『La Musique de la Bible révélée』
Une notation millénaire aujourd'hui décryptée par Suzanne Haïk Vantoura
『旧約聖書の音楽』
記譜解読、音楽監修: シュザンヌ・ハイク・ヴァントゥーラ
CD: Harmonia Mundi France
Series: Musique d'abord
HMA 190989
発売元: 株式会社 ANF コーポレイション
ANF-2083HMC (1990年)
LA MUSIQUE DE LA BIBLE RÉVÉLÉE
Une notation millénaire aujourd'hui décryptée par Suzanne Haïk Vantoura
THE MUSIC OF THE BIBLE
A thousand year-old notation deciphered by Suzanne Haïk Vantoura
DIE MUSIK DER BIBEL
Eine tausendjährige Notation entziffert von Suzanne Haïk Vantoura
旧約聖書の音楽
1. Psaume 23 "L'Éternel est mon berger" 2:08
Psalm 23 "The Lord is my shepherd"
詩篇 第23篇「主はわが羊飼いなり」
2. Bénédiction sacerdotale (Nombres VI, 22) 1:56
Sacerdotal Benediction (Numbers VI, 22)
民数記 第6章22~27節
3. Psaume 24 "À l'Éternel appartient la terre" 2:54
Psalm 24 "The earth is the Lord's"
詩篇 第24篇「地は主のものなり」
4. Cantique des Cantiques (I, 1) 1:36
The Song of Songs (I, 1)
雅歌 第1章1~4節
5. Psaume 6 3:25
Psalm 6 "O Lord, rebuke me not"
詩篇 第6篇「おお主よ、我を責めたもうな」
6. Lamentations (I, 1) 1:51
Lamentations (I, 1)
哀歌 第1章1~2節
7. Psaume 133 1:35
Psalm 133 "Behold, how good"
詩篇 第133篇「見よ、いかに善く」
8. "Ecoute, Israël" (Deutéronome VI, 4) 2:20
"Hear, O Israel" (Deuteronomy VI, 4)
聴け イスラエルよ (申命記 第6章 4~9節)
9. Psaume 150 "Alleluia!" 1:00
Psalm 150 "Praise ye the Lord"
詩篇 第150篇「汝ら主をほめたたえよ」
10. Émégie de David (II samuel I, 19) 5:18
Elegy of David (II Samuel I, 19)
ダビデの悲歌 (サムエル記Ⅱ 第1章 19~27節)
11. Psaume 122 "Je suis joyeux lorsqu'on me dit..." 1:44
Psalm 122 "I was glad when they said"
詩篇 第122篇「我 喜びぬ、我に言われし時」
12. Psaume 123 "Vers toi j'élève mes regards..." 2:08
Psalm 123 "Unto thee lift I up my eyes"
詩篇 第123篇「我 汝に向いて我が目をあげたり」
13. Esther (V, 1) 2:22
Esther (V, I)
エステル記 第5章1~3節
14. Le buisson ardent (Exode III, 1) 6:59
The burning Bush (Exodus III, 1)
燃ゆるいばら (出エジプト記 第3章1~14節)
Adolphe Attia, ténor
アドルフ・アッティア(テノール)
Michel Scherb, baryton
ミシェル・シェルブ(バリトン)
Emile Kaçmann, basse
エミール・カスマン(バス)
Choeurs sous la direction de Maurice Benhamou
モーリス・ベナムー(合唱指揮)
Martine Géliot, harpe celtique
マルティーヌ・ジュリオ(ハープ)
Raymond Cousté, luth
レーモン・クステ(リュート)
