幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

美狂乱 『風魔 ライヴ Vol.2』 

美狂乱 
風魔 ライヴ Vol.2 

BI KYO RAN 
WHO MA 


LP: Belle Antique/ベル・アンティーク・レコード 
BELLE ANTIQUE 8805 (1988年) 
Made in Japan 
[定価表記なし] 

 


帯文: 

「このゾクゾクする緊張感!両面で50分強に渡るセンシティヴなアドリブ・プレイの冴え!
やっぱり美狂乱のライヴはただひたすら凄い!AB面全5曲共未発表曲。」
「’82年12月6日(幻の)ACB 
’83年3月22日(噂の)バーボン・ハウス 
ライヴより編集」
「㊟前回のアルバム、マーキー等でのお知らせのアルバムと都合により内容が全面的に変更になりました。詳しくは裏のライナーを御覧下さい。」


SIDE 1 
1.都市の情景 (10:53) VISION OF THE CITY 
2.狂 〔パートⅠ〕 (3:23) PSYCHO 〔PART I〕 
3.風魔 (10:53) WHO MA 

SIDE 2 
1.ストップ・ブレイキング・センス (9:10) STOP BREAKING SENSE 
2.インプロヴィゼーション (17:31) IMPROVISATION 

美狂乱 BI KYO RAN 
須磨邦雄 KUNIO SUMA (GUITAR, VOICE) 
白鳥正英 MASAHIDE SHIRATORI (BASS) 
長沢正昭 MASAAKI NAGASAWA (DRUMS) 
雨宮たくま TAKUMA AMAMIYA (PERCUSSION) 

LIVE AT 
ACB ON DECEMBER 6, 1982 
BOURBON HOUSE ON MARCH 22, 1983 

Front cover painted by AKIRA SHISHIDO 

プロデュース/たかみひろし


◆高見博史によるライナーノーツより◆

「1982年12月6日に東京のACB(アシベ)で、デビュー・アルバム発売後のまもないライヴ(これ以前にSAXをゲストに迎えたライヴを渋谷エピキュラスにて行っている)として行なわれた時のテイクが中心となっているが、その後のテープ発掘により発見された(これも幻のライヴと噂される)83年3月22日大阪バーボン・ハウスでのライヴも組み込まれることとなった。
 本アルバムでのポイントを最初に書いてしまうとこんな風になる。①全5曲レコード初収録ナンバー!②AB面で50分強、CD向け(?)のボリューム!③抜群の音質!」
「今回のACBテイクは、ぼくが、キングのプロ用のワンポイント・マイクを借りて、ソニーのカセット・デンスケで録ったものであるから、音がいいのは当然なのである。」
「「都市の情景」は、もともとキングからのデビュー・アルバムに収められる予定だった曲。単に収録時間の関係だけで涙を呑まざるを得なかっただけで、(中略)「二重人格」あたりに勝るとも劣らない名曲だ。「狂(パートⅠ)」は、「組曲:美狂乱」の内「狂」だけが独立したもので、デビュー・アルバムに収められていたのは「狂(パートⅡ)」で、別の曲なのだ。「風魔」は(中略)バーボン・ハウスで唯一演奏されたが、原曲は、B面ラストの「インプロヴィゼーション」である。(中略)「風魔」=風が呼び覚ますもの、徐々に高まる恐れのかたち。「インプロヴィゼーション」もそうだが、このようなゾクゾクするような緊張感との出会いこそは、美狂乱だけのものだろう。(中略)「ストップ・ブレイキング・センス」(中略)もバーボン・ハウスのテイクで、この時一度だけ演奏された貴重ナンバーである。」
「今回もVol.1同様ジャケットは、ししどあきら氏のもので、もう10年程以前、ぼくは今回のこの画(中略)を、あるデパートの片隅で行なわれていた展覧会で偶然見つけて、ひと目で気に入ってしまい、氏に早速連絡し、DADAのデビュー・アルバムを描いてもらったのだった。」


◆本LPについて◆

E式シングル・ジャケット、裏ジャケにトラックリスト&クレジット、投げ込みライナー(左端を折ってジャケットに引っかけて帯代わりにしています)にトラックリスト&クレジット、高見博史によるライナーノーツ(1988年3月)、Numero Ueno によるライナーノーツ、関連CD紹介「好評発売中」(Belle Antique レーベル&美狂乱/モノクロ図版2点)。

本作は1993年にACBの2曲「ひとりごと」「サイレント・ランニング」を増補してCD化されています。バーボン・ハウスの残りは同年に『乱 ライヴ Vol.3』としてリリースされています。この2枚は個人的にはむしろスタジオ盤より好きかもしれないです。

