『Mahler: Sinfonie Nr. 9』
Wiener Philharmoniker
Bruno Walter
CD: EMI Records Ltd.
Series: References
CDH 7 63029 2 (1989)
Made in the U.K.
MAHLER
Sinfonie Nr. 9 D-dur
Symphony No. 9 in D major
Symphonie No 9 en ré mejeur
1. I. Andante commodo 24:43
2. II. Im Tempo eines gemächlichen Ländlers 15:34
3. III. Rondo - Burlesque 11:12
4. IV. Adagio 18:07
Wiener Philharmoniker
Direction / conducted by / Dirigent:
BRUNO WALTER
Enregistré / recorded / aufgenommen:
Wien, Musikvereinssaal, 16.I.1938
Directeur artistique et ingénieur du son / producer and balance engineer / Produzent und Tonmeiseter: inconnus / unknown / unbekannt
Reporta 78 tours effectués par / transferred from 78's by / uberspielt von Original-Schellackplatten von Keith Hardwick
(P) 1938 EMI Records Ltd.
Encouverture / cover / Titelseite:
BRUNO WALTER, photo Ellinger (Coll. André Tubeuf)
Maquette / design concept / Entwurf: s. trambouze
MONO / DIGITALLY REMASTERED
DURÉE TOTALE / TOTAL TIME: 69'50
Digital remastering (P) 1989 EMI Records Ltd.
◆本CDについて◆
ブックレット(全8頁)にトラックリスト&クレジット、仏文解説「La mémoire de Mahler」(André Tubeuf)、英文解説「Mahler from a Mahler pupil」(Alan Blyth)、独文解説「Bruno Walter und Gustav Mahler」(Sigurd Schimpf)。
マーラーの弟子、ブルーノ・ワルターとウィーン・フィルによる「第九交響曲」の1938年ライブ録音(モノラル)です。
「これは一九三八年一月一六日のヴィーン・フィル定期のライヴである。この日付はワルターにとってはまことに運命的なものだった。つまり、そのわずか二ヵ月の後、ワルターがアムステルダムへの楽旅で不在中にヴィーンはヒトラーの軍隊に占領され、オーストリアはドイツに併合される。ワルターの家も財産も没収され、令嬢は逮捕される。むろん、彼とヴィーンの歌劇場およびヴィーン・フィルとの関係は断絶した。ワルターが、その一月に行なわれた「第九交響曲」の演奏時に、迫り来るファシズムの足音に気付かぬはずはない。彼はこの日と前日の演奏会(中略)が、一九三六年以来つづいて来たワルター自身とヴィーンとの良き関係の、最後のチャンスであることを充分に予感していたであろう。
その危機感のさなかの演奏からは、異常な情熱の高まり、過剰なまでの耽美的な表情、それと対照的な諦観の強調、焦燥のあまりの不安定さ(中略)などを如実に感じとることが出来る。これは、アンシュルス(独墺合併)前夜のヴィーンの知識人の心的状況の記録として、希有のものであろう。レコードが期せずして、たんなる音楽のレコード(記録)以上のものになっている事例は他にもないではないが、このマーラーの「第九交響曲」の録音もまた、その典型的かつもっとも深刻な例にちがいない。」
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