幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『ミュージングゾーンⅡ|武満徹作品集』 

『ミュージングゾーンⅡ|武満徹作品集』 

MUSING ZONE II 
WORKS BY TORU TAKEMITSU 


CD: 株式会社フォンテック 
FOCD3255 
税込定価¥3,008(税抜価格¥2,920) 
Made in Japan 

 

f:id:nekonomorinekotaro:20220302220518p:plain


帯文: 

「いま、〈TAKEMITSU〉美学への敬意と共感― 
管楽器作品を中心に、特に「アントゥル=タン」、最新作「巡り」は初登場です。」


TOWARD THE SEA for alto flute and guitar (1981) 
海へ――アルト・フルートとギターのための 
1.Ⅰ. The Night 〔夜〕 4:26 
2.Ⅱ. Moby Dick 〔白鯨〕 4:32 
3.Ⅲ. Cape Cod 〔鱈岬〕 3:40 

MASQUE for two flutes (1959/60) 
マスク――2本のフルートのための 
4.Ⅰ. Continu 3:02 
5.Ⅱ. Incidental 2:37 
6.Ⅲ. Incidental II 3:46 

7.VOICE for solo flutist (1971) 7:19 
ヴォイス――独奏フルート奏者のための 

8.ITINERANT - In Memory of Isamu Noguchi - for flute (1989) 5:45 
巡り―イサム・ノグチの追憶に― ――フルートのための 

9.DISTANCE for oboe with shō (1972) 9:51 
ディスタンス――オーボエと笙のための 

10.ENTRE-TEMPS for oboe and string quartet (1986) 11:29 
アントゥル=タン――オーボエ弦楽四重奏のための 


Pierre-Yves ARTAUD ([1]-[8]) 
ピエール-イヴ・アルトー―flute, alto flute 
Norio SATO ([1]-[3]) 
佐藤紀雄―guitar 
Jeffrey CRELLIN ([9][10]) 
ジェフリー・クレリン―oboe 
Mayumi MIYATA ([9]) 
宮田まゆみ―shō 
ARDITTI STRING QUARTET ([10]) 
アルディッティ弦楽四重奏団 
Irvine ARDITTI―violin 
David ALBERMAN―violin 
Levine ANDRADE―viola 
Rohan de SARAM―violoncello 


Producer 
Tadashi SAKUDA 

Director 
Akira MATSUDA 

Engineer 
Yugo KIKUCHI ([1]-[8]) 
Takao OHMURA ([9][10]) 

Art Director 
Tsunemi MORIMOTO 

Cover Photographer 
Hikaru SASAKI 

Photo of Toru TAKEMITSU 
Akira KINOSHITA 

Recording Date 
13 Sep. 1989 ([1]-[3][7]) 
14 Sep. 1989 ([4]-[6][8]) 
27 Oct. 1988 ([9])
25 Oct. 1988 ([10])  

Location 
Isehara Public Hall, Kanagawa ([1]-[8]) 
Sun-Pearl Arakawa, Tokyo ([9]) 
Casals Hall, Tokyo ([10]) 


◆本CD「楽曲ノオト」(武満徹)より◆ 

「●「海へ」――アルト・フルートとギターのための(1981)」
「この作品は、「夜」「白鯨」、「鱈岬」の3部から成っている。1981年にグリーン・ピース・ファウンデーションのもとめにより、第Ⅰ部の「夜」が、アルト・フルートとギターのために、鯨保護キャンペインを目的として作曲され、(中略)その後、アメリカ、ニュー・イングランドの歴史と風物に因んだ、二つの部分がつけくわえられた。
 曲は、海の音名E♭、E♮、A♮、(Sea)の3音を旋律的動機とする、パストラール風の絵画的小品である。」

「●「マスク」――2本のフルートのための(1959/60)」
「1959年にコンティヌュ(Continu)とインシデンタルⅠ(Incidental)が作曲され、60年にインシデンタルⅡが加えられた。タイトルのマスクは能の女面に由来している。二本のフルートは、互いに見はからい呼吸をはかりながら、流動的な線の模様を編んでいく。」

「●「ヴォイス」――独奏フルート奏者のための(1971)」
オーレル・ニコレの要請で作曲された。マルティフォニック奏法のための試み。瀧口修造の「手づくり諺」の中の一句が、英訳と仏訳によって引用されている。ここではフルートは、人間の声を拡張(エクステンド)するものとしてとらえられている。」

「●「巡り」(イティネラント)――イサム・ノグチの追憶に ――フルートのための(1989)」
「友人の彫刻家イサム・ノグチの死を悼んで作曲された。ノグチはその生涯を通じて旅するひとでありつづけたがこの曲は、ノグチの旅のように幾つかの地点を経巡りながら変化を続けていく。」

「●「ディスタンス」――オーボエと笙(あるいは笙なし)のための(1972)」
ハインツ・ホリガーの委嘱で作曲された。(中略)タイトルは、音程、強度、その他の奏法上の極端な距りと同時に、オーボエと笙との距離を示している。」

「●「アントゥル=タン」――オーボエ弦楽四重奏のための(1986)」
「‘Entre-Temps’は、フランスの詩人トリスタン・ツァラの詩集、「Entre-Temps」(ポワン・デュ・ジュール書房刊 1946)の、次の三行のイメージに基いている。
 ぼくらの頭の上の ただ一羽の烏 
 ぼくらの手のなかの 飛ぶ片手 
 それは同じもの それは時間 (巖谷國士 訳) 
曲は、夢の構造(カタチ)に類似している。同じ深層に根ざしながら、外形的には異なる挿話(エピソード)が、夜を、薄明へ向かって進んで行く。その細部は、明晰でありながら、その非現実的な連続によって、多義性を深めている。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全8頁)にトラックリスト&クレジット、「雨風にもまれる樫の木」(大江健三郎)、「楽曲ノオト」(武満徹)およびその英訳、演奏者紹介、写真図版(モノクロ)5点。裏表紙に写真図版1点。

「ミュージングゾーン」全三巻のうちの『Ⅱ』。2005年リリースの『室内楽作品集成2』(FOCD9227)と同一内容です。

★★★★★