幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

エッグ  『エッグ』 

エッグ 
『エッグ』 

Egg 


CD:デラムレコード/ポリドール株式会社 
シリーズ:Polydor Popular CD Nice Price Series 
POCD-1843 (1991年) 
税込定価¥2,000(税抜価格¥1,942) 
Made in Japan 

 


帯文: 

「幻のプログレッシヴ・ロック PROGRESSIVE ROCK」
「’73年3月(引用者注:原文のママ)発表。ブリティッシュ・ロック界屈指のキーボード・プレイヤー、
デイヴ・スチュワートを中心とするトリオ、エッグのデビュー作。
ロックとクラシックを融合したユニークなサウンド。」
「解説:デイヴ・スチュワート


エッグ 


1.電光一閃 
BULB (Gallen) 
2.ホワイル・グローイング・マイ・ヘア 
WHILE GROWING MY HAIR 
(Campbell/Stewart/Brooks) 
3.アイ・ウィル・ビー・アブソーブド 
I WILL BE ABSORBED 
(Campbell/Stewart/Brooks) 
4.フーガ 二短調 
FUGUE IN D MINOR 
(Bach/arr. Egg) 
5.僕がピアノを弾こうとしたら、みんなが笑った… 
THEY LAUGHED WHEN I SAT DOWN AT THE PIANO... 
(Campbell/Stewart/Brooks) 
6.臆病者マクギリキュディーの歌 
THE SONG OF McGILLICUDIE THE PUSILLANIMOUS (or DON'T WORRY JAMES, YOUR SOCKS ARE HANGING IN THE COAL CELLER WITH THOMAS) 
(Campbell/Stewart/Brooks) 
7.卵ぐつぐつ 
BOILK 
(Campbell/Stewart/Brooks) 

8.交響曲 第2番: 
SYMPHONY No. 2 
(Campbell/Stewart/Brooks) 
第1楽章 
MOVEMENT 1 
第2楽章 
MOVEMENT 2 
ブレイン 
BLANE 
第4楽章 
MOVEMENT 4 


Personnel: 
Dave Stewart (organ, piano, tone generator) 
Mont Campbell (bass, vocals) 
Clive Brooks (drums) 


「The music on this L.P. is not dancing music, but basically music for listening to. It is harmonically and rhythmically complex, designed to be as original as possible within the confines of the instrumental line-up; so it's pretty demanding on the listener's attention. 
"While growing my hair" exploits some of the rhythmic possibilities of the traditional 6/8, including the properties of syncopation which has made it a stock jazz rhythm. 
"I will be absorbed" has varied moods; the peacefully secure rhythms and harmonies in 9/4 and 7/4 contrast with the heavier, more neurotic 13/8 middle section with its chordal build-ups and anticlimaxes. The subject is the unattainable; the ideal, mysterious music that all true musicians seek. 
"Fugue". Some of the famous "Toccata and Fugue in D minor" (adapted) 
"McGillicudie the Pusillanimous etc." is a fast-moving improvisation song in 5/8 constructed on the chord of F minor. 
Symphony 2. 
Movement 1 is a vehicle for organ improvisation in different rhythms and harmonic bases, one of them the "Hall of the Mountain King" by Grieg, set off by a rhythmic/melodic figure in 9/4. 
Movement 2 is concerned with the treatment of a theme basically in tone generator. Movement 3 is taken from the "Danse des Adolescents" from Stravinsky's "Rite of Spring". The repeated chord effect is used on stage, continuing for several minutes, but this would obviously not have worked on record. The last movement is a framework for drum+bass solo in 7/4 with an atonal theme.」 


Produced by EGG 
Recorded at Landsdowne Studios 
Engineer: Peter Gallen; Asst. Engineer: Les Cunningham 
Recorded at Trident Studios 
Engineer: Roy Thomas Baker 
Tone generator made by Bill La Chenal 
Front cover photograph by David Wedgbury 
Construction by Peter Chapman 
Back cover photography by Rob bennet 

