幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

エリーナ・ドゥニ 『ロスト・シップス』 

エリーナ・ドゥニ 『ロスト・シップス』 

Elina Duni 
Rob Luft 
Fred Thomas 
Matthieu Michel 

Lost Ships 


CD: ECM 
制作:ユニバーサル クラシックス&ジャズ 
発売・販売元:ユニバーサル ミュージック合同会社 
シリーズ:21世紀のECM 
UCCE-3065 (2022年) 
定価:¥1,980(本体¥1,800) 
Made in Japan 
SHM-CD 

 


帯文:

アルバニアをルーツに持つシンガーと英国人ギタリスト、ロブ・ルフトとのコラボレーションから生まれた最新カルテット作品。」


1.ベッラ・チ・ドルミ 6:55 
Bella Ci Dormi (Traditional from Italy) 
2.ブライトン 5:41 
Brighton (Elina Duni / Rob Luft) 
3.アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー 4:22 
I'm A Fool To Want You (Frank Sinatra / Jack Wolf / Joel Herron) 
4.ナム 6:25 
Numb (Elina Duni / Rob Luft) 
5.ロスト・シップス 5:20 
Lost Ships (Elina Duni / Rob Luft) 
6.ザ・ウェイフェアリングストレンジャー 4:56 
The Wayfaring Stranger (Traditional from USA) 
7.フライング・カイツ 4:48 
Flying Kites (Elina Duni / Rob Luft) 
8.ラックス 5:21 
Lux (Elina Duni / Rob Luft) 
9.クール・ム・デル・ノ・デル 4:06 
Kur Më Del Në Derë (Traditional from Albania) 
10.ナッツ・ザマン 4:26 
N'at Zaman (Traditional from Albania) 
11.エンプティ・ストリート 1:53 
Empty Street (Elina Duni / Rob Luft) 
12.ヒア・アンコール 3:47 
Hier Encore (Charles Aznavour) 


〈パーソネル〉
エリーナ・ドゥニ(voice)
Elina Duni: voice 
ロブ・ルフト(g) 
Rob Luft: guitar 
フレッド・トーマス(p, ds) 
Fred Thomas: piano, drums 
マチュー・ミッシェル(flgh) 
Matthieu Michel: flugelhorn 


2020年2月、ペルヌ・レ・フォンテーヌ、ステュディオ・ラ・ブイソンヌにて録音
Recorded February 2020 
Studios La Buissonne, Pernes-les-Fontaines 
Engineer: Gerard de Haro 
Mastering: Nicolas Baillard 
Cover photo: Jean-Paul Dumas-Grillet 
Liner photos: Sam Harfouche 
Design: Sascha Kleis 
Album produced by Manfred Eicher 

An ECM Production 


◆本CDについて◆

ジュエルケース(黒トレイ)。ブックレット(全32頁)にトラックリスト&クレジット、Elina DuniとRob Luftの連名によるプログラム・ノート(英文)、歌詞(イタリア語で歌われている#1、フランス語の#2、12、アルバニア語の#9、10は英訳併載)、アーティスト写真(モノクロ)11点。日本語ブックレット(二つ折り)にトラックリスト&クレジット、原雅明による解説。

ウィキペディアによると、エリーナ・ドゥニは1981年アルバニア生まれ、10歳の時にスイスに移住。2007年から2023年までに9枚のアルバム(バンドAksham名義の1枚を含む)が出ていて、本作と次作『A Time to Remember』(2023年)に参加のイギリス人ギタリスト、ロブ・ルフトとは私生活でもパートナーで、現在は共にロンドンに住んでいるとのことです。
そのロブ・ルフトのたゆたうさざ波のようなアルペジオ・ギターと、おだやかに語りかけるエリーナ・ドゥニの歌とスキャットが印象的です。プログラム・ノートによると、本作のテーマは現代人であるわれわれの喫緊の課題である難民危機の悲劇と自然破壊による環境変化、そしてわれわれが失ってしまって想像によってしか取り戻すことのできない懐かしい場所(places we've been and loved, places that no longer exist or continue to exist only as a fragment of our imagination)で、最後の曲は愚行によって人生を台無しにしてしまったと嘆くシャルル・アズナヴールシャンソン「帰り来ぬ青春」をアコースティック・ギターの伴奏で歌っていますが、海で生まれたわれわれ生きものが陸にあがってひたすら前向きに進化し続けた結果が戦争と環境破壊、地球は台無しです。「I wanna be a fish, but there's no more fishes in the sea/Lost ships is all I can see/Lost ships, this could be you and me」(魚になりたい、でももう海に魚はいない。見えるのは難破船だけ、それはあなた、そして私)。

★★★★★


Elina Duni & Rob Luft feat. Fred Thomas - Lost Ships


ROB LUFT & ELINA DUNI: Empty Street