幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

セロニアス・モンク  『アローン・イン・サンフランシスコ +1』 

セロニアス・モンク 
『アローン・イン・サンフランシスコ +1』 

Thelonious Monk 
Thelonious Alone in San Francisco 


CD:Riverside/ビクターエンタテインメント株式会社 
シリーズ:Heritage of Jazz by DIGITAL K2 
VICJ-60352 (1999年) 
定価¥2,520(税抜価格¥2,400) 

 


帯文:

「サンフランシスコの古い集会場でのたった一人のパフォーマンス。
モンクの研ぎ澄まされた感性が心を打つ名ソロ・アルバム”」


1.ブルー・モンク 3:45 
BLUE MONK 
2.ルビー、マイ・ディア 3:58 
RUBY, MY DEAR 
3.ラウンド・ライツ 3:38 
ROUND LIGHTS 
4.エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー 5:37 
EVERYTHING HAPPENS TO ME (Dennis-Adair) 
5.君は奪いぬわが心を 4:02 
YOU TOOK THE WORDS RIGHT OUT OF MY HEART (Robin-Rainger) 
6.ブルーホーク 3:37 
BLUEHAWK 
7.パノニカ 3:52 
PANNONICA 
8.リメンバー 2:43 
REMEMBER (Irving Berlin) 
9.あなたの眼がこわいの(テイク2) 4:18 
THERE'S DANGER IN YOUR EYES, CHERIE (Richman-Meskell-Wendling) (take 2) 
10.リフレクションズ 5:07 
REFLECTIONS 

11.あなたの眼がこわいの(テイク1) 4:04 * 
THERE'S DANGER IN YOUR EYES, CHERIE (Richman-Meskell-Wendling) (take 1) * 

All selections composed by Thelonious Monk, except as indicated. 

* CDボーナストラック 
* Additional track not on original LP 


セロニアス・モンク(p) 
1~4, 7, 9, 11 1959年10月21日 サンフランシスコ録音 
5, 6, 8, 10 1959年10月22日 サンフランシスコ録音 

BLUE MONK / RUBY, MY DEAR / ROUND LIGHTS / EVERYTHING HAPPENS TO ME / PANONICA / THERE'S DANGER IN YOUR EYES, CHERIE (take 2) / THERE'S DANGER IN YOUR EYES, CHERIE (take 1) 
Thelonious Monk (p) 
Recorded October 21, 1959 

YOU TOOK THE WORDS RIGHT OUT OF MY HEART / BLUE HAWK / REMEMBER / REFLECTIONS 
Thelonious Monk (p) 
Recorded October 22, 1959 

Original recordings produced by Orrin Keepnews 
Original recordings engineered by Reice Hamel 
(Fugazi Hall, San Francisco) 

Cover photo by William Claxton 
Cover design by Paul Bacon, Ken Braren, Harris Lewine 

This album is remastered using 20bit A/D converter with DIGITAL K2 interface. 

Mastering engineer: Shigeo Miyamoto under supervision of Tamaki Beck for JVC Studios 

NOISE INFORMATION: 
This recording is taken from the original analog 1950's source material and therefore contains inherent tape flaws, such as hiss, distortion, and analog dropouts. 
These tape flaws become more evident on low level passages and on most fades. 

「このCDを制作するに当たっては、20bit K2スーパー・コーディングを用いてCD化致しました。
尚、この際に1950年代のアナログ・マスター・テープを使用しておりますので、アナログ・マスター・テープ固有のテープ・ヒス・ノイズ、歪み、ドロップアウトといった瑕を含んでおります。御了承下さい。」


佐藤秀樹による解説より◆ 

「この『アローン・イン・サンフランシスコ』は1959年の作品で、モンクがはじめて同地を訪れた時に録音されたものである。モンクのソロ・アルバムにはすでに54年春にパリに出向いた折にヴォーグ・レコードの手によって残されており、そのあと57年にはリバーサイド盤『セロニアス・ヒムセルフ』が作られている。(中略)グループ演奏においては共演者の選定がむずかしく、彼と共演者との間での理解の度合といった点に問題があったことも事実である。結局はモンクの音楽を純粋な形で表現する方法をつきつめていけば、彼自身によるソロ・プレイがベストという答が出てしまう。」
「このアルバムで感じられることは確かにモンクの快調さである。厳しい緊張感に貫かれ、凝縮した表現美を描き出した『セロニアス・ヒムセルフ』のインプロヴィゼーションも素晴らしいが、ここでの彼のプレイはとても自然で明るく、余裕とリラクゼーションに溢れている。それはサンフランシスコの名物でもあるケーブル・カーに乗ったモンクの表情にもうかがえるし、ジャケットの図柄も実に楽しい。因みに写真は西海岸を代表するウイリアム・クラクストンで、デザインはリバーサイドでの数々の名ジャケットを手掛けたポール・ベーコンの担当である。」
「モンクのピアノ・スタイルについてあらためてふれると、そこに聴かれるものはハーレム・ピアノの開祖ともいわれるジェームス P. ジョンソンやファッツ・ワーラーからの流れである。このアルバムに収められている演奏の中にもストライド派のピアノ奏法が彼なりの音感とフィーリングによって導入されているが、古さと新しさが同時に入り混った世界はまさにモンクならではの不思議な空間と味わいを生み出し、聴く人を魅了する。」
「「あなたの眼がこわいの」は彼が古いソング・ブックから偶然に見つけてきた曲であり、これ以後も吹き込みはない。」
「モンクはリバーサイド時代以後もCBSに入って快作『ソロ・モンク』を発表、ほかにもロンドンでのソロ・アルバム(ブラック・ライオン)も残している。」


◆本CDについて◆ 

紙ジャケット(A式シングル/ビニール・コーティング)仕様。投げ込み(十字折り)にトラックリスト&クレジット、佐藤秀樹による解説、オリン・キープニュースによる原盤ライナーノーツ日本語訳(訳:小川隆夫)。

鬱状態がやや重篤化してきたのでセロニアス・モンクのピアノ・ソロをきいてみました。本作はたいへん穏やかで繊細で音数が少なくて小春日和っぽくてよいです。

★★★★★