 


狂(パートI)

風魔

 

 

 

美狂乱 『御伽世界(アーリー・ライヴ Vol. 1)』

美狂乱 
御伽世界 
(アーリー・ライヴ Vol. 1) 

BI KYO RAN 
FAIRY TALE 
EARLY LIVE VOL. 1 


LP: Belle Antique/ベル・アンティーク・レコード  
BELLE ANTIQUE 8704 (1987年) 
¥2,800 
Made in Japan 

 


帯文: 

「美狂乱の真の姿は LIVE にあるとは、昔からファンの間で語りつがれてきたことです。
伝説のドラマー、佐藤正治在籍時のライヴ・アルバムが遂に登場!!」
「’78年11月25日(幻の)全電通ホール
’79年12月4日(噂の)屋根裏
ライヴより編集!」


フライヤーより: 

「ユーロ・ロック専門誌 MARQUEE のレーベル BELLE ANTIQUE (ベル・アンティーク)より美狂乱(後期クリムゾンの影響を受けた日本の伝説的グループ)のライヴ・アルバムが緊急発売されます。幻のドラマー佐藤正治在籍時の初期のライヴ(ほとんどLP未収曲)・テイクス。ネクサス(キング・レコード)で美狂乱の2枚のアルバムを世に送り出した高見博史をプロデューサーにむかえて実現した夢のアルバム。スタジオ盤をはるかに上回る迫力に驚かれるに違いありません。ジャケットは DADA のジャケットを担当したイラストレーター、ししどあきらの筆です。」
「完全限定1000枚」


SIDE 1 
1.うねり CHAOS 12:00 
2.御伽世界 FAIRY TALE 10:43 

SIDE 2 
1.空飛ぶ穀蔵 FLIGHT OF KOKUZO 8:17 
2.未完成四重唱 UNFINISHED QUARTET 2:31  
3.予言 PREDICTION 11:00 

美狂乱 BI-KYO-RAN 
須磨邦雄 KUNIO SUMA (GUITAR, VOICE) 
吉永伸二 SHINJI YOSHINAGA (BASS) 
佐藤正治 MASAHARU SATO (DRUMS, PERCUSSION) 
久野真澄 MASUMI KUNO (KEYBOARDS) 
杉田孝子 TAKAKO SUGITA (VIOLIN) 

LIVE AT YANEURA ON DECEMBER 4, 1979 
EXCEPT "CHAOS" AT DENTSU HALL ON NOVEMBER 25, 1978 

プロデュース/たかみひろし 
PRODUCED BY HIROSHI TAKAMI 
Executive Produced by AUVIS 
Front Cover Painted by AKIRA SHISHIDO 
Special Thanks to Numero Ueno 


◆高見博史によるライナーノーツより◆

「かつてぼくはひとりのファンとして、(中略)その圧倒的なステージを残らず記録すべく、ちっぽけなテープを回し続けた。当時のエキサイティングな時間の記録が、いまぼくの手元に30本程ある。もちろんほとんどがカセット・テープであるから、必ずしも音質的には満足のいくものではない。しかし、正にあの「アースバウンド」がそうであったように、音が鳴り出したとたんそんなことはどうでもよくなってしまう音楽の悦びがここにはある。(中略)この2度と取り戻せない至高のインプロヴィゼーションを、ぼくはひとりでも多くの人に聴いて欲しかった。こうしてこのアルバムは誕生した。」
「「うねり」は、いまや “幻の” 電通ホールでのライヴ・テイクだ。1978年11月25日のこのコンサートは “FROM THE NEW WORLD” と題され、美狂乱の他に新月、ガラパゴス、目合(まぐあい)といった、数少ないプログレッシヴ・バンドによるフェスティバルだった。ここで美狂乱は「うねり」「御伽世界」「ゼンマイ仕掛け」「未完成四重唱」「警告」の5曲を演奏した。」
「A②「御伽世界」からB面のラスト「予言」に至る4曲は、79年12月4日屋根裏(渋谷)でのテイクだ。」
「収録時間の関係上、曲順は並べ変えられているが、全曲ノーカットで収めた。音の方は多少イコライズし、より鮮明に聴き易くした。」
「このアルバムを制作することは、ぼくの長年の夢だった。メジャーからは音質的に発売は無理だったが、こうしてインディーズとしてなんとか発売出来てほっとしている。」


◆本LPについて◆

E式シングル・ジャケット、裏ジャケにトラックリスト&クレジット。投げ込みライナー(片面印刷)にトラックリスト&クレジット、高見博史によるライナーノーツ(1987年11月25日)、歌詞(「御伽世界」「未完成四重唱」「予言」)。

