幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

タージ・マハル旅行団  『August 1974』

タージ・マハル旅行団 
『August 1974』 
Taj Mahal Travellers 
August 1974 


CD: P-Vine Records
制作・製造: 日本コロムビア株式会社 
企画・販売: (株)ブルース・インターアクションズ 
シリーズ: The Other Side of Japanese 70s カルト&プログレ・コレクション 
PCD-1463/4 (1998年) [2枚組] 
¥3,600(税抜価格) 

 

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帯文: 

「天衣無縫の演奏スタイルと、ロック、ジャズ、現代音楽を融合した分類不能な孤高の音楽性で世界的な独自の存在となった伝説のグループ。小杉武久在籍の“タージ・マハル旅行団”幻の2枚組アルバムが遂に復刻! 裏表なしのユニークなジャケットをそのまま見開き紙ジャケットに。」


DISC. 1 
1.Ⅰ 19:48 
2.Ⅱ 21:27 

DISC. 2 
3.Ⅲ 23:27 
4.Ⅳ 23:27 

[原盤: コロムビア OP-7147~8-N] 


タージ・マハル旅行団 
小杉武久 
エレクトリック・ヴァイオリン、ハーモニカ、声ほか 
小池龍 
エレクトリック・ベース、サントゥールほか 
土屋幸雄 
バス・チューバ、パーカッション他 
永井清治 
トランペット、ティンパニー、ミニ・コルグほか 
村道弘 
声、パーカッションほか 
長谷川時夫 
声、パーカッション他 
林勤嗣 
エレクトロニクス技術 


TAJ MAHAL TRAVELLERS 
Takehisa KOSUGI, electric violin, harmonica, voice, etc. 
Ryo KOIKE, electric double bass, suntool, voice, etc. 
Yukio TSUCHIYA, bass tuba, percussion, etc. 
Seiji NAGAI, trumpet, synthesizer, mini korg, timpani, etc. 
Michihiro KIMURA, voice, percussion, mandoline, etc. 
Tokio HASEGAWA, voice, percussion, etc. 
Kinji HAYASHI, electronic technique 
Guest performer: Hirokazu SATO, percussion, voice, etc. 
Date Recorded: August 19, 1974 
Location: at Nippon Columbia Studio No.1 TOKYO 
Produced by Yoshiharu KAWAGUCHI 
Engineering: Kaoru IIDA 
Album design: Michiro KIMURA 


◆本CD解説(湯浅学)より◆ 

「「お客なしで演奏したり、アジアのハイウェイで羊飼いに出会うとぼくらも笛吹いて演奏したりしました。それがとってもいいんですよ。ぼくらの音楽は、偶然のように具体的な旅になってしまっていますけれども、現在でも自分自身が音楽の〈旅〉を愉しんでますよ。楽しいわけですよ。観客にひとつのメッセージを伝えるといった慣習的なあり方、あるいは演奏が活動のひとつのジャンルみたいになっているような活動のし方、そんなやり方は、ぼくたちはとらない。結局は音を出したいという、自分の欲望、そういうところにだけ、ぼくらの音楽は立脚しているんですよ。
 ピット・インでやり出して以来、メンバーの七人がいつも集まるとはかぎらなかった。三人でやるときもあれば、二人のときもある。あるときは友達が参加することもあった。つまり集団の運び方そのものが、ふつうのロック・グループとかいうものと異質なんですよ。自分の欲望に根差している。だから、ビールを飲みながら演奏したり、七人もいれば演奏の最中にひとりぐらいサボったり、眠くなれば寝てしまう。トイレに行きたくなれば演奏中でも抜けだしていくしね」(小杉武久・談『美術手帖』73年6月号より)
 タージ・マハル旅行団は、1968年に小杉武久(電気ヴァイオリン)と小池龍(ベース)が合奏したのがはじまりだという。そこに土屋幸雄(インドの古典楽器シャーナイ)、木村道弘(ベース・クラリネット)が加わり、さらに永井清治(トランペット、スペリオ・パイプ)、長谷川時夫(ヴォイス)、林勤嗣(電子技術)が参加し1969年、正式にタージ・マハル旅行団が結成された。
 結成されたといっても、最初からなんらかの計画を持っていたわけではない。最初はピット・インなどのジャズ系の店に出演し、立ってフリー・ジャズ的演奏を繰りひろげていたが、やがて床に座して自分たちの発する音に向かい合って「おぼろげな旋律のこだまをまさぐるスタイル」(高橋悠治『ことばをもって音をたちきれ』晶文社刊より)に変化していった。
 1970年春には、大磯海岸の砂浜に300メートルの電線を架設して、日の出前から何時間も演奏する冬のピクニック・コンサートをひらいた。71年7月に渡欧し、72年4月に中古のフォルクスワーゲンのミニ・バスを14万円で購入、各国各地で演奏しながら全員でそれに乗ってロッテルダム、イタリア、パキスタン、トルコ、イラン、アフガニスタンからインドのタージ・マハール寺院へと到着した。72年7月に一時帰国したが再び渡欧、イギリス、フランス等で演奏を繰りひろげた。」

「「小池龍:ぼくら七人は、みんなで集まって何かやって、つまり演奏やって、ピクニックにいくことが楽しいからそうしているだけですよ。
――聴く側はどうなるの? 
小池龍:あくまでも一緒にね、そうでなくちゃ意味ありませんよ。だからぼくらは演奏時間なんかも、できるだけ、自由にかってにやってるわけです。わざわざ時間をきめないでね。聴く人も好きな時間に聴いてくれればそれでいいしね。
――演奏きいてるとねむたくなりますね。
小池龍:そうでしょ。ねむっちゃってくれればそれでいいんです。ぼくなんかも時々演奏しながらそうすることあるしね。
(『ライトミュージック』71年4月号より)

 タージ・マハル旅行団は永久に続く、と小杉武久は思っていたという。」


◆本CDについて◆ 

紙ジャケ(厚紙・見開き)仕様。投げ込みライナーにトラックリスト&クレジット、解説「タージ・マハル旅行団は永遠に続く」(湯浅学)、「小杉武久という人の音」(田口史人)、「タージ・マハル旅行団」(高橋悠治)/「TAJ MAHAL TRAVELERS」(Yuji Takahashi)、「TAJI MAHAL TEAVELERS - BIOGRAPHY」、写真図版(モノクロ)2点。

スタジオ録音ゆえ音がはっきりしていてききやすいです。内容もしっとりしていてたいへんよいです。

★★★★★ 


August 1974 ( Side A EXCERPT)

youtu.be

August 1974 (Side D EXCERPT)

youtu.be

 

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