幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

John Renbourn  『The Lady and the Unicorn』 

John Renbourn 
『The Lady and the Unicorn』 


CD: Castle Music / Sanctuary Records Group Ltd. 
CMRCD625 (2003) 
Made in the EU  

 

 

1. MEDLEY 
a) TROTTO (Anon, Arr. Renbourn) 
b) SALTARELLO (Trad, Arr. Renbourn) 

2. MEDLEY 
a) LAMENTO DI TRISTAN (Anon, Arr. Renbourn) 
b) LA ROTTA (Anon, Arr. Renbourn) 

3. MEDLEY 
a) VERI FLORIS (Anon, Arr. Renbourn) 
b) TRIPLE BALLADE (Machaut, Arr. Renbourn) 

4. MEDLEY 
a) BRANSLE GAY (Gervaise, Arr. Renbourn) 
b) BRANSLE DE BOURGOGNE (Gervaise, Arr. Renbourn) 

5. MEDLEY 
a) ALMAN (Anon, Arr. Renbourn) 
b) MELANCHOLY GALLIARD (Dowland, Arr. Renbourn) 

6. SARABANDE (Bach) 

7. THE LADY AND THE UNICORN (Renbourn) 

8. MEDLEY 
a) MY JOHNNY WAS A SHOEMAKER (Trad, Arr. Renbourn) 
b) WESTRON WYNDE (Trad, Arr. Renbourn) 
c) SCARBOROUGH FAIR (Trad, Arr. Renbourn) 

BONUS TRACKS

9. MY JOHNNY WAS A SHOEMAKER (VOCAL) 
(Trad, Arr. Renbourn, McShee, Roberts, Draheim, Sathe) 

PENTANGLE 
10. THREE DANCES (MEDLEY) 
a) BRENTZEL GAY (Gervaise, Arr. Renbourn, Cox) 
b) LA ROTTA (Trad, Arr. Renbourn, Cox) 
c) THE EARLE OF SALILSBURY (Byrd, Arr. Renbourn, Cox) 


John Renbourn - guitars, sitar 
Terry Cox - hand-drums, glockenspiel 
Don Harper - viola 
Len Nicholson - concertina 
Tony Roberts, Ray Warleigh - flutes 
Dave Swarbrick - violin 


Produced by Bill Leader 
Recorded at Livingstone Studios - Barnet 


◆本CDについて◆ 

透明ジュエルケース。インレイにトラックリスト&クレジット、ブックレット(全12頁)にColin Harperによる解説、トラックリスト、アーティスト写真図版(モノクロ)5点、LPレーベル図版(モノクロ)2点、「Also available...」(CDリスト/カラー図版12点)。

ペンタングル在籍時にリリースされたジョン・レンボーンのソロ第4作『ザ・レディ・アンド・ザ・ユニコーン』(一角獣と貴婦人)。LPだとSide 1(#1~6)が古楽曲(中世~バロック音楽)、Side 2(#7、8)が自作インスト&トラディショナル・フォーク曲(伝承民謡)です。

#1はアコースティック・ギター独奏、#2aはアコギ(左)とシタール(右)にテリー・コックスのハンド・ドラム、#2bはアコギとグロッケンシュピール、#3はアコギとヴァイオリン(デイヴ・スウォーブリック)、フルート(レイ・ウォーレイ)、#4aはアコギ独奏、#4bはアコギ(左)とセミアコ(右)にヴァイオリン、フルート(ウォーレイ)、#5はアコギとコンサーティーナ、#6はセミアコ(左)+アコギ(右)、#7はアコギ独奏、#8aはアコギとヴィオラ(ドン・ハーパー)、フルート(トニー・ロバーツ)、#8bはアコギ多重録音、#8cはアコギ(多重録音)にヴィオラ、フルート(ロバーツ)。

ボーナス・トラックは未発表曲ではなく、#9はジョン・レンボーン・グループの1st『A Maid in Bedlam』(1977年)、#10はペンタングルの2nd『Sweet Child』(1968年)収録ヴァージョンをそのまま取って来たものですが、それらを参考資料として鑑みると、本作はペンタングルからジョン・レンボーン・グループへの移行過程における自己確認作業であったといえそうです。

ペンタングルも後のジョン・レンボーン・グループも、フォーク、ブルース、ジャズ、エスニックそして古楽といった多様な要素が混然一体化していますが、両者ともトラディショナル・フォークをメインに据えつつも、ペンタングルではブルース&ジャズ的要素が顕著で、ジョン・レンボーン・グループでは古楽エスニック的要素が顕著です。
ブルースと古楽(中世ヨーロッパの世俗&宗教音楽)というと相容れないようですが、どちらもテーマは報われない愛であり、憂鬱(ブルース/メランコリー)であり、「Lord, have marcy」「キリエ・エレイソン」(主よ憐みたまえ)なのでそれほど違わないです。「メランコリー・ガリアルド」の作曲家ジョン・ダウランドはエリザベス朝のブルース・マンであるといってもよいです。

★★★★★ 


My Johnny Was a Shoemaker / Westron Wynde / Scarborough Fair (Medley)