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European Traditional Collection 7 《ウェールズ》
CD: Seven Seas
発売元:キングレコード株式会社
シリーズ:ユーロ・トラッド・コレクション
280E 52057 (1989年)
税込定価¥2,800(税抜価格¥2,718)
Made in Japan
帯文:
「中世の香りも高い、さわやかなサウンド。
これぞケルティック・ミュージックの決定盤!」
帯裏文:
「ウェールズに旋風を巻き起こすアベルジャベル。テリン(ハープ)、クルゥス(ヴァイオリンの前身)、ホイッスル(縦笛)にガリシアのバグパイプ、それにハーディガーディ、ボーランなどが加わった、これぞケルティック。中世の香りも高い爽やかなサウンドが魅力。」
1.ミセス・ウィシャートの歓喜/ポンテベドラの風 5:08
HOFFEDO MEISTRES WISHART / AIRES DE PONTEVERDA
(Peter Stacey; tradd., trefn./arr. Evans, Stacey, Wishart)
2.グリフィズ・アプ・キナンの歓喜 4:24
DIDDANWCH GRUFFUDD AP CYNAN
(Tradd., trefn./arr. Evans, Stacey, Wishart)
3.ケルティック・ジャーニィ 7:49
CELTIC JOURNEY
(Tradd., trefn./arr. Evans, Stacey, Wishart)
4.ベルウィン 4:25
BERWYN
(Delyth Evans; trefn./arr. Evans, Stacey, Wishart)
5.スリー・ファイアーズ/アン・ドロ 5:06
THREE FIRES / AN DRO
(Peter Stacey; tradd., trefm./arr. Evans, Stacey, Wishart)
6.ウェールズの古典による変奏曲 5:32
CYNGHANSAIL CYMRU
(Tradd., trefn./arr. Evans, Stacey, Wishart)
7.スティーヴィズ・チューン 4:26
STEVIE'S TUNE
(Stevie Wishart; trefn./arr. Stavey, Wishart)
8.エイル・ウーマン 1:43
THE ALE WOMAN
(Tradd., trefn./arr. Delyth Evans)
9.マヒンシェス/指でひと弾き/シャノヴェル・リール 4:02
MACHYNLLETH / PWT AR Y BYS / LLANOFER REEL
(Tradd., trefn./arr. Evans, Stacey, Wishart)
STEVIE WISHART
violin/viola/crwth/hurdy-gurdy
DELYTH EVANS
telyn/harp
PETER STACEY
flute/whistles/bagpipes/bodhran
Producer: Gareth Hughes Jones
Engineer: Eryl Davies
Front cover: Caroline Stacey
Recorded in Sain Studios, Llandwrog during May 1985.
Licensed by SAIN RECORDS
デザイン:美登英利/SSデザイン
イラスト:永畑風人
◆小川彰による解説より◆
「ウェルッシュ・トラッドの革新は1978年イングランドのディングルズ・レーベルからリリースされたアル・ロッグのアルバムから始まりました。」
「2年後の1980年に、奇しくも現在のウェルッシュ・フォーク・シーンを代表する3つのグループ(の前身)がデビュー・アルバムを発表しています。ペドワル・イン・イ・バルの前身キルメリ(当時はアル・ロッグに影響された北部ウェールズのトラッドをやっていました)、英語文化との交雑の色濃い南ウェールズの楽しい音を届けてくれるカレンニグ、そしてこのCD、アベルジャベルにつながるクロムレッホがそれです。」
「クロムレッホは、(中略)トミ・ジェンキンズを中心にしたグループで、サインに2枚のアルバムを残しました。クロムレッホの個性は最初からガリシアとかアイルランドなど他のケルト諸国のトラッドにも目を向けているところにありました。しかしクロムレッホのインストゥルメンタルの要の3人は、さらにウェールズにとらわれない汎ケルティックな音楽を求めて、(中略)トミのもとを離れてアベルジャベルを結成しました。このアルバムは1985年にリリースされたアベルジャベルのデビュー作です。」
「唯ひとりの男性、ピーター・ステイシィは南部の都市スウォンジー生まれで小さい時からクラシックの正規教育を受けています。専門分野ではピエール・ブレーズについての著作もあるそうです。しかし早くからジャズやロック、フォークにも興味をもちクラブなどへも出入りしていました。このアルバムではフルート、ホイッスル、ボーランそしてガリシア地方のバッグパイプを担当しています。」
「フィドル、ヴィオラ、クルース、ハーディーガーディーのスティーヴィ・ウィシャートもピーターと同様アカデミックな音楽教育をうけています。オーストラリアの先進トラッド・グループ「マーラ」のメンバー、ジム・デンリイと結婚後はオーストラリアで過ごすことが多くなっていますが、アベルジャベルとしての活動も続けています。またハイペリオン・レーベルからCDのでている古楽グループ「シンフォニエ」(元々はピーターとのグループでしたが、現在はジム、マーラ・カイクがメンバーで古楽版「マーラ」といえます。)の中心人物でもあります。」
「もうひとりの女性デリス・エヴァンズは独学でハープを弾くようになりました。」
「[1]=「ミセス・ウィシャートの歓喜」と題された曲は、メンバーのスティーヴィの誕生祝いにピーターが贈ったもの。
[2]=グリフィズ・アプ・キナンは11世紀の北ウェールズの王。」
「[3]=3曲のメドレーの素材はアイルランド、スコットランド、ブリタニィから。それぞれの国を旅した際に習ったもの。
[4]=デリスの作曲。亡き父の記憶に捧げたもの。ウェールズのトラッド・ジグとのセット。
[5]=前半はウェールズの古楽曲をベースにピーターが作曲。アン・ドロはおそらくブリタニィで最も有名なトラッド曲。
[6]=18世紀にまとめられたウェールズの吟遊詩人達の曲集にものっている古くから伝わる24の変奏曲。
[7]=スティーヴィの自作曲。
[8]=アイルランドのトラッドをデリスが自由に解釈して演奏している。
[9]=3曲ともウェールズでは非常にポピュラーなダンス曲でいろいろなディスクで聴くことができる。」
◆本CDについて◆
ブックレット(全8頁)に小川彰による解説、ブックレット裏表紙にオリジナルLPジャケット図版(カラー)。投げ込み(十字折り)に「オリジナルLPジャケットのバック・スリーブ」(モノクロ)と「European Traditional Collection」CDリスト(モノクロ図版15点)。インレイにトラックリスト。
オリジナルLPのバック・スリーブには「Notes on the tunes and instruments inside.」とありますが、それは掲載されていません。
スティーヴィ・ウィシャートはフォーク、古楽、現代音楽、ジャズ、ロックといったジャンル分けが無効になるような越境的な活動をしていて興味深いです。本作でも#6のような端正なバロックふうな演奏がある一方、#5などはトラディショナルな中にもアヴァンギャルド・テイストが感じられます。
★★★★★
THREE FIRES / AN DRO
CYNGHANSAIL CYMRU