幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

ジョアン・ジルベルト  『ジョアン 声とギター』

ジョアン・ジルベルト 
ジョアン 声とギター』 

João Gilberto 
João Voz e Violão 


CD: Mercury 
発売:マーキュリー・ミュージックエンタテインメント株式会社 
販売:ユニバーサル ミュージック株式会社 
PHCA-1067 (2000年) 
定価¥2,548(税抜価格¥2,427) 

 


帯文:

「あの密度、あの集中力。あの繊細さ、そして同時に、軽やかさ。
僕にとっての彼は、天才。詩人だ。
カエターノ・ヴェローゾ


帯裏文:

「「これよりいいものと言ったら、
沈黙しかない。そして沈黙をも凌駕するのは、ジョアンだけだ」
カエターノ・ヴェローゾ

カエターノのプロデュースによる、過去のどのアルバムよりも至近距離でジョアン・ジルベルトを体感できる、(スタジオ録音としては)約10年ぶりの声とギターだけのソロ・アルバム。(ライナーより)」


1.Desde que o Samba É Samba (Caetano Veloso)  3:54 
デスヂ・キ・オ・サンバ・エ・サンバ(サンバがサンバであるからには) 
2.Você Vai Ver (Tom Jobim)  2:55 
ヴォセ・ヴァイ・ヴェール(思い知るがいいさ) 
3.Eclipse (Lecuona)  3:03 
エクリプシ(エクリプス) 
4.Não Vou pra Casa (Antonio Almeida / Roberto Roberti)  2:55 
ナォン・ヴォウ・プラ・カーザ(僕は家へは戻らない) 
5.Desafinado (Tom Jobim / Newton Mendonça)  3:26 
ジザフィナード 
6.Eu Vim da Bahia (Gilberto Gil)  2:32
エウ・ヴィン・ダ・バイーア(エウ・ヴィン・ダ・バイーア
7.Coração Vagabundo (Caetano Veloso)  2:08 
コラサォン・ヴァガブンド(コラサォン・ヴァガブンド) 
8.Da Cor do Pecado (Bororó)  2:27 
ダ・コール・ド・ペカード(罪の色) 
9.Segredo (Herivetto Martins / Marino Pinto)  3:15 
セグレード(秘密) 
10.Chega de Saudade (Tom Jobim / Vinicius de Moraes)  3:23 
想いあふれて 


Uma produção UNIVERSAL MUSIC 
dirigida par Caetano Veloso 
VP A&R: Max Pierre 
Direção artistica: Sérgio de Carvalho 
Projeto gravado e coordenado por Antônio "Moogie" Canázio 
Coordenação executiva: Carmela FOrsin 
Gravação e Rough-Mix no estúdio AR - Rio de Janeiro 
Assistentes de gravação: Duda e Fernando 
Masterizado no MAGIC MASTER 
por Ricardo Garcia 

Modelo da capa: Camila Pitanga 
Fotos: Dario Zalis 
Criação e direção de arte: Gê Alves Pinto 
Projeto grafico: Leitao e Gê Alves Pinto 
Coordenação gráfica: Patricia Fernandes 


◆中原仁による解説より◆

ジョアンからの依頼を受け、カエターノは新作のプロデュースに臨むことになった。しかし全幅の信頼関係があるとは言っても、(中略)事はそう簡単には運ばなかったようだ。カエターノは次のように証言している。
 「ジョアンから電話を受けてプロデュースすることになり、日時を決めた。しかし彼は二度ほど延期してきて、ようやくレコーディングを始められたと思ったら、彼の方から中断したいと言ってきて、その後も延期があったあげくに終了できて、ついに完了したというわけだ。何といっても、彼にとっての‟時間”というのが、そんな風なんだよ。つまり、彼にとって可能な時間、歌える時間、歌いたい時間というのがあって。彼はずっと長いこと一人でいるから、寝たり起きたり生活したりする時間というのもあまり決まってなくて、彼のリズムでやらないといけないんだ。
 ジョアンはとっても細かくて、とっても予想がつかない(笑)。だから、僕らは聴いて聴いて、また聴いて、選んだり変えたり、同じ曲を二度三度、あるいは五度もレコーディングして、どれがいちばんいいかを選んだり、歌うに適した時間が来るのを待ったり。(後略)」。」


◆本CDについて◆

8頁ブックレット(巻き四つ折り)に歌詞(原文)、クレジット、写真図版。投げ込み(クロス16頁折り)にトラックリスト、中原仁による解説、訳詞(国安真奈)、裏面はポスターになっています。

年末年始は鬱状態重篤化しがちなので本作をきいてみました。
「Desafinado」は、自分らしく歌うと世間から「音痴」だと非難されるが、「音痴」にも「心」はあるのだ、という歌ですが、やはり音痴の人は音痴を貫くべきで、へんに歌がうまくなったりするとなにかとても大切なものを失ってしまうような気がしてならないです。

★★★★★

 

Desafinado