Maddy Prior
『Woman In The Wings』
CD: BGO Records
BGOCD215 (1994)
Made in England
1. Woman In The Wings (Prior)
2. Cold Flame (Prior)
3. Mother And Child (Prior)
4. Gutter Geese (Prior)
5. Rollercoaster (Prior)
6. Deep Water (Prior)
7. Long Shadows (Prior)
8. I Told You So (Prior)
9. Rosettes (Prior)
10. Catseyes (Prior)
11. Baggy Pants (Prior
GUITAR: Andy Roberts on Woman in the Wings, Cold Flame, Gutter Geese, Supper Song, Long Shadows, Rosettes, Cateyes, Baggy Pants
DRUMS: Barriemore Barlow on Woman in the Wings, Cold Flame, Gutter Geese, Long Shadows, I Told You So, Rosettes, Catseyes
BASS: John Glascock on Woman in the Wings, Long Shadows, Rosettes, Catseyes
KEYBOARDS: David Palmer on Woman in the Wings, Mother and Child
BASS: David Olney on Cold Flame, Gutter Geese, Supper Song, I Told You So, Baggy Pants
GUITAR SOLO: Martin Barre on Cold Flame
PIANO: Barry Booth on Cold Flame, Baggy Pants
FLUTE: Ian Anderson on Gutter Geese
DRUMS: John Halsey on Gutter Geese, Supper Song, Baggy Pants
GUITAR: Bob Gill on I Told You So
BACKING VOCALS: Shona Anderson, Cherry Gilespie on Catseyes
Arrangements by David Palmer
Leader of Strings: Patrick Halling
Leader of Brass: Don Morgan
Produced by Ian Anderson, David Palmer and Robin Black for Salamander and Son Music Ltd
Engineered by Robin Black at Maison Rouge
Tape Operator: Leigh Mantle
Remastered at Sound Recording Technology, Cambridge 1994
◆本CDについて◆
ブックレット(全12頁)にJohn Toblerによる解説(1993年/BGOのマディ関連CD共通解説)、歌詞、クレジット。
スティーライ・スパンのマディ・プライアのソロ・デビュー作『ウーマン・イン・ザ・ウィングス』。
LPは1978年に英Chrysalisよりリリースされました。
当時、同じレーベルに所属していたジェスロ・タル(イアン・アンダーソン[fl #4]、マーティン・バーレ[g #2]、デイヴィッド・パーマー[kb #1,3]、ジョン・グラスコック[b #1,7,9,10]、バリモア・バーロウ[ds #1,2,4,7-10])が全面的にバックアップしているのみならず、イアン・アンダーソンの奥さんもバッキング・ヴォーカルで参加(#10)しています。イアン・アンダーソンはスティーライの1974年の名作『Now We Are Six』で「プロダクション・コンサルタント」として一枚かんでいて、タルの1976年作『Too Old to Rock 'n' Roll: Too Young to Die!』にはマディがバックコーラスで一曲参加していました。
さらにストリングス&ブラスも加えて、#1などはルネッサンス(アニー・ハズラム)かと思うようなクラシカルでドラマチックな盛りあがりを見せています。
#2は短めの曲ですが凝った構成になっていて、後半ではバリモア・バーロウがメタル・ギター・ソロを披露しています。
#3はトラディショナル・バラッド「ロード・ランダル」の母子問答の形式を借りた曲で、1990年のリック・ケンプとのアルバム『Happy Families』でも再演されています。
#4ではイアン・アンダーソンが特徴的なフルート・ソロを披露していますが、スティーライの曲にタルの曲をコラージュしたような印象です。
#5も短めの曲ながら凝った構成になっています。サビがキャッチーです。
#6はストリングス伴奏のしんみりした曲。
#7は本作では#3、#6とともに最もトラッドフォーク色の濃い曲で、1993年の『Year』でも再演されています。
#8、#11はオールドタイムなヴォードヴィル/ミュージックホールっぽい曲で、これはこれでよいです。
#9、#10はコミカル&ノスタルジックな独特の味わいを持った曲で、これもこれでよいです。
本作は全曲マディの自作曲から成っており、曲調もヴァラエティに富んでいて、やりたいことをやり尽くした感じですが、しかしマディ自身がやりたかったこととファンがマディに求めていたものとの間にはかなりのギャップがあったのではないでしょうか。このあとマディは同年中にChrysalisからセカンド『Changing Winds』(シンセ・ドラムが導入されています)、夫リック・ケンプとのチームで『Hooked on Winning』(1982年)、『Going for Glory』(1983年)とソロ活動を続けていますが、音の方はいかにも1980年代なポップ/ロック路線を突き進んでしまいます。しかしながらファンが求めていたのは、本作と同じ1978年にゲスト参加した二枚のアルバム、マイク・オールドフィールドの『Incantations』とマンダラバンドの『The Eye of Wendor』できかせてくれたような、異界からの妙なるささやきでした。
★★★★☆
Woman in the Wings
Cold Flame