幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

John Renbourn & Wizz Jones  『Joint Control』

John Renbourn & Wizz Jones 
『Joint Control』 

ジョン・レンボーン&ウィズ・ジョーンズ 
ジョイント・コントロール 


CD: Riverboat Records / World Music Network 
TUGCD1095 (2016) 
Made in the EU 

発売:ライス・レコード 
販売:(有)オフィス・サンビーニャ 
RICE WNR-5415 (2016年) 
定価:2,500円+税 

 


帯文:
「UKフォーク・ギターの名匠ジョン・レンボーンが
晩年に盟友のウィズ・ジョーンズと取り組んだデュオ・レコーディングス」


帯裏文:

「2015年3月に亡くなったブリティッシュ・フォークを代表する名ギタリスト、ジョン・レンボーン。その追悼作としてリリースされた『ジ・アティック・テープス』(WNR-7083)に続き、彼が晩年に残した未発表録音がついに日の目を見ることとなった。ジョンの盟友であるギタリストのウィズ・ジョーンズと共に全編アクースティック・ギター・デュオで聴かせる本作は、スタジオ音源を中心に、ライヴ音源も交えた構成。ビッグ・ビル・ブルーンジーボブ・ディラン、ジョセフ・スペンス、ジャクスン・C・フランクらのカヴァーのほか、かつてペンタングルで活動を共にしたバート・ヤンシュのカヴァーも収録。ブリティッシュ・フォーク・ファンにとって最高の時間がここに凝縮されている。」


1. Hey Hey (William Broonzy)  2:59 
ヘイ・ヘイ 
2. Buckets Of Rain (Bob Dylan)  4:19 
雨のバケツ 
3. Glory Of Love (Billy Hill)  2:40 
グローリー・オヴ・ラヴ 
4. Getting There (Mose Allison)  3:17 
ゲッティング・ゼア 
5. National Seven (Alan Tunbridge) 4:03 
ナショナル・セヴン 
6. Mountain Rain (Archie Fisher)  4:40 
山の雨 
7. Great Dream From Heaven (Joseph Spence)  6:12 
天からの大きな夢 
8. Strolling Down The Highway (Bert Jansch)  4:53 
トローリング・ダウン・ザ・ハイウェイ 
9. In Stormy Weather (Al Jones)  3:00 
悪天候の中で 
10. Balham Moon (Wizz Jones)  3:11 
バラムの月 
11. Blues Run The Game (Jackson Carey Frank)  3:28 
ブルース・ラン・ザ・ゲーム 
12. Fresh As A Sweet Sunday Morning (Bert Jansch)  4:22 
フレッシュ・アズ・ア・スウィート・サンデー・モーニング 
13. Joint Control (Bert Jansch)  5:48 
ジョイント・コントロール 

Total Playing Time:  53:42 


Musicians: 
John Renbourn: vocals & acoustic guitar 
Wizz Jones: vocals & acoustic guitar 

Recorded, mixed and mastered by Colin Hood

Sleeve notes by Pete Pahides 

Front cover photography courtesy of Colin Riddle 

Other photographs courtesy of Roger M. Kinsey, Simeon Jones, Rex Features, Alan Marshall, John Chandler and David Kilpatrick 

Designed by Brad Haynes 
Coordinated by Neil Record and Brad Haynes 


「Recorded shortly before John Renbourn's death in March 2015, this landmark album brings together two of the most important and influential acoustic guitarists of our era. Great friends for over 50 years and regular playing partners for the last two years of John's life, their musical respect and musical understanding shines through these historic recordings.」


◆本CDについて◆

輸入盤国内仕様。紙製ジャケット(E式見開き/12.6×14m)。中ジャケにトラックリスト&クレジット、Wizz Jonesによるコメント、写真図版(モノクロ)3点、裏ジャケにトラックリスト&紹介文、写真図版(モノクロ)1点。ブックレット(全8頁)にPete Paphidesによるライナーノーツ(May 2016)、裏表紙に写真図版(モノクロ)1点、表紙はジャケ表と同じ。投げ込み(巻き三つ折りクロス二つ折り/片面印刷)にトラックリスト、松山晋也による解説「二人の固い友情を物語っている初のデュオ・アルバム」(2016年9月15日)。

