幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

ジョン・レンボーン  『鐵面の騎士』

ジョン・レンボーン 
『鐵面の騎士』 

John Renbourn 
Sir John Alot of Merrie Englandes Musik Thyng & ye Grene Knyghte』 


LP: 日本コロムビア株式会社 
シリーズ:トランス・アトランティック・アンソロジー 
YS-7060-LA (1980年) 
¥1,800 
Made in Japan 

 


帯文:

「中世と現代を一本のギターで直結し、芳醇な音の薫で調合した傑作名演集!」


Side One 
1. The Earle of Salisbury (William Byrd)  1:19 
ソールズベリー伯爵 
2. The Trees They Do Grow High (Trad. ARr. Renbourn)  3:26 
ザ・トゥリーズ・ゼイ・グロウ・ハイ 
3. Lady Goes to Church (Renbourn)  2:50 
レディ・ゴーズ・トゥ・チャーチ 
4. Morgana (Renbourn)  7:22 
モルガナ 

Side Two 
1. Transfusion (Lloyd)  1:58 
トランスフュージョン 
2. Forty-Eight (Renbourn-Cox)  2:51 
フォーティ・エイト 
3. My Dear Boy (Renbourn)  1:15 
マイ・ディア・ボーイ 
4. White Fishes (Renbourn-Warleigh)  3:46 
ホワイト・フィッシュ 
5. Sweet Potato (Booker T. Jones)  3:17 
スウィート・ポテト 
6. Seven Up (Renbourn-Cox)  3:45 
セブン・アップ 


John Renbourn: guitar 
Terry Cox: finger cymbals, African drums, glockenspiel 
Ray Warleigh: flute 


Recorded at Sound Techniques, London. 
Engineer: John Wood 
Produced by Nathan Joseph 
Sleeve design: Osiris (Visions) Ltd. 
Marketed by Logo Records Limited 


◆「このアルバムについて」(無記名)より◆ 

「もし現代フォーク・ギタリストが中世ヨーロッパ音楽の世界を遊歩したらば……本アルバムはそうしたジョンの意欲あふれる発想から生まれた。正に、中世と現代を一本のギターで直結し、芳醇な音の薫で調合した傑作名演集である。17世紀の英国黄金時代の作曲家ウィリアム・バードのヴァージナル作品をギター演奏化したり、16世紀から17世紀の英国バロック時代に愛奏されたリコーダーをフィーチュアし伝承民謡をギター演奏したり、クラシック派の人々の鑑賞の対象ともなるだろう。また、初期バロック作品と極似した彼のオリジナル作品も秀逸だ。さらには、現代的なギター奏法をインド音楽風、C&W風、ジャズ風に展開し、ジョン本来の多芸ぶりを各々のジャンルで探究している点は、ギタリストばかりでなく音楽愛聴者にまで強烈な感動を残すだろう。のちに、ジョンが次回作として発表する名盤「ザ・レディー・アンド・ザ・ユニコーン」の道標となった必聴盤である。」


◆本LPについて◆ 

E式シングルジャケット。投げ込み(2頁)にトラックリスト、「このアルバムについて」(無記名)、「「鐵面の騎士」参考コード譜」(採譜:森信行)/「トランス・アトランティック・アンソロジー」(LPリスト/モノクロ図版15点)。

ペンタングルの1stと同時期(1968年5月)にリリースされた、ジョン・レンボーンのソロ第3作(1968年1月録音)。全曲インストです。

タイトルは中世のアーサー王物語『ガウェイン卿と緑の騎士(Sir Gawain and the Green Knight)』をもじったもので、「心楽しい英国の音楽に満ち溢れたジョン卿と緑の騎士」を中英語(Middle English)ふうに綴っています。
ジャケット・デザインに使用されているのは14世紀の騎士ジョン・デ・クリーク卿(Sir John de Creke)の墓碑(monumental brass)の拓本(brass rubbing)です。

ゲストとしてペンタングルの同胞テリー・コックス(フィンガー・シンバル、アフリカン・ドラム、グロッケンシュピール)、次作『The Lady and the Unicorn』にも参加しているジャズのレイ・ウォーレイ(フルート)がクレジットされていますが、それ以外にも「Morgana」(Morganaはアーサー王伝説に登場する魔女モーガン・ル・フェイ/ファタ・モルガーナのことで、fata morganaには蜃気楼(mirage)の意味もあります)には古楽のデイヴィッド・マンロウがリコーダーで参加しています。弓弾きのウッドベースは多分ペンタングルのダニー・トンプソンです。

★★★★★ 


Morgana