幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『マーラー:少年の魔法の角笛 [オーケストラ伴奏版&ピアノ伴奏版]』 ルートヴィヒ、ベリー、バーンスタイン 

マーラー:少年の魔法の角笛
[オーケストラ伴奏版&ピアノ伴奏版] 
クリスタ・ルートヴィヒ(メッゾ・ソプラノ) 
ワルター・ベリー(バリトン) 
レナード・バーンスタイン(指揮&ピアノ) 
ニューヨーク・フィルハーモニック 

Mahler 
Des Knaben Wunderhorn 
(The Youth's Magic Horn) 
Christa Ludwig and 
Walter Berry 
Leonard Bernstein conducting 
New York Philharmonic 


CD: Sony Classical/Sony Music Japan International Inc. 
SICC 1528~9 (2011年) [2枚組] 
特別価格¥1,800(税込)〔¥1,800(税抜)〕 

 


帯文: 

「オーケストラ版とピアノ版――2種類の「少年の魔法の角笛」をオリジナルLP通りにカップリング。」


帯裏文:

マーラー没後100年記念リイシュー。1960年から1966年にかけて、マーラー交響曲全9曲録音という偉業を成し遂げたバーンスタインが、次に目を向けたのがマーラーのキモともいうべき角笛歌曲集。当2枚組は1969年に発売された2枚組LPをそっくり再現したもので、ニューヨークでセッション録音されたオーケストラ伴奏版に加えて、ウィーンでライヴ収録されたピアノ伴奏版という2種類の演奏を収めている。当時全盛期にあったクリスタ・ルートヴィヒ、ワルター・ベリーの見事な歌唱、そして二人をバックアップしつつ楽譜に込められたマーラーのあらゆる表情を音として具現化するバーンスタインの姿が鮮烈に刻印されている。」


グスタフ・マーラー GUSTAV MAHLER (1860-1911) 

少年の魔法の角笛 [オーケストラ伴奏版&ピアノ伴奏版] 
Des Knaben Wunderhorn 


DISC 1 56:59 
オーケストラ伴奏版 
1.歩哨の夜の歌 5:53 
Der Schildwache Nachtlied 
2.この歌こしらえたの だあれ 2:05 
Wer hat dies Liedlein erdacht? 
3.少年鼓笛兵 5:59 
Der Tamboursg'sell 
4.ラインの伝説 3:35 
Rheinlegendchen 
5.塔に囚われ迫害うけるものの歌 5:38 
Lied des Verfolgten im Turm 
6.始源(おおもと)の光 6:29 
Urlicht 
7.起床喇叭 5:53 
Revelge 
8.魚に説教するパドゥヴァの聖アントーニウス 3:40 
Des Antonius von Padua Fischpredigt 
9.骨折り損のくたびれ儲け 2:51 
Verlorne Müh' 
10.美しく喇叭の鳴り響くところ 7:01 
Wo die schönen Trompeten blasen 
11.お高い良識 自慢する歌 2:10 
Lob des hohen Verstandes 
12.この世の生活 2:49 
Das irdische Leben 
13.運の悪いときの慰めっこ 2:48 
Trost im Unglück 


DISC 2 54:49 
ピアノ伴奏版 
1.歩哨の夜の歌 5:51 
Der Schildwache Nachtlied 
2.この歌こしらえたの だあれ 1:55 
Wer hat dies Liedlein erdacht? 
3.運の悪いときの慰めっこ 2:35 
Trost im Unglück 
4.起床喇叭 7:06 
Revelge 
5.美しく喇叭の鳴り響くところ 6:51 
Wo die schönen Trompeten blasen 
6.この世の生活 2:42 
Das irdische Leben 
7.塔に囚われ迫害うけるものの歌 5:10 
Lied des Verfolgten im Turm 
8.少年鼓笛兵 4:56 
Der Tamboursg'sell 
9.魚に説教するパドゥヴァの聖アントーニウス 3:39 
Des Antonius von Padua Fischpredigt 
10.ラインの伝説 3:20 
Rheinlegendchen 
11.骨折り損のくたびれ儲け 2:54 
Verlorne Müh' 
12.始源(おおもと)の光 4:51 
Urlicht 
13.お高い良識 自慢する歌 2:39 
Lob des hohen Verstandes 


クリスタ・ルートヴィヒ(メッゾ・ソプラノ) DISC 1 [1],[2],[4]-[6],[8]-[10],[12],[13] DISC 2 [1],[2],[3],[5]-[7],[9]-[12] 
Christa Ludwig, Mezzo-Soprano 
ワルター・ベリー(バリトン) DISC 1 [1],[3],[5],[7],[9],[11],[13] DISC 2 [1],[3],[4],[7],[8],[11],[13] 
Walter Berry, Baritone 