Gérard Perrotin, percussions
ジェラール・ペロタン(パーカッション)
Pierre Pollin, trompette
ピエール・ポラン(トランペット)
Accompagnement instrumental et réalisation: Suzanne Haïk Vantoura
記譜解読、音楽監修: シュザンヌ・ハイク・ヴァントゥーラ
Enregistrement novembre 1975
Prise de son J.M. Golaz
◆本CD別冊解説(伊藤恵子)より◆
「古来、連続して記された文字を、語句または文節毎に区切る記号が案出されたが、地中海世界では各音声を明示する記号体系が発達。特にヘブライ語圏では音楽的により高度に組織化された朗唱とその記号体系タアメイ・ハミクラ(ta'amei ha'mikra)が確立し浸透した。言語・音楽両面から、より精確な文章解釈をめざす総合的表現法とその体系である。
タアメイ・ハミクラのほとんどに、ザルカ(zarka)、セゴル(segol)等アラム語起源の名称が付され、固有の唱法、旋律動機、展開によるニギノト(niginot=旋律)を表現した。」
「タアメイ・ハミクラとニギノトの研究は、16世紀、多数のニギノトを五線譜化したドイツの聖書学者 J. v. ロイヒリン(1455~1522)に始まる。
しかしヘブライ語の聖書朗唱の音楽学的研究が本格化するのは今世紀初頭である。
A. Z. イデルゾーン(1882~1938)、R. ラッハマン(1892~1939)、S. ロソフスキ(1878~1962)、E. ゲルソン=キヴィ(1908~)等が、東西ヨーロッパからアジアまでほぼ全世界に離散したユダヤ人の朗唱旋律を採譜・分析し、次のように結論づけた。
●それらの旋律は同一の原型に基くと推定しうる。
●人々は滅び去った祖国の再建と伝統継承を信仰の根底においたが、この保守性がニギノトの音楽的発展を阻止。地理的に隔たり、緊密な相互交流もなかった各共同体が朗唱旋律の原型を保持・伝承しえた。
A. シロア(1928~)等によれば、ニギノトは中東とヨーロッパの二つの系譜に大別できるという。そして周辺地域の音楽文化に少なからず同化・影響された後者に対し、前者は原初的な形をより忠実に伝承しているとの見解が多いようだ。
フランス系ユダヤ人、S. H. ヴァントゥーラ女史監修のこのCDは、ヨーロッパ系ニギノトに基き、第二神殿時代の聖書朗唱復元を意図したものである。女史は聖書のヘブライ原文を綿密に検証、行間に記されたタアメイ・ハミクラを新たに解読し、ヨーロッパ各地のユダヤ人共同体に伝わるニギノトと比較検討した。更に聖書学(考古学・歴史学・文献学・語学・釈義学)の最新研究成果を総動員して往時の旋律再現を試みたのである。」
◆本CDについて◆
輸入盤(別冊解説書付)。原盤ブックレット(全12頁)にトラックリスト、Sylviane Falcinelliによる解説(仏語原文/英・独訳)、「dans la même collection」(CDリスト)。別冊解説書(全20頁)に「解説」(伊藤恵子)、「監修者について」(無記名)、「旧約聖書の文学史的・文献学的な興味」(永田仁)、歌詞対訳(伊藤恵子)。
作曲家・音楽理論家のシュザンヌ・ハイク・ヴァントゥーラが旧約聖書のヘブライ語本文に付された記号を楽譜(vocal score)として解読、聖書に秘められたメロディを復元した(と称する)一連の録音の最初のもので、1975年録音。LPリリースは1976年。
★★★★☆
Cantique des Cantiques
本CD別冊解説歌詞対訳より:
「雅歌 第1章 1~4節」
「1 shir hashirim asher lishlomoh
ソロモンの唄の唄。
2 yishshaqeni minnshiqot pihou
願わくは、彼、その口の口づけもて 我に口づけせんことを
ki-tovim dodekha miyyayin
汝が愛はぶどう酒にまさり
3 lere-ah shemanekha tovim
汝がにおい油はかぐわしければなり、
shemen touraq shemekha
汝が名は注がれし油のごとし、
'al-ken 'alamot ahevoukha
されば乙女ら汝を愛せり。
4 moshkheni aharekha naroutsah
我を引き寄せたまえ、我ら汝が後に走らん、
hevi-ani hammelekh hadarav
王は我らをその酒倉に導き入れたまえり、
nagilah venismeha bakh
我ら汝によりて喜び楽しみ、
nazkirah dodekha miyyayin
ぶどう酒にまさりて汝が愛を想わん、
mesharim ahevoukha
直きもの汝を愛す。」