山本精一
『カバー・アルバム第一集』
CD: P-VINE RECORDS
PCD-25154 (2013年)
定価¥2,625(税抜価格¥2,500)
Made in Japan
帯文:
「山本精一の歌の原点となる50~60年代のフォーク・ソングを中心とした10編。」
帯裏文:
「キャリア初となるカバー作品集。ピート・シーガー、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェル、高田渡からジャックスまで、山本精一がこよなく愛したライヴでもおなじみのカバー・ソング全10曲をじっくりと。ギターもタップリ。山本精一のひとつの定番となる作品集です。」
1. Turn Turn Turn [Pete Seeger] 3:41
(詞:Pete Seeger/原詩:旧約聖書コレヘトの言葉より/曲:Pete Seeger)
「この曲はPete SeegerとTHE BYRDSバージョンとのミックス」
2. I Believe In You [Neil Young] 4:33
(詞曲:Neil Young)
3. Circle Game [Joni Mitchell/Buffy Sainte-marie] 4:41
(詞曲:Joni Mitchell)
4. For Absent Friends [Gensis] 1:31
(詞曲:Genesis)
5. オーブル街 [ザ・フォーク・クルセイダーズ] 4:19
(詞:松山猛/曲:加藤和彦)
6. 失業手当 [高田渡] 4:24
(詞:高田渡/原詩:Langston Hughes/訳詞:木島始/曲:高田渡)
7. そして船は行くだろう [あがた森魚/岡田徹] 4:46
(詞:あがた森魚/曲:岡田徹)
8. Ramblin' Boy [Tom Paxton/高石友也/岡林信康] 6:13
(詞:Tom Paxton/訳詞:中山容/曲:Tom Paxton)
9. からっぽの世界 [ジャックス] 9:14
(詞曲:早川義夫)
10. We Shall Overcome [Pete Seeger Version] 4:22
(原曲:Charles Albert Tindley詞曲のゴスペルソング‟We Will Overcome”として知られる)
vocal & guitar: Seiichi Yamamoto
Produced by Seiichi Yamamoto
recording and mastering engineer: Tomohito Nomura
recorded at MOTHER SHIP STUDIO, in Jujou, Kyoto
design: Satoshi Oguri (P-VINE RECORDS)
all photos: Seiichi Yamamoto
◆本CDについて◆
紙ジャケット仕様(E式見開きジャケ)。裏ジャケにトラックリスト、中ジャケにトラックリスト&クレジット、写真図版(モノクロ)。16頁ブックレット(蛇腹)に歌詞、写真図版(カラー/モノクロ)。
#1「Turn Turn Turn」のピート・シーガー・バージョンは『The Bitter and the Sweet』(1962年)、ザ・バーズ・バージョンは『Turn! Turn! Turn!』(1965年)に収録。
#2「I Believe In You」はニール・ヤング『After the Gold Rush』(1970年)収録曲。
#3「Circle Game」のジョニ・ミッチェル・バージョンは『Ladies of the Canyon』(1970年)、バフィー・セイントメリー・バージョンは『Fire & Fleet & Candlelight』(1967年)に収録。
#4「For Absent Friends」はジェネシス『Nursery Cryme(怪奇骨董音楽箱)』(1971年)収録曲。この曲は山本氏とも共演しているカンタベリー系の重鎮リチャード・シンクレア(日本在住)もジェネシス・トリビュート・オムニバスCD『Supper's Ready』(1995年)、ライヴCD-R『What in the World』(2003年)でカバーしていました。
#5「オーブル街」はザ・フォーク・クルセイダーズ『紀元貮阡年』(1968年)収録曲。この曲はNovo Tono仲間のPhewさんも『Five Finger Discount』(2010年)でカバーしていました。
#6「失業手当」は高田渡『ごあいさつ』(1971年)収録曲。
#7「そして船は行くだろう」は岡田徹『架空映画音楽集Ⅱ―erehwonの麓で』(2012年)収録曲。
#8「Ramblin' Boy」のトム・パクストン・バージョンは『Ramblin' Boy』(1964年)、高石友也バージョンは『坊や大きくならないで/高石友也フォーク・アルバム〈第3集〉』(1969年)、岡林信康バージョンは『わたしを断罪せよ』(1969年)に収録。
#9「からっぽの世界」は『ジャックスの世界』(1968年)収録曲。
#10「We Shall Overcome」のピート・シーガー・バージョンはライヴ盤『We Shall Overcome』(1963年)その他に収録。
基本的にアコースティック・ギター弾き語り(多重録音含む)ですが、#5、6はエレキ・ギターが入っています。#7、9のバッキングはエレキ・ギター多重録音です。
全体的な流れとしては、いいこともあれば落ち込むこともあるけれど、それはそういうものとして受け入れて、その向こうにあるなにかを信じることができれば、そのうちなんとかなるだろう(#1~4)、鬱状態に陥ることがあっても(#5)、失業したら家で寝てたのしい夢を見たり(#6)、行く当てもなくさまよって月や流れ星を見たり(#7)、人生という放浪の末に幸あれ(#8)、再び重篤な鬱状態に陥ることがあっても(#9)、その向こうにあるなにかを信じることさえできれば、自分も世界もそのうちなんとかなるだろう(#10)、です。
羅針盤『らご』(1997年)でプロコル・ハルムの「Pilgrim's Progress」の替え歌カバー「Howling Sun」を、Novo Tono(大友良英『山下毅雄を斬る』1999年)でTVアニメ「ガンバの冒険」OP&EDを、羅針盤『会えない人』(2003年ミニアルバム)でニール・ヤングの「Only Love Can Break Your Heart」を、『なぞなぞ』(2003年)で「砂に消えた涙」の替え歌カバー「B1のシャケ」を、等、山本精一の歌モノにおけるカバー曲の占める意義は大きいです。本作はフォークカバーアルバムですがジャックスやジェネシスも入っていて一筋縄ではいかないです。第二集以下はまだ出ていないですが、昭和歌謡や昭和アニメソング、プログレカバーアルバム(ルインズ波止場では「Close to the Edge」等ありますが)なども出るとよいです。
★★★★★
からっぽの世界