DISC 1 
ニューヨーク・フィルハーモニック 
New York Philharmonic 
指揮:レナード・バーンスタイン 
Leonard Bernstein, Conductor 

DISC 2 
レナード・バーンスタイン(ピアノ) 
Leonard Bernstein, Piano 


[録音] 1967年10月17日&1969年2月18日、ニューヨーク、リンカーン・センター、フィルハーモニック・ホール(現エイヴェリー・フィッシャー・ホール)(DISC 1)、1968年4月24日、ウィーンでのライヴ・レコーディング(DISC 2) 
Recording: October 17, 1967 & February 18, 1969, Philharmonic Hall (now Avery Fisher Hall), Lincoln Center, New York City (DISC 1), April 24, 1968, Vienna, Austria (DISC 2) 

Producer: Thomas Z. Shepard (DISC 1) 
Engineers: Fred Plaut, Arthur Kendy (DISC 1) 


黒田恭一による解説より◆ 

「この歌曲集は版によって、曲の数に移動がある。原則的には12曲であり、そのうちから交響曲に転用した「3人の天使がうたう」と「始源(おおもと)の光」をのぞいたのが10曲の版となり、12曲の版に「最後の7つの歌」の第1曲「起床喇叭」と第2曲「少年鼓笛兵」を加えたのが14曲の版である。このアルバムの演奏は、12曲の版から「3人の天使がうたう」だけをのぞき、それに「起床喇叭」と「少年鼓笛兵」をつけ加えた13曲からなっている。
 本来、「少年の魔法の角笛」というタイトルは、ドイツ・ロマン派のふたりの詩人、アヒム・フォン・アルニムとクレメンス・ブレンターノがあつめ、まとめた民謡詩集のものである。マーラーがその詩集の中で特に気にいったものに曲をつけ、それをまとめたのが、歌曲集「少年の魔法の角笛」なのである。したがってここには、(中略)一貫したテーマはない。(中略)作曲の時期も、かならずしも一致していない。また曲の配列も、12曲の版などでは、一応の基準があるものの、むしろ演奏者の自由にまかされているというべきであろう。」


◆初出LPの解説の翻訳より◆ 

「このユニークな2枚組ノアルバムは、通常のレコードのように計画的に制作されたのではなく、ある偶然がそのチャンスを幸運にも与えてくれたのであった。それはまず、レナード・バーンスタインニューヨーク・フィルハーモニックが、クリスタ・ルートヴィヒとワルター・ベリーを独唱者に、マーラーの歌曲集《少年の魔法の角笛》のオーケストラ版によるレコーディングを計画した1967年秋にはじまった。そして、フィルハーモニック・ホールで行われた録音は、予定通り大変うまくいった。
 その翌年の春、バーンスタインは、国立歌劇場でリヒャルト・シュトラウスの楽劇《ばらの騎士》を指揮するためにウィーンを訪れたが(中略)事件はその後で起こったのである。」
「ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウが4月24日にコンツェルトハウスの大ホールで予定されていたリーダー・アーベントをキャンセルせざるを得なくなり、その代替え公演としてルートヴィヒとベリーに、マーラーの《少年の魔法の角笛》をバーンスタインのピアノ伴奏で歌ってもらえないかというオファーがあったのである。」
「そして、(中略)翌1969年2月に、主役たちは再びニューヨークに集まって、オーケストラ版の録音を完成させたのであった。」
「《少年の魔法の角笛》の歌の順序は、演奏者に任せられるのが慣例になっているので、ここに収められた2つの版の演奏も、歌の順序が異なっている。それは、歌手たちのやり方や個々の歌に対するこだわりを反映するとともに、芸術的な統一性を考慮した結果なのでもある。」


◆本CDについて◆ 

2枚組用ジュエルケース(10mm厚)。ブックレット(全20頁)にトラックリスト&クレジット、黒田恭一による解説「歌曲集「少年の魔法の角笛」より」(「1994年発売のCD初出時のライナーノーツを掲載しています。」)、「バーンスタイン、ルートヴィヒ、ベリーによる2種類の《少年の魔法の角笛》について(1969年)」(訳:歌崎和彦/「1969年発売の初出LPの解説を翻訳したものです。」)、歌詞&対訳(深田甫)、写真図版(モノクロ)1点。ブックレット裏表紙に写真図版(カラー)1点。

ベリー&ルートヴィヒ夫妻(1970年離婚)は自分の好みからいうとやや表現過剰気味ですが、本作は同一の演奏者でオーケストラ版とピアノ版がききくらべられるのでよいです。

★★★★★ 


The Berrys & Bernstein perform Mahler!