(P) 1970 The Decca Record Company Limited, London 


デイヴ・スチュワートによる解説より◆ 

「僕はシティ・オブ・ロンドン・スクールというパブリック・スクールへ通った。」
「その学校で僕は2人の変わり者に会った。それがスティーヴ・ヒレッジとヒューゴ・マーティン・モンゴメリー・キャンベル(以下モント)で、冴えない風貌で多少反抗的、勉強も駄目だが音楽には興味があるという、僕に似た連中だったわけだ。」
「僕らはクリームやヘンドリックス、ブルース、それにプログレやサイケに夢中だった……僕は特にナイスにね。」
「そして、メロディ・メイカーの広告でドラマーを見つけた(イースト・エンダー・クライヴ・ブルックス)。」
「僕らのバンド、ユリエル(URIEL)は何度かユース・クラブ・タイプのギグを演ったが、68年の夏に大きな挫折を味わうことになる。」
「その夏の終わりになって、スティーヴが大学へ行くためにバンドを抜けたいと言い出した。」
「トリオになったユリエルは、ブルースの曲をすべて捨て、モントの多調性なハーモニーと僕のエマーソン風の軽いクラシックの要素を取り入れた、よりクラシカルなサウンドを発展させていくようになる。(中略)コヴェント・ガーデンにあったサイケデリック・クラブ‟ミドル・アース”で、僕らは2週間ごとにキャプテン・ビーフハート&ラヴ・スカルプチャーのようなグループのサポートを務めた。ミドル・アースのマネージャーをしていたデイヴとポールとかいう連中がエージェント業を始め、僕らのマネージメントをしたいと申し出たのだが、ひとつ条件があった。それはバンド名を変えることだ。‟ユリエル(URIEL)”では奇妙過ぎたし、‟しびん(URINAL)”に響きが似すぎていた!」
「このようないきさつでエッグが生まれた。」
「その頃までには、ストラヴィンスキーホルストなどから多少は盗んだ部分があるにせよ‟オリジナル”をやるようになり、オルガン・トリオであることにも満足してきた。」
「デッカでファースト・アルバム(中略)をレコーディングした頃は、すべて順調だったし、バンドも人気を獲得し始めていた。その後1年ぐらいは上手くいったが、『優雅な軍隊』をレコーディングした後で、デッカはそれをリリースしたくないと告げてきた。」
「最終的にデッカは考えを変えたが、この件はバンドの意気を消沈させ、それと符合するようにギグも減っていった。」
「サード・アルバムを作るのに十分なマテリアルはあったが、契約はなくギグもほとんどなくなった。そして、モントが抜けると言い出した。」
「そしてバンドは解散してしまったんだ。」
「1974年、僕らは『ザ・シヴィル・サーフェイス』のためにエッグ再結成の機会を得て、『優雅な軍隊』以降の作品を手際よく完成させることができた。(中略)僕は大好きな「エニアグラム」をレコーディングできて嬉しかった。この曲は、僕らがオープニング・ナンバーとして使っていた曲だ。」
(First Published in "Ptolemaic Terrascope" in England)


◆本CDについて◆ 

ブックレット(二つ折り)内側にオリジナルLPライナーノーツ再録、裏表紙に写真図版(モノクロ)3点。インレイにトラックリスト&クレジット。投げ込み(巻三つ折りクロス二つ折り)にDAVE STEWARTによる回想文の日本語訳(同時発売の『優雅な軍隊』と共通)、松中康夫による解説(91年9月)、歌詞対訳(落流鳥)。

キース・エマーソン&ザ・ナイスの影響下に、#4ではバッハ、#8ではグリーグをアレンジしたりしていますが、同じフレーズの執拗な繰り返しやトーン・ジェネレイターによるアヴァンギャルドな音響表現などもキース・エマーソンの影響でしょう。その一方で、複雑な楽曲構成や独特の屈折したユーモア感覚は、後のハットフィールド&ザ・ノースへの布石になっています。

★★★★☆ 


The Song Of McGillicudie The Pusillanimous (Or Don't Worry James, Your Socks Are Hanging In The Coal Cellar With Thomas)