Belle Antiqueの美狂乱ライヴ・シリーズはこの後1988年にVol.2『風魔』――本LPリリース時のフライヤーでは『ゼンマイ仕掛けの美狂乱』というタイトルで「ゼンマイ仕掛け」(スタジオ・テイク)、「警告」(屋根裏)、「組曲:美狂乱」収録が予告されていましたが、それは没になって、Vol.3「ACBテイクス」としてリリースする予定だった新宿ACB(1982年)と、大阪バーボン・ハウス(1983年)でのライヴが収録されることになりました――が出て、CDに移行して1993年に『乱 Live Vol.3』(1983年/バーボンハウス)、1994年に『まどろみ Live Vol.4』(1976年)が出ています。『風魔』も1993年に増補版でCD化されていますが、本作は「永久にCD化の予定はない」(美狂乱オフィシャル・サイトより)。

『御伽世界』『風魔』は内容はもちろんのことジャケット・デザインが2枚とも実にすばらしいです。マグリットやバルテュス、さらには片山健の画集『美しい日々』にも通じるノスタルジア(幻想性)と危うさ(背徳感)があってよいです。
「高見博史氏が採用した宍戸明氏のイラスト・ジャケットの美しさは尋常ではなく、完全に美狂乱の音楽を超えていると思ったものでした。
水中の世界で街の光を絶やさぬように黙々とピアノを弾き続ける少女...。その画面構成や綿密なリアリズム描写は恐怖すら覚えます。」
(須磨邦雄/美狂乱オフィシャル・サイトより)

「空飛ぶ穀蔵」は「信貴山縁起絵巻」の「飛倉」のイメージでしょうか。

 

 

 

 

 

 

George Brassens 『TNP 1966』

George Brassens 
TNP 1966 


CD: Philips / Mercury France 
534149-2 (1996) 

 

 

1. le pluriel  4:07 
2. la non-demande en mariage  3:58 
3. la fessée  4:10 
4. le vingt-deux septembre  3:22 
5. les quat' z'arts  4:26 
6. le grand chêne  4:15 
7. l'épave  3:24 
8. les sabots d'Hélène  2:59 
9. les quatre bachellers  4:54 
10. Saturne  3:01 
11. le bulletin de santé  4:14 
12. supplique pour être enterré à la plage de Sète  7:00 
13. Jeanne  3:01 
14. concurrence déloyale  4:18 
15. dans l'eau de la claire fontaine  2:08 
16. le moyenâgeux  4:41 
17. le fantôme  3:52 
18. auprès de mon arbre  2:35 
19. corne d'Aurochs  3:45 
20. la mauvaise réputation  3:01 


palores et musiques : Georges Brassens. 
Contrebasse : Pierre Nicolas. 
Mastering réalisé par Jean-Marie Guérin au studio Polygram. 

Recto d'après l'affiche orginale de Jacno, photo : Agence Bernand. 
Photos intérieures : Jacques Abert (archives Mercury). 
Graphisme : Hervé Imbault pour les Télécréateurs. 


◆本CDについて◆

仏盤。ジュエルケース(白トレイ)。ブックレット(巻き三つ折り)にトラックリスト&クレジット、Marc Robineによる解説(仏文)、写真図版(モノクロ)2点。歌詞は掲載されていません。

ジョルジュ・ブラッサンスが1966年9月16日から10月22日にかけて、パリのシャイヨー宮にあった国立民衆劇場(TNP/Théâtre national populaire)でジュリエット・グレコを前座に32公演で10万人の観客を動員したコンサートの発掘音源です。歌とギターはブラッサンス、コントラバスはピエール・ニコラ。TNPの当時の支配人は『かくも長き不在』の浮浪者役でおなじみの俳優ジョルジュ・ウィルソン、企画はジャック・カネッティ。

#19, 20はアルバム『No 1: Georges Brassens chante les chansons poétiques』(1953年)、#8, 18は『No 3』(1954年)、#15は『8』(1961年)、#13は『No 9』(1962年)、#4, 5, 10は『Les copains d'abord』(1964年)収録曲。#1, 2, 3, 6, 7, 9, 11, 12, 14, 16, 17はこのコンサートで初披露された曲で、その後パリのブラッサンスの自宅でレコーディングされたヴァージョンが1966年10月にアルバム『IX』(邦題『個人主義宣言』)としてリリースされています。

