幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

Fin' Amor Ensemble  『Martin Codax: Cantigas de amigo』

Fin' Amor 
『Martin Codax: Cantigas de amigo』 


CD: Musica Ficta / Pavane Records 
MF8002 (2004) 
Fabriqué en France (E.U.) par MPO 

 


Cantigas de amigo 

Estêvão Raimondo (XIIIe) 
1. Amigo, se ben ajades  3:18 
chant, flûte ténor, flûte soprano 1, vièle 2, cistre 2, riqq, daraboukka 

Bernal de Bonaval (XIIIe) 
2. Fremosa a deus grado  5:18 
oud, daraboukka 

Roi Fernandez de Santiago (XIIIe) 
3. Quand'eu vejo las ondas  6:12 
vièle 1 

Martin Codax (XIIIe) 
4. Ondas do mar de Vigo  13:06 
chant, cistre 2, vièle 2, chifonie 
5. Mandad'ei comigo  4:14 
chant, flûte ténor, flûte soprano 2, cistre 2, vièle 2, riqq 
6. Mia irmana fremosa  6:19 
chant, flûte ténor, vièles 1 & 2, tambour sur cadre 2 
7. Ai deus, se sab' ora meu amigo  10:16 
chant, harpe 
8. Quantas sabedes amare amigo  5:32 
chant, flûte alto, vièle 2, cistre 1, riqq 
9. Eno sagrado en Vigo  8:48 
chant, cistre 2 
10. Ai ondas que eu vin veere  10:00 
chant, flûte soprano 2, oud, vièle 2 


Fin' Amor Ensemble 
Carole Matras: chant & harpe 
Bernard Mouton: flûtes à bec 
Michaël Grébil: cistres, oud, vièle 
Thomas Baeté: vièle 
Vincent Libert: percussions 


Enregistrement numérique réalisé les 17, 18 & 19 mai 2003 en l'eglise Saint-Remy de Franc-Waret (Belgique). 
Ingénieur du son et montage numérique: Manuel Mohino 
Production 2004 Arts/Scène Production 
(C) 2004 Pavane Records 
Directeur de collection: Bernard Mouton 
Concept visuel: Mélanie Heddrich, HDMH Co 

Musica Ficta collection dirigée par Bernard Mouton 


◆Bernard Moutonによる解説より(大意)◆ 

12世紀初頭、南フランスに出現した宮廷風恋愛歌はヨーロッパ各地に波及し、サンチャゴ巡礼の道を通じてスペインに達した。トルバドゥールの伝統とガリシアの詩人たちの出会いの結実として、当時、ガリシアポルトガル地方のみならず、カスティーリャ王国の詩的共通語でもあったガリシアポルトガル語で書かれた2000篇近くの世俗叙情歌が、「カンショネイロ・ダ・アジューダ」「カンショネイロ・ダ・バティカーナ」その他の写本に記録されて今に残されている。これらの世俗歌のうち、メロディが残されているのは「ビンデル写本」のマルティン・コダス(Martin Codax)による7篇のカンティガのうち6篇と、「シャレール写本」のポルトガル王ディニス1世による137篇のうちの7篇のみであるが、幸いなことに、ガリシアポルトガル語の宗教歌の集成であるアルフォンソ10世による「聖母マリアのカンティガ集」(少なくとも424篇のメロディが記録されており、様々な楽器を演奏する音楽家の姿が描かれた彩飾画が含まれていて、当時のスペイン宮廷におけるユダヤ教イスラム教・キリスト教の文化的共存の様子を伺うことができる)を参照することによって、おおよその復元が可能である。
ガリシアポルトガル語の抒情歌のジャンルの主なものは、「カンティガ・デ・アモール」(男性を歌い手とする宮廷風恋愛歌)、「カンティガ・デ・アミーゴ」(女性を歌い手とする恋愛歌)、「カンティガ・デ・エスカルニオ・エ・マルディゼール」(毒舌と諷刺の歌)で、このうち「カンティガ・デ・アミーゴ」が最も古い、民衆的な起源を有するもので、マルティン・コダスに代表される。本CDではコダスによる現存する7篇の「カンティガ・デ・アミーゴ」が演奏されているが、メロディが残されていないもの(#9)に関しては、当時一般的な作曲法だった即興(improvisation)の方法によっている。その他の作者による3篇の「カンティガ・デ・アミーゴ」に関しては、「聖母マリアのカンティガ集」のメロディを流用している(#1=Cantiga 330/#2=Cantiga 320、#3=Cantiga 218)。


◆本CDについて◆ 

デジパック仕様。ブックレット(全32頁)にBernard Mouton「Musica Ficta」(シリーズについて/仏語原文&英・蘭訳)、トラックリスト、クレジット、Bernard Mouton「Cantigas de Amigo」(解説/仏語原文&蘭・英訳)、歌詞(ガリシアポルトガル語原文&仏・英・蘭訳)、写真図版(モノクロ)11点。

フィナモール・アンサンブルによる「カンティガ・デ・アミーゴ」集。波の音なども聞かせつつ、まったりした感じです。

★★★★★


Ondas do mar de Vigo