幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『バルトーク:ディヴェルティメント、舞踊組曲、他』  ブーレーズ=シカゴ交響楽団 

バルトーク:ディヴェルティメント、舞踊組曲、他』 
ブーレーズシカゴ交響楽団 

Bartók: Divertimento / Dance Suite, etc. 
Chicago Symphony Orchestra / Boulez 


CD: Deutsche Grammophon/ポリドール株式会社 
POCG-1857 (1995年) 
¥3,000(税込)(税抜価格¥2,913) 
Made in Japan 

 


帯文:

「一九九四年度レコード・アカデミー賞受賞の《管弦楽のための協奏曲》につづくブーレーズバルトークブーレーズは、最高のヴィルトゥオーソ・オーケストラともいうべきシカゴ交響楽団を鮮やかにコントロールして楽員の自発性を引き出し、バルトークの音楽の精緻な音の綾を織りなしています。スコアを徹底して読む完全主義に、最近の録音で聴かれる「熱い」ものが加わり、細部まで透明度の高い音楽を生命力ゆたかに聴かせてくれます。」


ベラ・バルトーク 
BÉLA BARTÓK 
(1881-1945) 


舞踊組曲 Sz77 
Tanc-site / Dance Suite 
1.第1の舞曲:Moderato 3:41 
2.第2の舞曲:Allegro molto 2:16 
3.第3の舞曲:Allegro vivace 2:57 
4.第4の舞曲:Molto tranquillo 2:36 
5.第5舞曲:Comodo 1:02 
6.終曲:Finale: Allegro 4:05 


2つの映像 作品10 Sz46 
Két kép / Deux Images op. 10, Sz46 
7.第1楽章:花ざかり 8:41 
Virágzás / En pleine fleur 
Poco adagio 
8.第2楽章:田舎の踊り 9:46 
A falu tánca / Danse campagnarde 
Allegro 


ハンガリーの風景 Sz97 
Magyar képek / Hungarian Sketches Sz97 
9.第1楽章:セークレルとの夕べ 2:47 
Este a székelyeknél / An Evening with the Székely 
Lento rubato - Allegretto 
10.第2楽章:熊踊り 1:29 
Medvetánc / Bear Dance 
Allegro vivace 
11.第3楽章:メロディ 2:21 
Melódia / Melody 
Andante 
12.第4楽章:ほろ酔い加減 2:11 
Kicsit ázottan / Slightly tipsy 
Allegretto rubato 
13.第5楽章:豚飼いの踊り 2:02 
Ürögi kanásztánc / Swinehead's Dance 
Allegro molto 


ディヴェルティメント Sz113 
Divertimento 
弦楽オーケストラのための 
for String Orchestra 
14.第1楽章:Allegro non troppo 9:01 
15.第2楽章:Molto adagio 9:35 
16.第3楽章:Allegro assai 7:35 


シカゴ交響楽団 
Chicago Symphony Orchestra 
指揮:ピエール・ブーレーズ 
Conductor: Pierre Boulez 


Recording: Chicago, Orchestra Hall, 12/1992 (Sz46, 77); 12/1993 (Sz97, 113) 
Executive Producer: Roger Wright 
Recording Producer: Karl-August Naegler 
Tonmeister (Balance Engineers): Rainer Maillard (Sz46, 77); Helmut Burk (Sz97, 113) 
Recording Engineers: Jobst Eberhardt; Jobst Eberhardt/Stephan Flock (Sz97, 113) 
Editing: Klaus Behrens (Sz46, 77, 97); Ingmar Haas (Sz113) 
Cover Illustration: Alfons Holtgreve 
Photo: Charlotte Oswald (Pierre Boulez
Art Direction: Hartmut Pfeiffer 


小石忠男による解説より◆ 

「1923年、ハンガリーの首都ブダペストの50年祭が、はなやかに催された。本来ドナウ河に相対したふたつの都市、ブダとペストが合併し、現在の姿になってから50年というわけである。このときハンガリー政府は、この国を代表する3人の作曲家に祝典コンサートで演奏する曲を委嘱、その結果、ドホナーニの《荘厳な序曲》、コダーイの《ハンガリー詩篇》、そしてバルトークの《舞踊組曲》が作曲された。」
「上記の3曲の初演は、1923年11月19日、ブダペスト合併50年祝典コンサートで行われた。」
「曲は続いて演奏される5つの舞曲と終曲からなる。そのうち第3の舞曲と第4の舞曲はアタッカでつながっているが、それ以外の舞曲の間にはリトルネッロが挿入され、それはあらわれる度に少しずつ変化していく。そして最後の終曲においても再現する。これらの曲は民族舞曲の集成だが、素材はハンガリーの舞曲だけではない。」

「1609年の秋、バルトークはマルタ・ツィーグラーと結婚し、ふたりの間には1910年の夏、長男が誕生した。(中略)同じ年の8月1日、(中略)《2つの映像》を完成したが、初演はかなりおくれて1913年2月25日にブダペストで行われた。この作品は小規模な曲にもかかわらず、多くの楽器を用いており、響きも多彩である。しかし、このふたつの楽章はかなり性格と内容が異なり、とくに両者の融和は考えられていないようである。」

ハンガリーの風景」
「この5楽章からなるハンガリーのスケッチは、1931年の8月、モントゼーの夏期講習会の講師として招かれ、その講義と並行して、初期のピアノ曲管弦楽に編曲する仕事をはじめた時期の作品である。これらの編曲では、原曲にない味わいが生まれている。初演は1934年11月26日にブダペストで行われた。」

「弦楽オーケストラのためのディヴェルティメント」
「このディヴェルティメントは、バルトークの創作活動の最盛期の最後を飾る傑作である。1939年の作品なので、1920年代の実験的な作風はもはや影をひそめ、晩年の作風に近接した洗練性を表している。
 バルトークは1939年の夏を、スイスのグリュイエール山間にあるパウル・ザッハーの山荘で過ごした。このときザッハーは、バルトークに自分が主宰するバーゼル室内管弦楽団のための新作を委嘱し、その結果として、この曲が8月2日から17日の間に一気に作曲された。
 曲はザッハーとバーゼル室内管弦楽団に献呈され、初演はスイスのバーゼルで、1940年6月11日に行われた。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(巻き四つ折り)に小石忠男による解説、トラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)1点。

★★★★★