『Miracles of Sant'Iago: Music from the Codex Calixtinus』
Anonymous 4
サンティアゴの奇蹟
教皇カリストの写本、聖ヤコブの書による中世のチャントとポリフォニー
アノニマス 4
CD: harmonia mundi France
Series: Production USA
HMU 907156 (1995)
Made in Germany
輸入・発売元:株式会社キングインターナショナル
販売元:キングレコード株式会社
KKCC-353 (1996年)
¥2,800(税込)(税抜価格¥2,718)
帯文:
「アノニマス4が誘ういにしえのスペインの夢」
帯裏文:
「世界的な人気が全く衰えの見えないアノニマス4。5枚目の新譜は中世スペインに伝わる写本を歌った興味深いもの。中世の3大聖地といわれるエルサレム、ローマ、コンポステラのうち北西スペインにある小村コンポステラがこの曲の舞台。12世紀頃の作とされ、ひなびた情感とイスラムに支配されていたスペインのキリスト教徒たちが心のよりどころとしていたもの。アノニマスの透きとおった声が中世の夢を謳いあげています。」
MIRACLES OF SANT'IAGO
Medieval Chant & Polyphony for St. James from the Codex Calixtinus
サンティアゴの奇蹟
教皇カリストの写本、聖ヤコブの書による中世のチャントとポリフォニー
1. Invitatory: Venite omnes cristicole 1:15
来たれ、キリストを信じる者すべて
2. Processional: Salve festa dies 4:37
めでたし、祝祭の日
3. Benedicamus trope: Vox nostra resonet 1:35
われらが声よ高まれ
4. Invitatory: Regem regum dominum 0:50
王中の王なる主を
5. Benedicamus trope: Nostra phalanx plaudat leta 2:23
われら一同、喜び讃えん
6. Antiphon: Ad sepulcrum beati Iacobi 2:10
祝福されたるヤコブの御墓に
7. Benedicamus trope: Ad superni regis decus 3:01
いと高き王の宝なる
8. Brief responsory: Iacobe servorum 2:10
希望にして癒し手なるヤコブ
9. Benedicamus domino 1:50
われら主を祝福せん
10. Conductus: In hac die laudes 4:26
きょうの日、喜びもて讃歌を捧げん
11. Kyrie trope: Cunctipotens genitor 5:13
全能の御父なる神よ
12. Hymn: Psallat chorus celestium 1:07
天上の合唱は詩篇を歌い
13. Prosa: Alleluia: Gratulemur et letemur 6:24
この上もなき喜びもて
14. Offertory: Ascendens Ihesus in montem 3:44
イエズスは山に登り給いつつ
15. Agnus dei trope: Qui pius ac mitis 2:19
慈悲ぶかく優しき神の小羊
16. Benedicamus trope: Gratulantes celebremus festum 2:42
われら喜ばしく祭日を祝わん
17. Conductus: Iacobe sancte tuum 4:58
聖ヤコブよ、ここに再び
18. Responsory: O adiutor omnium seculorum 8:36
おお、とこしえの救い主よ
19. Prosa: Portum in ultimo 2:39
最後の御審きの日に
20. Benedicamus trope: Congaudeant catholici 3:34
教会に集う者らすべてを挙げて
21. Prosa: Clemens servulorum 4:48
御身がしもべらの嘆く声に
TOTAL TIME 71:20
ANONYMOUS 4
アノニマス4
Ruth Cunningham
ルース・カニングハム
Marsha Genensky
マーシャ・ジェネンスキー
Susan Hellauer
スーザン・ヘラウェアー
Johanna Maria Rose
ジョアンナ・ローズ
録音:1995年7月25/28日、9月20/22日/キャンピオン・センター(ボストン)〈デジタル〉
