幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

Tim Hart and Maddy Prior  『Folk Songs Of Olde England Vol. 1』

Tim Hart and Maddy Prior 
『Folk Songs Of Olde England Vol. 1』 


CD: Mooncrest Records Ltd, London  
CRESTCD 006 (1991) 

 

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1. Lish Young Buy-a-Broom 
2. Adieu Sweet Lovely Nancy 
3. Maid That's Deep In Love 
4. The Rambling Sailor 
5. Bruton Town 
6. Farewell Nancy 
7. The Dalesman's Litany 
8. The Brisk Butcher 
9. The Stately Southerner 
10. Who's The Fool Now 
11. A Wager A Wager 
12. Babes In The Wood 
13. Adam and Eve 

All titles Trad. Arr. Hart 


◆本CD解説(John Tobler)より大意◆ 

マディ・プライアの回想「「ピーヘン(孔雀)」というパブにみんなで集まった。ドノヴァンの「ハーディ・ガーディ・マン」のモデルになったマック・マクラウドやボブ・カーと歌ったり、ゾンビーズと「サマータイム」を歌ったこともある。学校を出てアメリカの歌手の運転手(ローディー)をやっていた時にフォーク歌手のサンディ&ジニーを乗せた。ディランやPPMの歌を歌っていたら、サンディ&ジニーがそんなのはやめてイギリスのトラディショナル・ソングを歌うべきだといって、イワン・マッコールのテープをきかせてくれた。それからトラッド・ソングをおぼえるようになってティムと出会った」。
ティム・ハートによると一緒に歌いはじめたのは1966年で、「ダラムでのギグを皮切りに、地元のセント・オールバンズはもとよりイギリスじゅうをまわった。各地のフォーク・クラブはトラッド中心だったし、われわれもトラッド・ソングが好きだったので、レパートリーを広げ、深く掘り下げるようになった。他の誰もやってない歌を歌おうと、セシル・シャープ・ハウスで文献を漁り、各地の民謡採集家を訪ねた。A・L・ロイドからも教わった。
『Vol. 1』の時は、2時にスタジオに入って5時に出て、それでアルバムが完成した。オリジナル盤は「Teepee」レーベルからリリースされた。ティーピーというのはトニー・パイクのイニシャルで、彼が録音とプロデュースを担当した。テオ・ジョンソンという、ラグビーの歌を歌っていた男が、1967年のいつだったか、マディと僕がクラブで歌っているところにやってきて、レコードを出したくないかというので「それもいいね」と答えると、すぐにスタジオ入りして一丁上がりというわけ。録音よりジャケット用の写真撮影の方が時間がかかったよ。だから言葉のまちがいとかもたくさんある。「Dalesman's Litany」で「Keighley」(キフリー)が「Keyley」(キーリー)になっていたり」。


◆本CDについて◆ 

後にスティーライ・スパンを結成するティム・ハート(ヴォーカル、ギター、バンジョーダルシマー)&マディ・プライア(ヴォーカル)のデビュー作『フォーク・ソングス・オブ・オールド・イングランド』Vol. 1(全2巻)。

二つ折りブックレット(4頁)にJohn ToblerによるCD解説、LP(Mooncrest CREST 23/1974年)裏ジャケ文再録。インレイにトラックリスト。

1968年に英TepeeからLPリリース(『Folk Songs of Old England Vol. 1』)、1969年にLP再発、1974年に英Mooncrestから『Folk Songs of Olde England Vol. 1』のタイトルでLP再々発、1976年に『Steeleye Span's Tim Hart and Maddy Prior sing Folk Songs of Old England Vol. I』のタイトルで再々々発、1991年にLP再々々々発&初CD化(本CD)。再発されるたびにジャケットデザインが変わっています。タイトルも微妙に変わっています。しかし内容は同じです。

#1はティムがリード・ヴォーカル、マディはコーラス、伴奏はバンジョー
#2、9、12、13は無伴奏デュエット。
#3、5はマディがヴォーカル、伴奏はダルシマー
#4はティム(無伴奏)。
#6、7はティムのギター弾き語り。
#8、11はマディ、伴奏はバンジョー
#10はティムがリード、マディがコーラス、伴奏はギター。

本作は後のスティーライ・スパンへの布石としても重要ですが、「Maid That's Deep In Love」「Bruton Town」はペンタングルも取り上げていて、ティム&マディのヴァージョンが元になっていると思いますが、原石を磨いて玉にしたといったあんばいで、興味深いです。

★★★★★ 


Tim Hart and Maddy Prior - Maid That's Deep in Love


Pentangle - A Maid That's Deep in Love


Tim Hart - The Dalesman's Litany