『溪間のガザル~カシミールのラバーブ』

『溪間のガザル~カシミールのラバーブ』 
Pakistani Music/The Rubab of Kashmir 
ワールド・ミュージック・ライブラリー 9 


CD: キングレコード株式会社 
KICC 5109 (1991年) 
税込定価¥2,500(税抜価格¥2,427) 

 

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帯文: 

「ヒマラヤの麓に流れる美しき音の織物。
パキスタンの誇り=ラートルの至芸のすべてがここに。」


帯裏文: 

「ある時は砂塵を、またある時はヒマラヤの風雪を運ぶラバーブ。枯淡の絃と、錆びた声の紬ぎ出す音のショールはカシミールの美しき風。パキスタンの誇りムハンマド・スブハーン・ラートルの至芸をここに。」 


1.ラーガ・キルワーニ Rag Kirwani 10:25 
2.ガザル「母の乳を飲んでいたとき」 Ghazal "I Did Not Know the God" 10:36 
3.ラーガ・バイラウ Rag Bhairaw 10:09 
4.ガザル「恋人の美しさのゆえに」 Ghazal "My Lover's Beauty" 8:14 
5.ガザル「彼の歌を聞いたとき」 Ghazal "My Heart Is Burning" 7:48 


ムハンマド・スブハーン・ラートル: ラバーブと歌 
Mohammad Subhan Rathore: Rubab & Voice
アブドル・ガニー: トゥンバクナーリ 
Abdul Ghani: Tumbaknari 

Recorded Aug. 10, 1981 at the No. 2 Studio, King Records, Tokyo 
Producer: Katsuhiko Nishida 
Engineer: Hatsuro Takanami 
監修: 小泉文夫/小柴はるみ 

Cover Design: 美登英利 
Cover Photo: ラバーブ(三上路生 撮影・鈴木晋弘 蔵) 


◆本CD解説(小泉文夫)より◆ 

「このラバーブという楽器は、1木を彫りぬいて作るリュート属の撥弦楽器で、極めてユニークな形をしている。先に胴に皮を張り、幅は狭いが奥行きは深く、しかも胴のほぼ中央の左右に深いくびれがあり、胴の側面に沿って裏側にまで達している。棹は胴からそのまま続いており、先端に行くにつれて次第に細くなる。この棹にはガットを巻いた4段のフレットが付いている。天軫は糸蔵とともに棹の先から少し後ろに湾曲している。
 弦は5~6本のガットないし金属で、演奏弦はそのうちほぼ3本で、互いに完全4度の音程に調弦される。上等な楽器には共鳴弦がついている。奏者は右手にもった小さなピックで弾く。
 ところで、この類のラバーbうはアフガニスタンカシミールには多く見られる。(中略)このラバーブは、現在北インドで用いられているサロッドという撥弦楽器や、南インドに残るスヴァラバットないしスヴァラガットと呼ばれるものの、最も古い祖先といわれ、それらの中間をつなぐ楽器として、スルスリンガルなど、現在ではほとんど使われなくなってしまった楽器だが、絵画や彫刻に見られ、一部の残存物は博物館などに見られる楽器があることから、これらは多分、あの紀元2世紀の仏教遺跡アマラーヴァティの浮彫りに描かれた五弦リュートの子孫とも推察される。つまり、古代の西域亀茲において盛んに用いられた五弦直頸琵琶、すなわち敦煌やキジルの千仏洞に壁画として描かれ、その実物はわが正倉院に残る五弦琵琶と、このアフガニスタンカシミールのラバーブとは遠縁ながらつながりを持っているかも知れないのだ。
 今回パキスタン政府の伝統民俗文化研究所の推薦で選ばれたカシミールの音楽家ムハンマド・スブハーン・ラートルさんは、このラバーブ奏者として、またラバーブ伴奏でうたうカシミールのガザル(小唄風の愛の歌)の歌い手として、パキスタン随一の音楽家である。(中略)彼はフレットの域を越えて、高音域を使うため、楽器をほぼ垂直に構え、独特の風格を備えている。」
「このディスクのために録音された曲は、純器楽曲としてのラーガに基づいた即興演奏と、カシミールの民謡としてのガザルである。特に前者においては、選ばれたラーガの基本的音列を用いて、ラバーブのように音域のせまい素朴な楽器で、これ以上の変化や技巧は望めないほど、その技巧の限りをつくしている。そしてカシミール音楽の特徴の一つであるテンポの上昇に合わせて気分を高揚させる表現はみごとである。
 またガザルでは、歌の内容に即した表情を素朴な歌声の中に織り込み、弾き語りの強味である自在な伴奏のからみで、活々とした演奏を味わうことが出来る。」


◆本CDについて◆ 

1981年にLP「民族音楽ライブラリー/シルクロード音楽の旅 2」シリーズ『パキスタンの音楽/カシミールルバーブ』(K20C-5103)としてリリースされ、1988年に「Ethnic Sound Collection 29」『溪間(たにま)のガザル~カシミールのラバーブ』(K30Y 5129)としてCD化されたものの再リリースで、1999年、2008年のシリーズでは『カシミールのラバーブ』のタイトルで再発されています。

★★★★★ 

 

Rag Kirwani

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Ghazal - My Heart Is Burning

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