幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

コルノグ  『オン・セヴン・ウインズ』

コルノグ 
『オン・セヴン・ウインズ』 
Kornog 
Ar Seizh Avel / On Seven Winds 


CD:Green Linnet/MSI 
MSI 30005 (1990年) 
¥2,884(税込) ¥2,800(税抜) 
Manufactured Under Exclusive Licence from Green Linnet, Inc. USA  
Manufactured and distributed by Music Scene, Inc. MSI Tokyo Japan. 
Manufactured in Japan 

 

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帯文: 

「ザ・グリーン・リネット・コレクション 
ケルティック・ハートビート・シリーズ」
「フランス南西部の半島、ブルターニュで生まれた新進気鋭のトラディショナル・フォーク・バンド、コルノグの最新作。感受性豊かなスコティッシュ・ソング、ブルターニュのダンス、ブルガリアの曲など。」
「男性ボーカル、フィドル、フルート、ギター ほか――ブルターニュ
「ユーロ・トラッド」 


1.ガヴォッテン・アル・メネッツ 3:45 
GAVOTTEN AR MENEZ (Trad) 
2.アルディンガー卿 4:49 
SIR ALDINGER (Trad) 
3.トニュー・ベイル 2:48 
TONIOU BALE (Trad) 
4.聖ヴィンセントのロンド 3:15 
RONDS DE ST. VINCENT (Trad) 
5.カークコネルのヘレン 4:17 
HELEN OF KIRKCONNEL (Trad) 
6.フラッグスタッフへの旅 3:39 
TRIP TO FLAGSTAFF (Soïg Siberil & Jamie McMenemy) 
7.まわる糸ぐるま 3:11 
THE SHUTTLE RINS (Trad) 
8.プリン・ダンス 4:40 
DANS PLINN (Trad) 
9.ガヴォッテン 2:49 
GAVOTTEN (Trad) 
10.ヴァービシュカ・ラッチェニッツァ 4:45 
VARBISHKA RATCHENITZA 


Recorded at Studio 2000, Pruilly, 49000, Angers, France - March 1985 
Engineer, Richard Loury 
Mixed at TGS Studios, Chapel Hill, North Carolina, USA 
Engineering and production assistance, Steve Gronback 

Front cover design (C) 1985 Jim Harter 
Notes by Jamie McMenemy 
Management & supervision Wendy Newton 


◆本CD解説(牛沢朗)より◆ 

「このバンド(中略)はブルターニュのグループなのですが、リーダー格のジェミー・マクメネミーはスコットランド出身で、70年代半ばより活躍するスコットランドのトラッド・グループ、バトルフィールド・バンドのメンバーでした。」
バトルフィールド・バンドを脱けた後は、1981年にブルターニュのミュージシャンの助けを借りて、ソロ・アルバム『The Road To Kerrigouarch』をオランダのレーベル、ストゥーフからリリースします。このアルバムは彼の繊細で、叙情的なスコティッシュ・トラッドとブルターニュの野性的なメロディが見事に溶け合った素晴しいレコードで、彼自身も音楽的な方向性をこの時点で定めたようで、スコティッシュの歌とブルターニュのダンス・チューンを中心としたグループ、コルノグをスタートさせるわけです。地元のレーベル、エスカリバーで一枚リリースしたあと、米国のケルト系音楽を積極的に紹介しているグリーン・リネット社より、アメリカ・ツアーのライブ盤を出し、今回日本で発売された『オン・セヴン・ウインズ』は1985年リリースされたグリーン・リネットよりのセカンド・アルバムになります。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全12頁)にトラックリスト、牛沢朗による解説、歌詞日本語訳(黒木信二)、原盤楽曲解説&歌詞&クレジット(英文)。別冊ブックレット(観音折り)に「ケルティック・ハートビート」シリーズ紹介文(無記名)、「いま、ケルトの時代が来た」(松山晋也)、同シリーズCDリスト(モノクロ写真図版8点)。

本CDにはメンバー名及び担当楽器の記載がないですが、ネット情報によると、 
Jamie McMenemy: vocals, Stefan Sobell bouzouki and mandolin 
Soïg Siberil: guitar 
Jean-Michel Veillon: flute, low whistle, D bombarde 
Christian Lemaître: fiddle 
で、Jamie McMenemyによる楽曲解説によれば、
#1はブルターニュ中西部のダンス曲ガヴォットのメドレーで、クロワトル=プレバンとプラウーアンの伝承曲に続いてSoig SiberilとブルターニュのフィドラーJacky Molardの共作曲が演奏されています。
#2の歌詞は二つの伝承バラッド「Sir Aldingar」と「Sir Hugh Le Blond」をミックスして短くまとめたもので、曲はスコットランドの歌「Johnnie Sangster」のメロディを流用しています。王の執事のアルディンガー卿はうそつきで、王妃が癩者と浮気していたと誹謗するものの、白馬にまたがって登場した謎の少年騎士に打ち負かされ、王妃の名誉は守られます。
#3はブルターニュ南東部ヴァンヌの結婚行進曲のメドレー、#4は同地方のロンドのメドレー(最後の曲はJean-Michel Veillon作)。
#5は女王メアリー統治下のスコットランドで、「カークコネルのヘレン」が二人の求婚者から選んだ一人がもう一人によって殺されてしまうバラッドで、歌詞は複数のヴァージョンから取捨選択しています。
#6はブルターニュの小村で雪で立ち往生したSoïgとJamieが、コルノグの1984年のアメリカ演奏旅行でアリゾナを車移動していた時のことを思い出して作ったテーマに基づいています。
#7の歌詞はヘンリー・サイム(Henry Syme)の『労働者階級を励ますための詩と歌(Poems and Songs Chiefly for the Encouragement of the Working Classes)』(1849年)に掲載されていた糸紡ぎの歌の一部で、曲はアーチー・フィッシャー等が司会を務めた1975年のスコットランドのテレビシリーズ「昔々ある歌が(Once Upon a Song)」で覚えたものを流用しています。
#8はブルターニュ中北部に伝わるダンス「プリン(plinn)」のメドレーで、Daniel Feon/Patrick LeBalc'h/Gilles Lehartがそれぞれ作曲したものと伝承曲が組み合わされています。#9は山岳地方のダンス曲のメドレー。
#10は7/16拍子のブルガリアのダンス曲。東ヨーロッパの伝承音楽の多くには、ブルターニュの音楽と共通する要素があります。

★★★★★ 


Trip to Flagstaff


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