幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

John Renbourn  『Palermo Snow』 

John Renbourn 
『Palermo Snow』 


CD: Shanachie Entertainment Corp. 
78065 (2011) 

 

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1. Palermo Snow  7:18 
2. Dery Miss Crsk  5:27 
3. Bella Terra  5:46 
4. Cirque d'Hiver  3:02 
5. Ugly James  3:38 
6. Sarabande  4:36 
7. Cello Prelude in G  2:44 
8. Weebles Wobble (but they won't fall down)  4:30 
9. Little Niles  6:58 
10. Blueberry Hill  2:49 

Total running time  46:48 


John Renborun: Guitar 
Dick Lee: Clarinet on tracks 1. 5. 9. Bass clarinet on track 9 
All guitar tracks except *Blueberry Hill* recorded by Nick Turner at Watercolour Studios, Scottish Highlands 
*Blueberry Hill* and clarinet parts recorded by Colin Hood at Glencourse Studios, Scottish Borders 

Tracks 1. 2. 3. 4. 5. 8: Composer: John Renbourn 
Track 6: Composer: Erik Satie, arranged by John Renbourn 
Track 7: Composer: J.S.Bach, arranged by John Renbourn 
Track 9: Composer: Randy Weston 
Track 10: Composer: Al Lewis, Vincent Rose, Larry Stock 

Cover: Valerius de Saedeleer 
Paysage d'hiver 
oil on canvas, 126 x 131 cm 
Signed lower left and dated 1931, photographed by Ian Davies. 

Guitars: Franklin OM by Nick Kukich, 1982; Bown OM by Ralph Bown, 1985 
Produced by John Renbourn 


◆本CDについて◆ 

デジパック仕様。デジパック内側(透明トレイ部分も含む)にジョン・レンボーンによるライナーノーツと楽曲コメント、クレジット。裏面にトラックリストと写真図版(カラー)1点。

ベルギーの画家ヴァレリウス・デ・サーデレールによる雪景色の日没をあしらったジャケが印象的な本作『パレルモの雪』(2011年)は、元ペンタングルのギタリスト、ジョン・レンボーン(1944~2015)のソロ最終作です。フォーク、ブルース、ジャズ、クラシック、古楽といったジャンルを越境した果てに辿り着いた、たいへん穏やかで「ロマンチック」な音楽になっています。

#1「Palermo Snow」は、珍しく降雪があったばかりのシチリア島の都市パレルモを訪れた時に目にした、人々が雪に見とれて夢遊病者のように彷徨している姿に感銘を受けて作られた曲。前作『Traveller's Prayer』にも参加していたディック・リークラリネットを多重録音しています。チューニングはDADGB♭E。
#2「Dery Miss Grsk」はシューベルト愛好家のさるご婦人に捧げた曲。チューニングはDAEGAD。
#3「Bella Terra」もシチリア旅行から生まれた曲で、80年代から交友があるギタリスト、レーノ・ブランドーニ Reno Brandoni とメッシーナ海峡を越えた時、故郷の島影を前にしたレーノが繰り返し呼び掛けていた言葉「Bella Terra - Bella Terra」(うるわしの地よ)に由来しています。チューニングはEADGBE。
#4「Cirque d'Hiver」はパリの「冬のサーカス」(Cirque d'Hiver)での「ギターの宵」(La Nuit de la Guitare」に出演したときの楽屋のようす――ミュージシャンたちがサーカスの動物の檻に詰め込まれていた――の思い出から名づけられた曲。チューニングはEADGBE。
#5「Ugly James」は、ジェリー・ロール・モートンが蛙のコスチュームで踊るダンサーを伴奏する「Frog-I-More Rag」が基になった曲。クラリネット(多重録音)はディック・リー。続く#6「Sarabande」の作曲家エリック・サティラグタイムからも影響を受けています。一人二重奏ギターのチューニングはEADGBE。
#7「Cello Prelude in G」はバッハの無伴奏チェロ組曲より。チューニングはCGDGAD。
#8の「Weebles Wobble (but they won't fall down)」はアメリカの「おきあがりこぼし」Weeblesのキャッチフレーズ。CGDGAD。
#9「Little Niles」はアメリカのジャズ・ピアニスト、ランディ・ウェストン作。ジョンはダラー・ブランド(アブドゥーラ・イブラヒム)の録音でこの曲を知り、度々ライヴで演奏しています。クラリネット&バス・クラリネット(多重録音)はディック・リー。EADGBE。
#10「Blueberry Hill」の作曲者ヴィンセント・ローズは生まれ故郷のパレルモを離れてカリフォルニアに渡って、エバーグリーン(常緑)な名曲の数々を残し、雪(不遇、逼塞)とは無縁な生涯を終えました。DGDGBD。

★★★★★ 


Palermo Snow