『武満徹：カトレーン／鳥は星形の庭に降りる 他』
小澤征爾 若杉弘 他
Toru Takemitsu
Quatrain
A Flock Descends into the Pentagonal Garden
Tashi
Boston Symphony Orchestra
Seiji Ozawa
Stanza I
Sacrifice
Ring
Valeria
Hiroshi Wakasugi, etc.
CD: Deutsche Grammophon
制作：ユニバーサル クラシックス＆ジャズ
発売・販売元：ユニバーサル ミュージック合同会社
シリーズ：武満徹 没後25年 UHQCD名盤セレクション
UCCG-45010 （2021年）
定価：￥1,980（本体￥1,800 税率10％）
Made in Japan
Ultimate Hi Quality CD
帯文：
「武満作品を数多く初演してきた小澤征爾と若杉弘が面目躍如といった演奏を聴かせており、「カトレーン」ではピーター・ゼルキンやストルツマンがメンバーであったアンサンブル・タッシが共演。」
帯裏文：
「リュートとヴァイブラフォンという新旧の楽器を対比させた『サクリファイス』、ニューヨーク・タイムズ紙から絶賛された『カトレーン』。武満徹が1960年代に書いた4曲と1970年代中頃に作曲した2曲の作品をカップリングした一枚。武満作品を数多く初演してきた小澤征爾と若杉弘が面目躍如といった演奏を聴かせており、『カトレーン』ではピーター・ゼルキンやストルツマンがメンバーであったアンサンブル・タッシが共演している。」
武満徹
TORU TAKEMITSU
（1930－1996）
1．カトレーン（1975） 16：54
Quatrain
クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、ピアノとオーケストラのための
for clarinet, violin, violoncello, piano and orchestra
タッシ：
Ensemble Tashi
ピーター・ゼルキン（ピアノ）
Peter Serkin, Piano
アイダ・カヴァフィアン（ヴァイオリン）
Ida Kavafian, Violin
フレッド・シェリー（チェロ）
Fred Sherry, Violoncello
リチャード・ストルツマン（クラリネット）
Richard Stolzman, Clarinet
ボストン交響楽団
Boston Symphony Orchestra
指揮：小澤征爾
Conductor: Seiji Ozawa
2．鳥は星形の庭に降りる（1977） 12：55
A Flock Descends into the Pentagonal Garden
ボストン交響楽団
Boston Symphony Orchestra
指揮：小澤征爾
Conductor: Seiji Ozawa
3．スタンザⅠ 7：05
Stanza I
長野羊奈子（女声）
Yonako Nagano, Mezzo-soprano
伊部晴美（ギター）
Harumi Ibe, Guitar
永廻万里（ハープ）
Mari Nagasako, Harp
安倍圭子（ヴァイブラフォン）
Keiko Abe, Vibraphone
高橋悠治（チェレスタ、ピアノ）
Yuji Takahashi, Celesta & Piano
指揮：若杉弘
Conductor: Hiroshi Wakasugi
4．サクリファイス 6：21
Sacrifice
野口龍（アルト・フルート）
Ryu Noguchi, Alto Flute
浜田三彦（リュート）
Mitsuhiko Hamada, Lute
安倍圭子（ヴァイブラフォン）
Keiko Abe, Vibraphone
指揮：若杉弘
Conductor: Hiroshi Wakasugi
5．環［リング］ 9：23
Ring
野口龍（アルト・フルート）
Ryu Noguchi, Alto Flute
伊部晴美（ギター）
Harumi Ibe, Guitar
浜田三彦（リュート）
Mitsuhiko Hamada, Lute
指揮：若杉弘
Conductor: Hiroshi Wakasugi
6．ヴァレリア 6：29
Valeria
野口龍（ピッコロ）
Ryu Noguchi, Piccolo
小泉剛（ピッコロ）
Takeshi Koizumi, Piccolo
植木三郎（ヴァイオリン）
Saburo Ueki, Violin
服部善夫（チェロ）
Yoshio Hattori, Violoncello
伊部晴美（ギター）
