿) 
Choeur de l'Orchestre de Paris (Chorus master: Arthur Oldham) 
指揮: セミヨン・ビシュコフ 
Conducted by Semyon Bychkov 

録音: 1991年4月19-20日、パリ、サル・ワグラム 
デジタル録音

Artists & repertoire production: Anna Barry 
Recording producer & balance engineer: Hein Dekker 
Recording engineers: Jan Wesselink, Roger de Schot, Fiona Gale 
Tape editors: Jan Wesselink, Tjeerd Veeger, Thijs Hoekstra 

Total playing-time  62:08 

Illustration: "Prête pour le Bal" (Sept. 1981) by ERTE 
Art direction: George Cramer 


◆本CD解説(濱田滋郎)より◆ 

セミヨン・ビシュコフは1952年レニングラードの生まれであるから、現在40代に入ったところ。(中略)パリ管と入れたこのディスクは、いわゆる〈フランス六人組〉の3主要作曲家による、それぞれの流儀で生命感をみなぎらせた名曲を、3篇そろえたものである。」

プーランク: バレエ「牝鹿」」
「ここに聴くバレエ曲《牝鹿(めじか)》は1923年、プーランクが24歳の若さで書き上げた初期の逸品である。作曲の動機は、当時パリを中心にさかんに活動していたロシア・バレエ団の主宰者、セルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)からの依頼にあった。」
「バレエは1924年1月6日、ディアギレフとロシア・バレエ団により、モンテカルロで初演された。舞台装置(幕を含む)・衣裳を担当したのは、プーランクより16歳年長ですでに名声高かった閨秀画家マリー・ローランサン(1883-1956)で、(中略)振付けと主役はラ・ニジンスカ、(中略)初演は大成功を博した。」
「このバレエ曲は、作曲者自身が1940年に編んだ〈組曲〉の形でも知られ、実際に演奏を聴くのはそちらのほうが多いが、ここに繰りひろげられるのは、9つの部分から成る〈全曲版〉で、これには3か所にわたり声楽が入っている。」

「ミヨー: 屋根の上の牛
第一次世界大戦中であった1916年から18年まで、すなわち彼が20歳代半ばの頃、ミヨーは詩人かつ大使ポール・クローデル(1868-1955)の随行員となって、ブラジル首都(当時)リオデジャネイロに滞在したことがある。」
「ブラジル滞在中の1918年に書き始められ、翌19年、帰国後に完成を見たこの曲を、ミヨーは当初〈シネマ・ファンタジー〉と呼んだ。彼自身によれば、「……この曲の性格は、チャーリー・チャップリンの(無声)映画のあるものを伴奏するのにぴったりだ」と思えたからである。ところがこの曲は、時代の寵児であったジャン・コクトー(1889-1963)により、モダンでファンタスティックなバレエのために使われることとなった。(中略)なお、気になる題名の《屋根の上の牛》は、ミヨーがリオで耳にした大衆的な歌の題だということである。」

オネゲルパシフィック231
「彼の名を世に広めた作品のひとつ《パシフィック231》は、彼が3曲残している“交響的断章”の最初のもの(中略)で、1923年に作曲され、翌24年に初演された。「これは機関車の視覚的な印象と、その肉感的な愉悦を音楽的に構成してみたものだ」と、オネゲルは述べており、(中略)彼はまた「私はひとが女や馬を愛するように機関車が好きなのだ」とも言っている。」


◆ブックレット(全16頁)に解説「感興ゆたかな音の絵巻」(濱田滋郎)、「牝鹿」歌詞対訳(木村博江)、トラックリスト&クレジット。

ブックレット表紙の文字は金色になっています。

★★★★☆ 


Milhaud: Le boeuf sur le toit, Op. 58