幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

John Renbourn  『The Nine Maidens』 

John Renbourn 
『The Nine Maidens』 


CD: Transatlantic Records / Flying Fish Records, Inc. 
FF70378 (1985) 

 


1. New Nothynge  3:50 
2. The Fish in the Well  2:24 
3. Pavan d'Aragon  5:38 
4. Variations on My Lady Carey's Dompe  6:07 
5. Circle Dance  4:18 
6. The Nine Maidens 
 a. Clarsach  5:43 
 b. The Nine Maidens  4:50 
 c. The Fiddler  2:40 


Tracks: 3, 4 and 6a, b and c recorded by Joe Partridge, The Airfield, Padstow, Cornwall. 
Tracks: 1 and 5 recorded by Ian Dent, The Daylight Company, Honiton, Devon. 
Track: 2 recorded by Pascal Bomy, C.L.O. Studio, Paris, France. 
Digitally mixed. Mastered on half inch 30 ips tape by John Dent, The Sound Clinic, Chiswick, London 
Produced by John Renbourn 

All compositions by John Renbourn 
Front cover photo by James Wier 
Design/Artwork by Carol McCleeve 


◆本CDについて◆ 

二つ折りブックレット(内側はブランク)にトラックリスト&クレジット、インサート(十字折り)にJohn Renbournによる楽曲コメント&クレジット。

ジョン・レンボーンのグループ活動(John Renbourn Group/Ship of Fools)の端境期に作成されたソロ作(1986年)で、ケルト色が濃いですが、中世・ルネサンス志向のインスト・アルバムという点では『The Lady and the Unicorn』(1970年)に近いです。

#1「New Nothynge」は『Another Monday』(1966年)収録曲「Lady Nothynge's Toy Puffe」のギター二重奏(オーバーダブ)版。
#2「The Fish in the Well」は『The Hermit』(1976年)収録曲「The Princess and the Puddings」の新アレンジ版で、レンボーンの低音ギターとレミ・フロワサール(Remy Froissart)の高音ギターの二重奏。タイトル(井の中の魚)はドルドーニュ県(フランス)を放浪した時の思い出にちなんでいます。
#3「Pavan d'Aragon」は16世紀スペインのビウエラ曲のスタイルで書かれたオリジナル曲(ギター独奏)。中世のアラゴン王国は放浪のトゥルバドールたちが集まったところで、現代の放浪のギタリストであるレンボーンにとっても魅力的な土地であったようです。
#4「Variations on My Lady Carey's Dompe」は1525年頃のイギリスのヴァージナル曲に基づく変奏で、レンボーンのアコースティック&エレクトリック・ギター(オーバーダブ)とトビー・ペドレー(Toby Pedley)のリコーダー。太鼓(レンボーン)はパドストウ(コーンウォール)のメーデー用のものを借用したそうです。
#5「Circle Dance」は中世舞曲サルタレッロ(タランテラの原形)に基づく曲。レンボーンはギター&シターン&太鼓、盟友トニー・ロバーツ(Tony Roberts)がノーサンブリアン・スモールパイプ&ソプラニーノ・リコーダー、それに漁港ブリックハム(デヴォン)のストリート・ミュージシャン、ジェフ・メレル(Jeff Merrell)とジョー・タンコック(Joe Tancock)がそれぞれフィドルとバウロンで参加しています。
#6「The Nine Maidens」は三つのパートからなっていて、ギター独奏の「a. Clarsach」(クラールザッハ)はスコットランドアイルランドのハープの古名で、アーサー王伝説のトリスタン(トリストラム)とも関連付けられています。「b. The Nine Maidens」(九人の乙女)は古代の巨石群で、この曲がレコーディングされたコーンウォール地方のセント・コロンブ/パドストウ間の道沿いにあって、安息日に踊っていた地元の娘たちとフィドル奏者(fiddler)が石に変えられてしまったという民間伝承によっています。レンボーンのギター&リコーダー、トビー・ペドレーのリコーダー、ベン・バロウ(Ben Burrow)のコンガ、ジュリアン(ジュールス)・ディグル(Jules Diggle)のタンバリンによる舞曲。締めくくりはレンボーンのギターとディグルのコンガによる「c. The Fiddler」。

★★★★★ 


The Nine Maidens: Clarsach / The Nine Maidens / The Fiddler