各曲邦題は:
#1 「〈個人主義宣言〉複数形」 
#2 「独身主義者のバラード」 
#3 「尻たたき」 
#4 「9月22日」 
#5 「書生気質」 
#6 「柏の大木」 
#7 「遺失物」 
#8 「ヘレンの木靴」 
#9 「四人の不良」 
#10 「時の神、サトゥルヌス」 
#11 「健康診断書」 
#12 「セートの浜辺に埋葬の為の嘆願歌」 
#13 「ジャンヌに捧げる」 
#14 「泥試合」 
#15 「澄んだ泉のほとりで」 
#16 「中世への羨望」 
#17 「幽霊」 
#18 「僕の木のそばで」 
#19 「野牛の角(つの)」 
#20 「悪い噂」 

 

la mauvaise réputation

 

 

Henry Cow 『Unrest』 

HENRY COW 
UNREST 


CD: East Side Digital 
ESD 80492 (1991) 
Made in Canada 

 


1. Bittern Storm over Ulm (Frith)  2:44 
2. Half asleep; Half awake (Greaves)  7:39 
3. Ruins (Frith)  12:00 
4. Solemn Music (Frith)  1:09 
5. Linguaphonie (H. Cow)  5:58 
6. Upon entering the Hotel Adlon (H. Cow)  2:56 
7. Arcades (H. Cow)  1:50 
8. Deluge (H. Cow)  5:52 
9. The Glove (H. Cow)  6:35 
10. Torchfire (H. Cow)  4:48 


Tim Hodgkinson: organ, alto sax, clarinet, piano 
Fred Frith: stereo guitar, violin, xylophone, piano 
John Greaves: bass, piano, voice 
Chris Cutler: drums 
Lindsay Cooper: bassoon, oboe, recorder, voice 

All tracks Virgin Music Publishers Ltd. © Virgin 

Recording engineers; Phil Becque with Andy Morris; parts of Ruins by Mike Oldfield. 
Mixing engieers; 1-4 Phil Becque; 5-8 Henry Cow; 9-10 Tim Hodgkinson. 
Certain vocals and engineering assisatance by Charles Fletcher. 
All the sounds were made with the instruments listed above; however, in parts of Ruins and Linguaphonie, the bassoon, alto, voice and drums were recorded at half or double speed. Tracks 9 & 10 are taken from raw material recorded  at the UNREST sessions. 

Paintings and black & white photo by Ray Smith. 
Paintings photographed by Anne Lamberty. 

Bittern Storm over Ulm acknowledges its debt to O. Rasputin's "Got to Hurry" by the Yardbirds. 

Recorded at the Manor Feb/Mar. 1974. 
Produced by Henry Cow and dedicated to Robert Wyatt and Uli Trepte. 


◆本CDについて◆

輸入盤。ジュエルケース(黒トレイ)。ブックレット(全8頁)にトラックリスト&クレジット、「UNREST BACKGROUND」(本作について)、図版(オリジナルLP表・裏・中ジャケ)。

米イースト・サイド・ディジタル(ESD)からの初CD化。LPでは#1~3がサイドⅠ、#4~8がサイドⅡ。#9、10はCDボーナス・トラックで、本作のセッションからの抜粋です。
#1~4はあらかじめ作曲されたもの、#5~8はスタジオでの即興演奏をテープ操作によって編集したもの。#9、10は生に近い形の即興演奏です。
本作はデレク・ベイリーに代表されるヨーロッパ(イギリス/オランダ/ドイツ)のインプロヴィゼーション(即興)主体のフリー・ジャズと、カーラ・ブレイ/ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラに代表されるコンポジション(曲)に基づくアヴァンギャルド・ジャズのエッセンスを、ソフト・マシーンやフランク・ザッパに代表されるアヴァンギャルド・ロックのフィールドに落とし込んだ名盤ですが、そういう意味では本LPと同シリーズで国内発売されたフレッド・フリスの『ギター・ソロ』(1974年7月録音。ジョン・ケージの影響の元にギターをプリペアドしたりしています。音的にはデレク・ベイリーのソロ作に近いです)と、ピーター・ブレグヴァド&ジョン・グリーヴスの『キュー・ローン』(1976年録音。カーラー・ブレイやアンドリュー・シリルが参加しています)と併せて聴くと興味深いです。


The Glove 

 

 

 

ヘンリー・カウ 『アンレスト』 

ヘンリー・カウ 
アンレスト 

Henry Cow 
Unrest 


LP: Virgin 
発売元:ビクター音楽産業株式会社 
第3期ヴァージン・オリジナル・シリーズ ①
VIP-4096 (1981年) 
¥2,000 [完全予約限定盤] 
[STEREO 33 1/3] 
Made in Japan by Victor Musical Industries, Inc. Licensed by Virgin Records Ltd., England ℗81Ⓚ 