Recording: July 25-28, September 20-22, 1995, Campion Center, Boston, MA
Producer: Robina G. Young
Engineer: Brad Michel
Editing: Paul F. Witt
Cover recto: Detail, showing St. James, of twelfth-century frontal in the Museo Catedralicio, Orense, Spain; photograph by Juan Manuel Moretón Brasa
Cover verso: Fourteenth-century panel painting by anonymous Catalan-Aragonese artist, "Translation of the Body of Sant'Iago"; courtesy of Prado, Madrid, Spain
Three illuminated letters from the Codex Calixtinus reprodued from José López-Calo, S.J., *La música medieval en Galicia* (La Coruña, 1982); photographs by Constantino Martínez
Booklet design: Steven Lindberg
Recorded and produced in the USA
◆スーザン・ヘラウェアーによる解説(訳:濱田滋郎)より◆
「コンポステラは伝説によって、キリスト十二使徒の一人ヤコブ、最も早く殉教者となったいわゆる‟大ヤコブ”の墓所とされる。イスラム教徒の支配下に置かれた中世スペインにおいて、聖ヤコブは、選ばれて天から遣わされた者、キリスト教徒たちによるレコンキスタ(国土回復運動)のシンボルとみなされるようになった。」
「12世紀の末頃から、サンティアゴ・デ・コンポステラの大聖堂には、〈ヤコブの書 Jacobus〉と名づけられた1巻の写本が保存されるようになる。この写本はまた、〈聖ヤコブの書 Liber Sancti Jacobi〉とも、〈教皇カリストの写本 Codex Calixtinus〉とも呼ばれる。5部に分かれたこの写本には、聖ヤコブに関する説教、その祭礼のための聖歌と日課、奇蹟物語と伝説、スペインにおけるシャルルマーニュ王の史話、フランスからスペインにかけての巡礼たちの進路を説明した旅行案内、そして、歌われるべき当時のポリフォニー音楽の‟付録”が添えられている。(中略)これは疑いなくフランスに起源をもつもので、おそらく1150年前後、(中略)クリュニで書かれた、あるいは編纂されたものと思われる。」
「〈ヤコブの書〉に含まれる楽曲の約90%は、聖ヤコブの祭日(6月25日)およびその前夜、そしてその遺体がパレスティナからガリシアに移された記念日(12月30日)のための単旋聖歌である。」
「〈ヤコブの書〉に含まれる楽曲中、ほんの10%に過ぎなくとも、ポリフォニックな作品――2声のもの19曲、3声のもの1曲――は、単旋律のそれらに比べて、より多くの関心を研究者たちから寄せられてきた。なぜなら、それらは、書き残されたポリフォニー歌曲の最古の例に属しているからである。」
「〈ヤコブの書〉の記譜法は、リズムおよび拍子に関しては、あいまいである。(中略)私たちはここで、既成のどのような理論にも頼ることなく、自分たちの考えにしたがってリズムの面を扱うことにした。つまり、各曲の旋律的、和声的、あるいは記譜上の特色にもとづくのみならず、テクストの性格や詩の構造自体をも考慮に入れてリズムを定めたのである。当時の器楽様式をまねて、私たちは時に、声によるドローン(音高が変らずに持続する低音)を加えた。」
◆本CDについて◆
輸入盤国内仕様。スリップケース。二つ折りブックレット内側にトラックリスト、裏表紙にCDリスト(カラー図版4点)。別冊ブックレット(全68頁)にトラックリスト&クレジット、Susan Hellauerによる解説(英語原文と仏・独訳)、歌詞(原文と英・仏・独訳)、演奏者紹介(英・仏・独文)、カラー図版3点、モノクロ図版1点、裏表紙にカラー図版1点。別冊解説書(全16頁)に邦文トラックリスト&クレジット、スーザン・ヘラウェアーによる解説(訳:濱田滋郎)、「訳者補記」(濱田滋郎)、訳詞(濱田滋郎)。
アメリカの中世音楽グループ「アノニマス4」の第5作。女声アカペラによる「カリストゥス(カリクストゥス、カリスト)写本」レコーディングは珍しいと思います。
★★★★★
Benedicamus trope: Congaudeant catholici