阿部薫・吉沢元治 デュオ '75
Abe-Yoshizawa Duo '75
『北 〈NORD〉』
CD: ALM Records/コジマ録音
URCD-5 (1995年)
税込定価¥2,500/税抜価格¥2,427
帯文:
「アルバム「なしくずしの死」・別テイク盤完了。」
「録音・
サイドA 一九七五年十月十六日入間市民会館
サイドB 一九七五年十月十八日青山タワーホール
コンサート「なしくずしの死」よりライヴ録音」
北 〈NORD〉 Abe ● Yoshizawa Duo '75
Duo Improvisation No. 1 (alto sax and bass) 11:20
Duo Improvisation No. 2 (alto sax and cello) 12:54
Recorded on Oct 14, 1975 at Iruma Shimin Kaikan
Duo Improvisation No. 3 (alto sax and bass) 29:41
Recorded on Oct 18, 1975 at Aoyama Tower Hall
from Concert "MORT À CRÉDIT"
Kaoru ABE (alto saxophone)
Motoharu YOSHIZAWA (bass, cello)
Produced and Recorded by Yukio KOJIMA
Concert Produced by Aquirax AIDA
Photo by Aquirax AIDA, Tatsuo INAGAO
Cover Art by Akio SUZUKI
◆清水俊彦「「NORD」についてのノート」より◆
「1975年には、日本でも注目すべき一つの動きが起った。すなわち、類まれな批評家/オルガナイザーであった今は亡き間章が、日本のフリー・ミュージックに新たな地平を切り開くべく活動を再開したことである。〈再開〉といったのは、すでに1970年に彼が〈日本リアル・ジャズ集団〉を結成し、力の再編成にのり出していたからだ。そしてその年、彼は、(中略)アルト奏者の阿部薫とはじめて出会い、この阿部と、(中略)高柳昌行とのデュオ・インプロビゼーションから成り、それに自らのアジテーションを加えた「解体的交感」という画期的なコンサートを開いたのだ。
それから5年後の1975年6月、間章はかねてからの念願の実現に着手した。すなわち、いずれもジャズの最も周辺的な位置に身を置きながら、それぞれの仕方でインプロビゼーションをラディカルに追求している外国のミュージシャンたち(スティーブ・レイシー、ミルフォード・グレイブス、デレク・ベイリーなど)を独力で日本に招き、自主コンサートを行うだけでなく、日本の創造的なミュージシャンたちとの交流の場をも広げようという主旨の運動の幕明けとして、まずスティーブ・レイシーを招き、日本のジャズ・シーンに強烈な衝撃を与えた。つづいて同じ年の夏、彼はそれまでほとんど消息の絶えていた阿部と5年ぶりに出会い、「解体的交感」以後はじめての彼のコンサートを主催することになった。青山タワー・ホールでの「なしくずしの死」というあの鮮烈なソロ・コンサートであり、また、それに先立って入間市民会館でもリハーサルを兼ねたレコーディング・セッションが行われた。この二つの企ての中から阿部のソロだけを集めたレコードが出た。「なしくずしの死」という同名のタイトルをもったアルバム(ALM AL8~9/コジマ録音)である。阿部のソロだけといったのは、ほかでもない、実はいずれの企てにおいても、阿部にふさわしい最も探究的なベース奏者吉沢元治がゲストとして参加し、デュオも行われたからだが、それだけを集めてレコード化したのがこのアルバム「NORD」であり、タイトルは、入間市民会館でのセッションの折に、間、阿部、吉沢の3人の合意ですでに決められていたという。これらのタイトルはどれもセリーヌの小説の題名からとったものであるが、彼らがなぜこれほどセリーヌにこだわっていたかは、ピエール・シーズの次の言葉がその間の事情の一端を明らかにしてくれるだろう。彼はセリーヌの作品についてこう述べている。
「この驚くべき嘆声、この底知れぬ呻き、抑え難く響きわたり、頁を追ってますます高鳴りゆくこの絶望の叫び、これこそ今まさに人類が発している赤裸々な叫びそのものである」と。」
◆本CDについて◆
紙ジャケ(厚紙・シングルジャケ)仕様。投げ込み(LPインサート復刻)に清水俊彦「「NORD」についてのノート」、村上護「阿部薫・熱い季節の死」。
オリジナルLPは1981年にALM-Uranoia UR-5としてリリースされています。
★★★★☆
Nord (Full Album)
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