 


帯文: 

「あらゆる音楽概念の創造的結合を志向したヘンリー・カウが74年に発表した歴史的名盤。
〝存在の不安〟をテーマにしたこの作品は、ユーロ・プログレッシヴ・ロックの原点といえよう。」


アンレスト 
ヘンリー・カウ 
UNRESST/HENRY COW 

SIDE 1 
1.ビターン・ストーム・オーヴァー・ウルム 
BITTERN STORM OVER ULM 
2.ハーフ・アスリープ・ハーフ・アウェイク 
HALF ASLEEP; HALF AWAKE 
3.ルインズ  
RUINS 

SIDE 2 
1.ソレム・ミュージック 
SOLEMN MUSIC 
2.リンガフォニー 
LINGUAPHONIE 
3.アポン・エンターリング・ザ・ホテル・アドロン 
UPON ENTERING THE HOTEL ADLON 
4.アーケーズ 
ARCADES 
5.デルージ 
DELUGE 

Produced by Henry Cow 

Timing: 
Side 1 ①2:15 ②7:59 ③12:05 
Side 2 ①②6:39 ③3:00 ④⑤7:21 


HENRY COW 
UNREST 


Bittern Storm over Ulm (Frith  2.44) 
Half asleep; Half awake (Greaves  7.39) 
Ruins (Frith  12.00) 
II 
Solemn Music (Frith  1.09) 
Linguaphonie (H. Cow  5.58) 
Upon entering the Hotel Adlon (H. Cow  2.56) 
Arcades (H. Cow  1.50) 
Deluge (H. Cow  5.52) 

Tim Hodgkinson: organ, alto sax, clarinet, piano. 
Fred Frith: stereo guitar, violin, xylophone, piano. 
John Greaves: bass, piano, voice 
Chris Cutler: drums. 
Lindsay Cooper: bassoon, oboe, recorder, voice. 

Recording engineers: Phil Becque with Andy Morris; 
parts of Ruins by Mike Oldfield. 
Mixing engineers: Side 1, Phil Becque: Side 2, Henry Cow. 
Certain vocals and engineering assistance by Charles Fletcher. 
All the sounds were made with the instruments listed above; however, in parts of Ruins and Linguaphonie, the bassoon, alto, voice and drums were recorded at half or double speed. 

Cover paintings and inside photograph by Ray Smith. 
Cover paintings photographed by Anne Lamberty. 

Bittern Storm over Ulm acknowledges its debt to O. Rasputin's 'Got to Hurry' by the Yardbirds. 

For many things other than the record we would like to thank Charles Fletcher, Jack Balchin, D.J. Perry, Ray Smith, Lol Coxhill, Henk Weltevreden and Geoff Leigh. 

Recorded at the Manor Feb./Mar. 1974. 
Produced by Cow and dedicated to Robert Wyatt and Uli Trepte. 