Harumi Ibe, Guitar
高橋悠治（ハモンド・オルガン）
Yuji Takahashi, Electric Organ
指揮：若杉弘
Conductor: Hiroshi Wakasugi
録音：1977年3月（［1］）、1978年12月（［2］）ボストン、1969年9月（［3］－［6］）東京
Recording: Boston, Symphony Hall, 3/1977 ([1]) & 12/1978 ([2]);
Tokyo, Polydor Studio No. 2, 9/1969 ([3]-[6])
Executive Producer: Rainer Brock ([1][2])
Recording Producers: Rainer Brock ([1][2]), Shosuke Akino ([3]-[6])
Tonmeister (Balance Engineer): Klaus Hiemann ([1][2]), Nobuo Sugita ([3]-[6])
◆武満徹による「楽曲ノート」より◆
「《カトレーン》は、アメリカの若い有能なアンサンブルであるタッシ（Tashi）と小澤征爾を念頭において、作曲された。
作品は、全体に亙って、「4」という数がその構造を支配している。だが、それは音程的な関係において最も強い。オーケストラによる序奏の後に、四重奏によって提示される8小節――最初の4小節のピアノとクラリネットによって奏される旋律的主題と、その背景を彩色するヴァイオリンとチェロによるグリッサンド。そして、次の4小節ではそのふたつの要素が攪拌される――の諸要素が、四重奏とオーケストラとの対話によって展開される。それは変奏曲というよりも、日本の伝統的な絵巻の様式に近い。それぞれの音楽的場面（シーン）は独立しながらも他へ滲み、その縁（へり）はさだかではない。」
「鳥は星形の庭に降りる」
「この作品は、私がある時見た夢に出来している。その夢は、マルセル・デュシャンが、髪を星形に剃った一枚の写真（マン・レイ撮影のものか？）と深い関わりをもっている。
ラルフ・ドーフマン博士夫妻の委嘱により、サンフランシスコ交響楽団のために作曲された。そのために、原題は次のような英語によっている。‟A Flock Descends into the Pentagonal Garden”は、直訳すれば、‟鳥の群れは五角型の庭へ降りる”ということになる。
曲は、「5」という数を構造の基礎としている。ことに、それは音程関係において顕著である。
曲の基本となる音列は、F#を中心とするPentatonic Scale（五音音階）から導かれた5種の旋法と、その各々にスーパーインポーズされる、音程関係を固定した5種のPentatonic Scaleから成っている。
曲は、オーボエによって奏される主動機（鳥の群れ）が、弦楽器を主体とする和声的な音場（Pentagonal Garden）へ降下する態を描いている。」
「《リング》《サクリファイス》《ヴァレリア》は、ギターとリュートを主体とした連作であり、弱奏の多様性とその音色の繊細な変化が作曲にあたっての興味の主たるものであった。また、これらの作品に共通して言えることは、小編成であるために許される演奏の即興性を充分に意識して作曲されたということであり、完結してない音楽的状態というものを想像していた。
このアルバムのために作曲された《スタンザⅠ》と他の3曲との間にはかなり時間的隔たりがあるためか、前の3つの連作に共通する音組織上の旋法的コンセプションはディメンショナルに拡大され、音程間の水平的な有機性は音群の組織的分布という問題にかわっている。そして、この作品では音の内部の多層な時間構造を聴きだすことに最大の注意がはらわれている。」
◆本CDについて◆
ブックレット（全12頁）にトラックリスト＆クレジット、武満徹による「楽曲ノート」（「カトレーン／鳥は星形の庭に降りる」1980年／「スタンザⅠ／サクリファイス／環／ヴァレリア」1970年）、武田明倫による解説（「豊饒への飛翔――武満徹の歩み――」1980年／「武満徹の「音楽」と「時間」1970年）。投げ込み（片面印刷／「UHQCD」について）。
#1、2は1980年にLP『カトレーン／鳥は星の庭に降りる』として、#3～6は1971年にLP『ミニアチュール／武満徹の芸術』としてリリース、1988年に独グラモフォン「20th Century Classics」シリーズとしてカップリングCD化。本CDのブックレット表紙は1980年LPのデザインを使用しています。
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