幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

CAN  『Peel Sessions』 

CAN 
『Peel Sessions』 

カン 
BBC セッションズ 


CD: Strange Fruit 
SFR CD 135 (1995) 
Made in England 

MSI/TOKYO 
MSIF 3359 
¥2,500(税込)/¥2,427(税抜) 

 


帯文:

ダモ鈴木が在籍していた初期のカンのBBC出演時の演奏を集めた貴重なコンピレーション。」
「全未発表曲収録」


帯裏文:

「ロック、ジャズ、現代音楽と様々なジャンルのミュージシャンに絶大なる影響を与え続けているバンド、カン。そのカンのダモ鈴木が在籍していた初期のBBC出演時の演奏を収めた貴重なコンピレーション。」


1. UP THE BAKERLOO LINE WITH ANNE 
アップ・ザ・ベイカールー・ライン・ウィズ・アン 
2. RETURN TO BB CITY 
リターン・トゥ・BB シティ 
3. TAPE KEBAB 
テープ・ケバブ 
4. TONY WANNA GO 
トニー・ウォナ・ゴー 
5. GEHEIM (half past one) 
ゲヘイム 
6. MIGHTY GIRL 
マイティ・ガール 


line up: 
damo suzuki: vocals 
irmin schmidt: keyboards 
holger czukay: bass 
michael karoli: guitar 
jaki liebezeit: drums 


Recording Dates
1. 20/2/73 
2. 8/10/74 
3. 8/10/74 
4. 29/1/74 
5. 14/5/75 
6. 14/5/75 

Producers/Engineers 
John Walters/Bob Conduct (1)
Tony Wilson (2-6)

All tracks composed by Can 

Design: Definition 

By arrangement with BBC Worldwide Ltd 


「"There is no Can piece which is finished..." Irmin Schmidt」


◆本CDについて◆ 

輸入盤国内仕様。ブックレット(二つ折り)にトラックリスト&クレジット、Mick Fishによる英文ライナーノーツ。投げ込み(十字折り)にトラックリスト、大鷹俊一による解説(1995年11月8日)、#5「Geheim」歌詞&対訳(藤本範之)。#1「Up The Bakerloo Line With Anne」の歌詞については「He isn't really singing anything. This is all just gibberish.....」(「あいつは別に何か歌ってるってわけじゃないんだ。ただ意味のないことを口にしているだけで……」)とあります。

#1がヴォーカルのダモ鈴木在籍時の1973年2月、『Ege Bamyasi』と『Future Days』のあいだの時期の音源で、19分にわたってハナモゲラ英語が堪能できますが、他のメンバーの音に敏捷に反応しつつ攻撃的なフレーズを繰り出していくミヒャエル・カローリのギターも秀逸です。もちろんヤキ(ジャッキー)・リーベツァイトのドラム&ホルガー・シューカイのベースも着実なリズムを刻みつつフロントの若い二人を程よく煽っていてよいです。イルミン・シュミットのキーボードも適宜にちょっかいを入れています。楽曲自体は(即興でやっているので)たいしたことはないですが、それにもかかわらず聴かせてしまうのがこの時期のCANマジックで、演奏が盛り上がってきたところでフェード・アウトしてしまうのはいかにも惜しいです。#2~4は1974年、ダモ鈴木脱退後、『Soon Over Babaluma』に至る時期の音源で、わるくはないですが、「タモロス」ならぬダモロス状態は否めないです。#5、6は1975年5月、『Landed』リリース4カ月前の音源で、#5は『Landed』収録曲「Half Past One」の原形です。ミヒャエル・カローリがダモふう呟きヴォーカルでダモロスの穴を埋めています。#6は『Out of Reach』(1978年)収録曲「November」の原形ということですが、イルミンのピアノのアルペジオをバックに切々と訴えかけるミヒャエルのギターは1970年ダモ加入時の名曲「Deadlock」を彷彿とさせます。

★★★★☆