◆クリス・カトラーによる「「アンレスト」に関するノート」(訳:永山敬子)より◆

「『アンレスト』は、1974年の凍りつくような寒い冬、オックスフォードのマナー・スタジオで録音された。当時、私たちは比較的成功を収めたことで、それに関わる問題やプレッシャーも少なくなかったが、とくにこの時はオランダ・ツアーの直後だったために心身とも、へとへとだった。ファウストとのツアーを終え、ロンドンでシェークスピア劇『テンペスト』の音楽を担当し、相当量のコンサートを消化しながら録音に入ったわけだ。
 私たちのコンサートは、つねに “特別なイベント” にするための新しい曲をつくったり、周到な準備をして臨まなくてはならず、ひとつひとつ、ユニークで違った結果をつくり出すための努力を惜しまなかった。しかし、それでもある時、毎晩のように似たようなことをやっている自分に気がついた。自分自身であることを妨害し、バランスを壊している私たちを発見したのだ。過剰なビジネスに対する反省から、とても落ち着かない日々が続いていた。
 オランダから帰ると、ジョフ・レイが脱退した。後任は探さず、4人でやってゆくことに決めたが、結果的にリンゼイ・クーパーに参加を依頼することになった。彼女は、自らの自主性、強靭さ、テクニックをもって多くの珍しい楽器を演奏する。それに対等のパートナーとしての女の子の参加は以前からの希望でもあったので、皆とても発奮した。新しいラインアップ用の曲が次々と作曲され、1日12時間以上のリハーサルを、メンバーのひとりの家の裏にある冷蔵用倉庫で行った。でも、私たちはひどく貧しく、部屋の暖房もお金のもらえる職もなく、またリンゼイは、レコーディングに入る4日前に4本の歯を抜かねばならず、といった苦しいことや辛いこともいっぱいあった。
 レコーディングはサイド1から開始された。こちらは、完全に作曲された曲を演奏することに決めてあった。しかし、テクニック的な問題からスムーズにはいかず、録音中にまで練習するというあり様だった。(中略)でもこの時は「最上のものを引き出せるだろう」という確信が胸の内にはあった。
 サイド2に関しては、冒険はうまくいった。それは、スタジオにいて、その進行と同時に曲をつくってゆく試みだった。全体的な構想に基づき、インプロヴァイゼーションやコンポジション、さらにテープ・ワーク(編集、速度変更、テープループetc)を混ぜ合わせて音楽を発展させるという、意識的な試みがサイド2での主たる方法だ。たとえば、「リンガフォニー」では即興演奏のいくつかのテープが、注意深く一貫性の構築をめざしてつなぎ合わされている。そしてそれを再び聴きディスカッションする。音楽の《内容》を見つけようとしたのだ。私たちが引き出せるはずのメッセージと意味を。(中略)我々がインプロヴァイズし、基本となる素材をつくる際、最も過敏になるべきことは、自分たちが何を《言い得る》のかを見つけ出すことだ。それはとても暗い雰囲気で進められ、進行につれて精神の中ではすべてがまとまっていったが、自分たちの《真実》に従うための道の苦しさもいやというほど味わった。
 「アポン・エンターリング・ザ・ホテル・アドロン」では、大戦前のドイツ・ナチ “ハイソサエティ” の溜まり場へ入っていった。殺人者が通りを闊歩するように、踊り、シャンペンを飲みほし、戦争を飽くことのない亡霊をたてまつる絶望的な怪物たちがいる。
 「アーケーズ」では、しばし夜の冷気の中に踏み込んだ。雨が降り、シュッと音を立てる黄色いランプ、街が濡れてキラキラ光っている。一晩中、悪夢が眠りの中にちらついた。それでもそれは何か平和の前兆に思えた。
 「デルージ」は、50秒間のドラム、ギター、ベースをワン・サイクルのループにし、16トラックで4分間録音した。ギターとサキソフォンをダビングし、サイド1の「ルインズ」の最後のメロディーを半分のスピードでリフレインした。そしてハーモニーと、妥協できないほど静かで悲しげなメロディーを見つけ、ぎくっとするようなリズムの奇妙さを加えた。最後のパートはジョンによって書かれた。音の世界は死んでいる。どしゃぶり、雷、破壊、荒涼がオーケストラの音の中に沈んでゆく。
 小さな希望、それでも希望だ。この作品は私たちにとって大変重要な意味をもった。1日17時間に及ぶ作業は苦痛以外の何物でもなかったが、我々――このバラバラで短気で、うつろいやすく、半日たっても何も生めない集合体――は、軋轢(あつれき)とストレスに満たされながらも、自分たちが実存的な時代の精神と真実への努力に近づいたと思っている。
 私たちはハッピーにはなれず、スタジオから不安な気持ちで出た。気分はまったく晴れなかった。しかし、後になって多くの人々が何を感じたかを知り、自分たちの疎外感や不満が、音楽によって客観化され得たことに満足した。
 ヘンリー・カウは、仕事の上で面と向かってはコミュニケイトし得ないものを相互的にコミュニケイトしてきた。また、自己破壊的エネルギーを美化し、そしてある程度まで、その行為に対する恐れを克服してきた。――あるいは、自分たち自身の絶望を何かクリエイティヴなものに変えた。私は願っている。これらの努力がいまだに有益であらんことを。」


