幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

ヘンリー・カウ 『伝説』 

伝説/ヘンリー・カウ 

LEGEND 
HENRY COW 


LP: Virgin 
発売元:ビクター音楽産業株式会社 
シリーズ:ヴァージン・ベスト・セレクションズ 
VIP-4153 (1982年) 
¥2,000 
Made in Japan by Victor Musical Industries, Inc. 
Licensed by Virgin Records Ltd., England 
[STEREO 33 1/3]  

 

 

帯文: 

「音楽がもつ無限の可能性を試行し追求したヘンリー・カウ。時代を超えていまなお存在する、ヘンリー・カウの衝撃のデビュー・アルバムが遂に復活!!」


●SIDE - 1 
1.鼠(ねずみ)の天国 (4:50) 
NIRVANA FOR MICE 
2.扁桃(へんとう) (6:57) 
AMYGDALA 
3.ティーンビート・イントロダクション (5:31) 
TEENBEAT INTRODUCTION 
4.ティーンビート (5:39) 
TEENBEAT 

●SIDE - 2 
1.「ザ・イエロー・ムーン・アンド・ブルー・スター」からの抜粋 (3:30) 
EXTRACT FROM "WITH THE YELLOW HALF-MOON AND BLUE STAR" 
2.ティーンビート・リプライズ (6:34) 
TEENBEAT REPRISE 
3.ザ・テンス・カフィンチ (4:35) 
THE TENTH CHAFFINCH 
4.市民の王の九つの葬式 (5:26) 
NINE FUNERALS OF THE CITIZEN KING 

 

SIDE ONE  (23:45) 
Nirvana for Mice (Frith) 
Amygdala  (Hodkginson) 
Teenbeat Introduction (H. Cow) 
Teenbeat (Frith/Greaves) 

SIDE TWO  (20:15) 
Extract from 'With the Yellow Half-Moon and Blue Star' (Frith) 
Teenbeat Reprise (Frith) 
The Tenth Chaffinch (H. Cow) 
Nine Funerals of the Citizen King (Hodgkinson) 


Geoff Leigh - saxes, flute, clarinet, recorder, voice 
Tim Hodgkinson - organ, piano, alto sax, clarinet, little bells, voice 
Fred Frith - guitars, violin, viola, piano, voice 
John Greaves - bass, piano, whistle, voice 
Chris Cutler - drums, toys, piano, whistle, voice 


Recorded at Manor Studios, May/June '73 
Sound by Tom 'Greasy Patches Newman and Henry Cow. 
(First bit of 'Nirvana for Mice' engineered by Mike Oldfield). 
For Teenbeat Chorale we were augmented by Sarah Greaves, Maggie Thomas and Cathy Williams. 
The Pixiphone on 'Yellow Half-moon' is by Jeremy Baines. 
The tenor solo on 'Nirvana for Mice' is by Geoff, the alto solo on 'Teenbeat pt. two' by Tim. 


Front cover by Ray Smith 
Special thanks to Tom, Sos, Jane, Lady June, John Walters, John Peel and all other encouragers, explorers and friends. 


◆塩田秀夫による解説より◆

「このカウのデビュー・アルバムは、イギリスではヴァージン・レコードの通算5枚目のアルバム(V-2005)にあたります。」
「アルバム・タイトル "LEGEND" には、2つの意味があります。一つは「リジェンド(伝説・聖徒伝の意)」、そしてもう一つは「レグ・エンド(ジャケットの靴下からの連想)」。この言葉の遊び自体のおもしろさが、ある程度当時のカウの音楽的傾向をも伝えています。」
「ここで簡単に、そのデビューに至るまでのバンドのおおまかな足どりをまとめてみましょう(ティム・ホジキンソンが語ってくれました)。1968年頃にケンブリッジ大学の3人の学生フレッド・フリスとティムは、ロジャー・ベイコンという友達のアマチュア・バンドを通じて知り合います。真摯な態度で音楽にとりくむ事に同意した2人はデュオとなり、作曲家のヘンリー・カウエルにちなんで、「ヘンリー・カウ」と自ら名のります。当時ティムは、ジョン・コルトレーン・スタイルのジャズとシェーンベルク・スタイルの現代音楽の両分野に殊に興味を持っていましたが、自分達の演奏に関しては、それ程強い方向性を持たず、フレッドに関しても、それは同様だったそうです。
 数ヵ月後にアンドリュウ・パウエル(後に山下勉、ケイト・ブッシュ等と活動)の参加でトリオに発展した彼等。賢くまたどんな楽器もこなすアンドリュウの参加は、"ヘンリー・カウ・サウンド" の基礎作りに大きく作用しました。具体的にいえば、初期ソフト・マシーンのそれによく似たものでした。それはアンドリュウがソフツのメンバー達とも親交を持ち、時に演奏にも参加した事実からも察せましょう。フレッドはベース、アンドリュウがドラム、ティムはキーボードを主に担当していました。後に、方向性の違いからアンドリュウが離れ、ベーシスト、ジョン・グリーヴスを迎えます。しかし彼等全員がまだ学生であった為、ドラマー決定までにかなり紆余曲折がありました。」
「メロディー・メイカー紙で「ロバート・ワイアット風バンドに加わりたし」という広告を見つけた彼等は、オタワ・カンパニーというサークルの一員、クリス・カトラーを採用します。(中略)クリスを通じてオタワにも参加したカウは、その中のエッグ、カーンといったグループ達と交友を持ちました。このきっかけにより、その音楽友達が後に結成していくハットフィールド、エッグ、ゴング等の録音をカウのメンバーが手伝うことになるのです。」
「そして、カウが音楽を担当した歌劇「バッカス」を契機に参加を決意したのが、サックスのジェフ・リーなのです。こうした状況のもとでこのアルバムはマナー・スタジオで録音されました。」

「日本ではこういった音楽に対する興味が、今、特に強いようだね。理由は僕自身、日本で確かめる事にするよ」現在、ザ・ワークのメンバーであるティムは6月の来日を楽しみにしていました。」


◆本LPについて◆

E式シングル・ジャケット。裏ジャケにトラックリスト&クレジット。投げ込みライナー(片面印刷)にトラックリスト、塩田秀夫による解説('82. 3.)。緑レーベル。青&黒背。

オリジナルLPは1973年。日本盤LPは1975年に日本コロムビアから出ていて、本LPはビクターからの再発(廉価盤)です。

ソフト・マシーンとフリー・ジャズ、そしてフランク・ザッパ(『Uncle Meat』『Hot Rats』『Burnt Weeny Sandwich』『Weasels Ripped My Flesh』『Chunga's Revenge』『Waka/Jawaka』)の影響を消化/昇華した、アヴァンギャルドでありながら抒情的(エモい)な「カンタベリー・ロック」の名盤です。

本作は1991年にボーナス・トラック入りで初CD化(East Side Digital)されていますが、ティム・ホジキンソンとフレッド・フリスによるリミックスは、次作『Unrest』から加入することになるリンジー・クーパーのバスーンを新録音(1990年)で挿入したりしていて(「Amygdala」)、やや違和感があります。


Amygdala 

Amygdala (1990 Remix) feat. Lindsay Cooper