『武満徹=ギター作品集成 1961~1995』 鈴木大介=ギター
Guitar Works by Toru Takemitsu
CD: 株式会社フォンテック
FOCD 9229 (2005年)
定価¥1,500+税
帯文:
「武満徹 最愛の楽器……ギター
「不良少年」から「森のなかで」(1995)までの軌跡」
帯裏文:
「武満徹は、
その創作の初期より
リュートなどの撥弦楽器を
重用していました。
とりわけギターには
強い愛着を持ち、
ピアノ、オーケストラと並び
数多くの名作を刻み続けました。
晩年の武満が
「かつて聴いたことがないような
ギタリスト」と賞賛した
鈴木大介の演奏から
“小さな愛すべき楽器”に託した
壮大な全貌が見えてきます。」
森のなかで (1995) 14:33
IN THE WOODS three pieces for guitar
1.ウェインスコット・ポンド―コーネリア・フォスの絵画から― 3:57
Wainscot Pond -after a painting by Cornelia Foss-
2.ローズデール 4:27
Rosedale
3.ミュアー・ウッズ 6:00
Muir Woods
ギターのための12の歌 (1977) 29:20
12 SONGS FOR GUITAR transcriptions for guitar
4.ロンドンデリーの歌 1:36
LONDONDERRY AIR Irish Folk Song
5.オーバー・ザ・レインボー 2:37
OVER THE RAINBOW composed by Harold Arlen
6.サマータイム 2:57
SUMMERTIME composed by George Gershwin
7.早春賦 2:34
A SONG OF EARLY SPRING composed by Akira Nakada
8.失われた恋 2:31
AMOURS PERDUES composed by Joseph Cosma
9.星の世界 1:31
WHAT A FRIEND composed by Charles C. Converse
10.シークレット・ラヴ 1:27
SECRET LOVE composed by Summy Fain
11.ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア 3:02
HERE, THERE AND EVERYWHERE composed by John Lennon and Paul McCartney
12.ミッシェル 2:46
MICHELLE composed by John Lennon and Paul McCartney
13.ヘイ・ジュード 2:39
HEY JUDE composed by John Lennon and Paul McCartney
14.イエスタデイ 2:58
YESTERDAY composed by John Lennon and Paul McCartney
15.インターナショナル 2:07
THE INTERNATIONAL composed by Pierre Degeyter
フォリオス (1974) 10:42
FOLIOS for guitar
16.I. 3:15
17.II. 3:41
18.III. 3:40
19.不良少年 (1961/93) 2:42
BAD BOY for two guitars (edited by Norio Sato)
20.ヒロシマという名の少年 (1987) 2:13
HIROSHIMA TO IU NA NO SHONEN for two guitars
21.エキノクス (1993) 5:14
EQUINOX for guitar
すべては薄明のなかで (1897) 11:07
ALL IN TWILIGHT four pieces for guitar
22.I. 2:57
23.II. 2:43
24.III. 2:12
25.IV. 3:04
26.ラスト・ワルツ (1983) 3:10
THE LAST WALTZ transcription for guitar
composed by Les Reed and Barry Mason
Total time: 79:35
鈴木大介 guitar
Daisuke SUZUKI
「収録時間の都合上、「ギターのための12の歌」はリピートの省略等を行い演奏しています。ご了承ください。[19]、[20]は二重録音です。」
Producer
Akira MATSUDA
Engineer
Yugo KIKUCHI
Art Director
Tsunemi MORIMOTO
Booklet Inside Layout
Jiro KUNO
Cover Photographer
Hikaru SASAKI
Photo of Toru TAKEMITSU
Shinji TAKEHARA
Recording Dates
5-7 Dec. 1996
Location
Muse Park, Chichibu, Saitama
◆本CD「作品解説」より◆
「森のなかで (1995)」
「各章に附されたタイトルは北米の地名で、それぞれの場所に、美しい、大、小の森がある。」(武満徹)
「ギターのための12の歌 (1977)」
「私はギターという楽器が好きです。そして、自身のよろこびのためにこの「12の歌」を編曲したのですが、だがそればかりではなかった。率直に言って、私は、現在のギター音楽のレパートリーの狭さに疑問を感じるし、また不満があります。(中略)私は、大それた野心を抱いてこの編曲を試みたわけではありませんが、ギタリストたちの固定した風景にもうひとつの窓から別の風景を開きたいと考えたのです。」(武満徹)
「フォリオス (1974)」
「タイトルのフォリオの意味は、英語で、ふたつ折りの紙を指し、それぞれ2ページに書かれた独立した小品という程度の意味合いで使われている。」
「フォリオⅠは、旋律の透明な遠近法 Ⅱは3+4を基本においた雨の音楽 Ⅲは悼歌、〈マタイ受難曲〉よりの引用が聴かれる。」(武満徹)
「不良少年 (1961/93)」
「羽仁進監督による映画「不良少年」(1961)の為のテーマ音楽。」
「オリジナルはギター三重奏であったが、1992年に佐藤紀雄氏編曲による二重奏版が福田進一氏とのデュオで初演され、翌年日本ショット社より出版された。」(鈴木大介)
「ヒロシマという名の少年 (1987)」
「菅田良哉監督による映画「ヒロシマという名の少年」(1987)の為のテーマ音楽。佐藤紀雄氏、小川和隆氏によって初演されたギター二重奏の為の作品。」(鈴木大介)
「エキノクス (1993)」
「ギターのための《エキノクス》は、カタロニアの画家、ジョアン・ミロの同名の絵画に想をえて作曲された。
タイトルのエキノクスは、昼夜の時間の長さが平均した、秋分と春分のことだが、曲のプロポーションや音程的な構造の点に、幾分このタイトルとの関連性があることを除けば、特に内容的には、文学的な意味合いは全くない。」(武満徹)
「すべては薄明のなかで (1987)」
「ジュリアン・ブリームの委嘱で作曲され、かれに捧げられている。画家パウル・クレーの同名の作品から受けた印象が、パステル風の淡い色彩で描かれた、四つの異なる線の音楽として作曲されている。」(武満徹)
「ラスト・ワルツ (1983)」
「鈴木一郎氏の為、1983年に編曲された。原曲はエンゲルベルト・フンパーディンクの名唱によって知られる。」(鈴木大介)
◆本CDについて◆
ブックレット(全20頁)にトラックリスト&クレジット、「メロスの力、武満徹のギター音楽」(細川俊夫)、「作品解説」(武満徹/鈴木大介)およびその英訳、「鈴木大介」(演奏者紹介)、写真図版(モノクロ)2点。ブックレット裏表紙に写真図版(モノクロ)1点。
エキノクス、フォリオ、トワイライトなどは(あるいは「少年」も)二つの時空のあわいにたゆたうものです。
「12の歌」は、ビートルズ率が高いですが、アイルランド、アメリカ、イギリス、フランス、日本など多国籍で、内容的にも、讃美歌(「星の世界」=「慈しみ深き友なるイエスは」)から革命歌(「インターナショナル」)まで、片寄ることなく選ばれています。
★★★★★
広島という名の少年