◆北村昌士による解説より◆

「ヘンリー・カウが、1974年に発表したセカンド・アルバム『アンレスト』、これは、現在までカウによってリリースされた全作品の中でも、とりわけその比類ないインストルメンタル・プレイを、パフォーマンスの主軸に置いていた、いわゆる《第一期》と呼ばれた時期の最高傑作として名高いアルバムである。」
「『アンレスト』は、1曲目のフレッド・フリスのギターをフィーチャーした「ビターン・ストーム・オーヴァー・ウルム」より幕を開ける。ヤードバーズの曲「Got To Hurry」のフォルムを借用した旨が内ジャケットに記されているが、複合リズムを用いたバックのアンサンブルの反復と、巧みにスケールを変化させて非ロック的なアドリブを展開するフリスのコンビネーションは絶妙である。続くベーシスト、ジョン・グリーヴスの曲「ハーフ・アスリープ・ハーフ・アウェイク」は、フリーなビート展開の上を、女性木管奏者リンゼイ・クーパーの素晴らしいソロが駆け抜ける中間部に、カウの本領が発揮されている。そして1面の最終曲「ルインズ」は、このアルバム中最大の構成力を持った大作だ。リズムの概念を粉々に破壊し、随所にトーン・クラスターや12音技法、ノイズなどの意識的なメタ・エレメンツを組み込み、さらにオーボエ&バスーンとフリスのヴァイオリンのオーガニックな即興が、ヨーロッパ近代文化の死を情景的に暗示してゆくというメタフィジカルな試みは、このアルバムのテーマとリアルに呼応して壮大な空間を築き上げている。2面に移ると、その方法論はさらに激化した形で提示される。ほとんどは非コンポジションを基調にした、メンバーの自由なインプロヴァイゼーションによって展開されていて、クリス・カトラーのアナーキーなパーカッション・ワーク、リンゼイ・クーパーのアーティスティックで室内楽的な木管の音色、フレッド・フリスの恐るべきヴォルテイジを秘めた表情豊かなギター、フリー・ジャズの色濃いティム・ホジキンソンのホーンとサティのようなピアノが、素晴らしい密度で一体化した創造的ダイナミズムに溢れた演奏を繰り広げている。まるでマーラーかシェーンベルクを想わせる、重厚でやるせない弦の響きが怒濤のように押し寄せるクライマックスに、ロバート・ワイアットのごときふりしぼるような唱法を聴かせるジョン・グリーヴスも、パターンにとらわれないセンシティヴでダイナミックなベースを披露してくれている。リズムとかビートとかという考え方では理解できない、いうなればある特殊な時間概念に統括された、西欧的なるものと非西欧的なるものの融合と対立、さらには音楽の形式をめぐってさまざまに階層化し分断されていた精神の系譜、そうした数知れぬ物的・社会的・生物的な要素と状況を、洗練された感性のもとで再組織化し、ポジティヴなエナジーへと変換しようとするヘンリー・カウの意志は、このアルバムでも見事なまでに昇華され尽しているといえるだろう。」


◆本LPについて◆

A式見開きジャケット、中ジャケにトラックリスト&クレジット。投げ込みライナー(片面印刷)にトラックリスト、クリス・カトラー「「アンレスト」に関するノート」(1981年1月/訳:永山敬子)、北村昌士による解説「不安(unrest)と実在のはざま」(1981年1月/「Special Thanks To Chris Cutler For His "Unrest Note"」)。緑レーベル。

本LPの帯には「完全予約限定盤」とありますが、私は1982年1月5日に阿佐ヶ谷のレコード店で見かけて購入しました。店名は度忘れしてしまいましたが、小さな店舗ながら棚にはキングレコードの「ユーロピアン・ロック・コレクション」がずらりと並び、プログレの輸入盤も充実していて今思うとたいへんありがたい奇特なお店でした。

 

 

 

 

 

John Cage 『John Cage』 

nova musicha n.1 
JOHN CAGE 


CD: Cramps Records 
distributed by Artis Records 
CRSCD 101 (1989) 
Made in Italy 
[ADD] 

 


1. Music for Marcel Duchamp (1947)  6:30 
2. Music for amplified toy pianos (1960)  11:58 
3. Radio Music (1956)  6:00 
4. 4'33'' (in tre parti: 30''/2'23''/1'40'') (1952)  4:33 
5. Sixty-two mesostics Re Merce Cunningham (frammento) (1972)  8:30 

Performers 
Juan Hidalgo, Walter Marchetti 
Gianni-Emilio Simonetti, Demetrio Stratos 

Musica: John Cage 
Registrazione: Fono-Roma: Milano 
Digital remastering: RDS Milano 

Art Direction: Gianni Sassi/Nuova Intrapresa 
Fotografie: Antonio de Gregorio, Ummarino srl 
Assistenza tecnica per il suono: Piero Bravin, Ambrogio Ferrario 
Produzione: Cooperativa Nuova Intrapresa 


◆本CDについて◆

イタリア盤。ジュエルケース(黒トレイ)。ブックレット(全36頁)にGianni-Emilio Simonettiによる解説(ジョン・ケージについて及び各曲解説/伊語原文&仏・英訳)、「Produzione Cramps」(CDリスト)、モノクロ図版17点。

