『密林のポリフォニー/イトゥリ森ピグミーの音楽』
Congo/Polyphony of the Deep Rain Forest
Music of the Ituri Pygmies
JVC ワールド・サウンズ
太古の記憶、アフリカの音
〈コンゴ/ピグミーのうた〉
CD: ビクター エンタテインメント株式会社
VICG-60334 (2000年)
定価1,995円(税抜価格1,900円)
帯文:
「素晴らしいリズムとハーモニー!
アフリカ大陸最深部、密林の中で呼吸するピグミー族の驚異の歌声。
ふんだんに自然音をとりいれた衝撃の現地録音による決定的名盤!」
JVC ワールド・サウンズ[コンゴ(旧ザイール)]
密林のポリフォニー
イトゥリ森ピグミーの音楽
1.プロローグ マンバサ宿のバラード①②
2.クコンガ・ポイント昼のポリフォニー
ウーウォ、アタリバボー、オベロッチ①②、イズンビ、サーヨ、ナンド、ンダーシ①、オベロッチ③、ンダーシ②、イーマ①②
3.クコンガ・ポイント夜のポリフォニー
イーマ③、バーヨ①②
4.リケンベと声のアラベスク
5.エピローグ リケンベのトリオ
演奏:
マンバサ宿の番頭(#1)
イトゥリ森のピグミー(#2~5)
企画・構成: 山城祥二
録音・解説・写真: 大橋力
制作ディレクター: 藤本草
録音エンジニア: 伊藤俊之
ジャケット・デザイン: 田中一光
ジャケット編集: 由井幸男
1983年8月 ザイール共和国イトゥリ森にて現地録音
Date of recording: August 1983
Place of recording: Mambasa, Ituri
◆本CD解説より◆
「いわゆるピグミー族は、人類学ではムヴティ族といいます。人類の中ではもっとも体型が小柄といわれ成人でも身長が140cm前後です。ピグミーの社会構造は、バンドと呼ばれる10~20人ぐらいの集団が基礎単位です。その単位で森の中を渡り鳥のように移住して生活しています。移動範囲はだいたい決まっていて、食べ物がなくなったり、居住空間がよごれたりすると次の場所へ移動し、あるサイクルでまた同じところへ戻ってくるようです。現在は先にも触れたように、雨期にはそれぞれのバンドごとに特定の農耕民の集落を訪れ、相互に共生的な生活をするのが一般的です。」
「生業形態は、現在でも狩猟採集で、第一次産業である農耕すら行なわず、まったく自然環境に適応して生活をしています。自然が育む植物性の始源を女や子供が採集します。森の中には木の実やきのこが豊富にあり、まるでスーパーマーケットの中に住んでいるようなもので、日常的には採集だけで充分食べていけます。狩猟は男たちの仕事および楽しみです。」
「イトゥリの森は、赤道直下でありながら、かなり標高が高いので、非常に快適です。温度は25℃~30℃、湿度はだいたい70%、まるで高原の避暑地、日本の軽井沢といったところです。(中略)こうしてみると、彼らは実に豊かで文化的レベルの高い人々だということがわかります。そして、何よりもその音楽的才能の高さは驚嘆に値するものです。
このディスクで取り上げたピグミーは、イトゥリ森北東部で、農耕民レッセ族の棲息地帯の近くに棲む「アーチャー」たちで、イトゥリのピグミーの中でも特に純正で原初性の高い人々です。」
「すべての不幸が、森の父の不機嫌さに由来すると考えるピグミーたちは、心を込めて歌を歌い、踊りをおどって森の父をなぐさめます。歌や踊りは、森を聖なるものとしてあがめ、それに適応して生きるピグミーの本質的営みのひとつになっています。
誰かひとりが何気なく出した音に、もうひとりが即座に反応してそれに似合うような声を発します。また誰かがこれに反応し、こうして幾重にも重なった音の集合体が複雑きわまりない大曲に発展していきます。ひとりひとりの音のモザイク状の組み合わせで、精緻な声の網目模様をつくる絶妙なアンサンブルと即興的なパタンの展開は、驚くべきものです。それを無理やり楽譜にしてみると、中世合唱音楽の大家パレストリーナのものに近似し、それ以上に複雑高度なものになっています。」
◆本CDについて&感想◆
ブックレットに日本語および英語解説、写真図版(モノクロ)3点、地図1点。
1986年に「CD エスニック・サウンド・シリーズ 4」(VDP-1100)としてリリースされたものが1990年に「JVC ワールド・サウンド」シリーズで再発(VICG-5015)され、本CDはさらにその再発ですが、国名表記が以前は「ザイール Zaire」だったのが「コンゴ Congo」になっています。
★★★★★
密林のポリフォニー
nekonomorinekotaro.hatenablog.com