晩年のジョン・レンボーン(1944~2015)がデビュー前からのギター友達ウィズ・ジョーンズ(1939~)と企画したデュオ作のためのスタジオ音源(2015年)に、ライヴ音源を追加収録した没後リリース盤。
2011年のレンボーン生前最後のアルバム『Palermo Snow』は、レンボーンの音楽家としてのキャリアの終着点といってよい芸術的香気溢れる作品集でしたが、実質的な最終作となった本作はギタリストとしての原点に戻ったかのような、くつろいだフォーク・ブルース・セッションになっています。
詳細なクレジットがないので音から判断すると、#1、#8~13がスタジオ録音、他はライヴ録音で、ウィズはノーマルなアコースティック・ギター、ジョンはアコギにピックアップを装着してエレキふうの音を出しています。#1、10、13はインストで、#3、5、6、8、9、11、12はウィズがヴォーカル、#2、4、7はジョンがヴォーカルで、#4、7はジョンのソロです。
#1「Hey Hey」はビッグ・ビル・ブルーンジー作で、ウィズのレパートリー。#2「Buckets of Rain」はボブ・ディラン作、ジョンは日本録音盤『So Early in the Spring』(1980年)でカバーしていました。 #3「Glory Of Love」はビリー・ヒル作、ビッグ・ビル・ブルーンジーのヴァージョンに基づくウィズのレパートリー。#4「Getting There」はモーズ・アリソン作。#5「National Seven」はウィズの友人アラン・ターンブリッジ作で、ウィズのレパートリー、ピート・スタンリーとのデュオ作『Sixteen Tons of Bluegrass』(1966年)収録。ジョンの1stにも「レンボーン作」として同名曲(歌詞はほぼ同じでメロディ違い)が収録されています。ちなみに幻のフォーク・バンド「フォーカル・ポイント」の唯一作(1971年)には全く同じ曲がFolkal Point作として収録されています。#6「Mountain Rain」はアーチー・フィッシャー作で『Orfeo』(1970年)収録曲。ウィズは『Lucky the Man』(2001年)でカバーしています。#7「Great Dream From Heaven」はジョンのレパートリーで、ジョセフ・スペンス作ですが、当初はデイヴィ・グレアムの演奏によって知られていたとのことです。ライ・クーダーによる『Into the Purple Valley』(1972年)収録バージョンが有名です。ジョンのバージョンは『So Early in the Spring』収録。本CDでは『Live in Italy』(1998年)収録バージョン同様、曲中にステファン・グロスマンとのデュオ作『The Three Kingdoms』(1987年)で取り上げられていた、セロニアス・モンクの『Monk's Music』(1957年)でもおなじみの讃美歌「日暮れて四方は暗く(Abide with Me)」が挿入されています。#8「Strolling Down The Highway」はバート・ヤンシュ作、『Bert Jansch』(1965年)収録曲。#9「In Stormy Weather」はアル・ジョーンズ作、『Joneswille』(1972年)収録曲で、ウィズは『Lucky the Man』でカバーしています。#10「Balham Moon」はウィズ作のインスト、#11「Blues Run The Game」はジャクソン・C・フランク作、バート・ヤンシュのレパートリーで、ジョンは『So Early in the Spring』で、ウィズは『Lucky the Man』でカバー。#12「Fresh As A Sweet Sunday Morning」はバート・ヤンシュ作、『L.A. Turnaround』(1974年)収録曲。#13「Joint Control」はバート・ヤンシュ作、『Young Man Blues (Live in Glasgow 1962-1964)』に収録。
そういうわけで、ジョン・レンボーン追悼盤となった本作は、ジョンが先輩であるウィズ・ジョーンズに花を持たせる形で(#10はジョンの要望でウィズが書き下ろした曲です)、2011年に逝去したバート・ヤンシュへの追悼盤として企画されたのかもしれないです。ジョンはウィズとのデュオについて「There's no hassle, there's no ego, we just have fun together.(争いもエゴのぶつかりあいもなしに、ただ一緒に楽しんでいる)」と語っています。
なお、本作はLP2枚組でもリリースされていて(未聴)、そちらには各サイドにボーナス・トラックとして「Cocaine」「Bad Influence」「Love Has No Pride」「The Lazy Farmer (The Young Man Who Wouldn't Hoe Corn)」の4曲が追加収録されているようです。

★★★★★ 


Balham Moon


John Renbourn & Wizz Jones Full Gig at Ullapool Guitar Festival