オリジナルLPは1974年、伊Cramps Recordsの現代音楽シリーズnova musichaよりリリース。
「Music for Marcel Duchamp」(1947年)はハンス・リヒターのダダ映画「金で買える夢(Dream that money can buy)」のマルセル・デュシャンの「ロトレリーフ」のシーンのために書かれたプリペアド・ピアノ独奏曲で、ここでは現代音楽の作曲家でもあるフアン・ヒダルゴ(Juan Hidalgo)が演奏しています。
「Music for amplified toy pianos」(1960年)はトイ・ピアノとさまざまなノイズを発するオブジェのためのアナーキーな音楽、「Radio Music」(1956年)は数台のラジオ受信機のための曲で、ここでは1974年4月5日22時30分から23時50分のあいだの6分間のライヴ録音、両者とも「演奏」はヒダルゴ、ヒダルゴと同じく「イタリアのフルクサス」と呼ばれる前衛芸術集団ZAJに属する作曲家のワルター・マルケッティ(Walter Marchetti)、そして本作の解説執筆者で「フルクサス」(ケージの教えを受けたジョージ(ユルギス)・マチューナス(George Maciunas)によって創始された1960~70年代の国際的な芸術運動)で活動していたジャンニ=エミリオ・シモネッティ(Gianni-Emilio Simonetti)の3人。
「4'33''」(1952年)はシモネッティによる「演奏」。スタジオ録音なのでピアノの蓋を開け閉めする音以外はほぼ無音ですが、リスナーの環境によって鳥の鳴き声がきこえたり自動車の通過音がきこえたりするのではないでしょうか。私が聴いたヴァージョンでは冷蔵庫がドローンを、耳鳴りが電子音を奏でていました。LPだと劣化によってノイズとか音飛びとかが発生して聴くたびごとに変わってくるのではないでしょうか。
「Sixty-two mesostics Re Merce Cunningham」(1971年)はケージによる「メゾスティック」(アクロスティックの変形で、縦書きにされた人名(ここでは「MERCE CUNNINGHAM」)を柱に、「易経(I-Ching)」によって選ばれた言葉によって文章が生成されています)を、アレア(インターナショナル・ポピュラー・グループ)のデメトリオ・ストラトス(Demetrio Stratos)が朗唱しています。
 

 

Radio Music


Sixty-two mesostics Re Merce Cunningham

 

 

 

 

John Cage 『Cheap Imitation』

nova musicha n.17 
JOHN CAGE 
Cheap imitation 


CD: Cramps Records 
Distributed by Artis Records 
Series: nova musicha 
CRSCD 117 (1899) 
Made in Italy 
[A|D|D] 

 


Cheap imitation 

I  7:14 
II  8:27 
III  20:30 


Performer: John Cage 
Registrazione: Registrato in un giorno di pioggia, il 7 marzo 1976, al Center for Contemporary Music, Mills College, Oakland, California. 
Digital Remastering: RDS Milano 
Produzione: David Behrman 
Meccanico del suono: "Blue" Gene Tyranny 

Art director: Gianni Sassi 
Designers: Marco Santini, Fabio Bortuzzo 
Fotografie: Rhoda Nathas, Umberto Padroni 
Produzione: Cooperativa Nuova Intrapresa 
Edizioni: Cramps Music/Milano 


◆本CDについて◆

イタリア盤。ジュエルケース(黒トレイ)。ブックレット(全36頁)にトラックリスト&クレジット、ダニエル・シャルル(Daniel Charles)による解説(伊・仏・英)、作曲者・演奏者紹介「John Cage」(無記名/伊・仏・英)、ジョン・ケージによる自作解説(伊・仏・英)、ジョン・ケージ「An imaginary conversation between Satie and myself」(初出「Art News Annual」1958年/伊・仏・英)、「Produzione Cramps」(CDリスト)、モノクロ図版5点。

ジョン・ケージ自作自演『チープ・イミテーション』(1976年録音)。オリジナルLPは1977年リリース。
『チープ・イミテーション』はエリック・サティの『ソクラテス』に基づきつつ、「易経」による操作(チャンス・オペレーション)を経て作曲されたピアノ独奏曲(1969年)で、本来は『ソクラテス』を2台のピアノ用に編曲したものをマース・カニンガムのダンス・カンパニーの舞台音楽として使用する予定だったのが、サティの楽譜出版社マックス・エシックの使用許可が下りず、すでに完成していた振付けを生かすために『ソクラテス』と演奏時間&構成が同じオリジナル曲を作ることになりました。その後オーケストラ版(1972年)とヴァイオリン独奏版(1977年)にアレンジされています。ケージの演奏はピアノというよりは雨粒のようで癒されます。

 

 

Merce Cunningham Dance Company at BAM: Second Hand