『Tarentule-Tarentelle』
タランチュール=タランテラ
Atrium Musicae de Madrid
direction Gregorio Paniagua
グレゴリオ・パニアグワ指揮
アトリウム・ムジケー古楽合奏団
CD: Harmonia Mundi France
HMC 90379
Made in Germany
発売元: 株式会社 ANF コーポレイション
ANF-2080HMA (1990年)
TARENTULE-TARENTELLE
タランチュール=タランテラ
1. Antidotum Tarantulae (Anonyme) 4:07
アンティドトゥム・タラントゥレー(毒グモの解毒剤) 〔作曲者不詳〕
2. Chorea (Anonyme) 2:48
コレア(舞曲) 〔作曲者不詳〕
3. Primus modus Trantella (Anonyme) / Secundus modus Tarantella / Tertius modus Trantella 0:54
タランテラ 第1・第2・第3旋法 〔作曲者不詳〕
4. Les Barricades mystérieuses (F. Couperin) 2:35
神秘な防壁 〔F. クープラン〕
5. Tarentella Neapoli Tonum Phrygium (Anonyme) / D'après une basse obstinée de Buxtehude (G. Paniagua) / Ritornello Tarentella Neapoli (Anonyme) / Laetatus sum. Psalmus 121 (C. Monteverdi) 3:53
ナポリのタランテラ: フリギア旋法 〔作曲者不詳〕/ブクステフーデの固執低音による 〔G. パニアグワ〕/ナポリのタランテラによるリトルネロ 〔作曲者不詳〕/われは喜ぶ: 詩篇 第121番 〔モンテヴェルディ〕
6. Tarentela (Anonyme) 0:38
タランテーラ 〔作曲者不詳〕
7. Tarentella. Alia clausula (Anonyme) 2:40
タランテラ、またの名クラウズラ 〔作曲者不詳〕
8. Tarentelas 1a, 2a & 3a (Anonyme) 1:14
タランテーラ 第1・第2・第3番 〔作曲者不詳〕
9. Tarentella. Tono hypodorico (Anonyme) 1:48
タランテラ: ヒポドリア旋法 〔作曲者不詳〕
10. La Tarantela (G. Sanz) 2:10
ラ・タランテーラ 〔サンス〕
11. Scotish Gigg (Anonyme) 1:16
スコットランドのジグ 〔作曲者不詳〕
12. Tarantela (Anonyme) 0:41
タランテーラ 〔作曲者不詳〕
13. Tarantelas (S. de Murcia) 2:33
タランテーラス 〔デ・ムルシア〕
14. Country Dance: Running Footman (Anonyme) 0:39
カントリー・ダンス「走る歩兵」
15. La Tarentela (D. Fernandez de Huete) 1:39
ラ・タランテーラ 〔フェルナンデス・デ・ウエテ〕
16. Ballet des sorciers (M. Praetorius) 1:29
魔法使いたちの踊り 〔プレトリウス〕
17. Tarantelas I à VI (Anonymes) 4:53
タランテーラ Ⅰ~Ⅵ 〔作曲者不詳〕
18. Nana Andaluza (Anonyme) 1:07
ナーナ・アンダルーサ(アンダルシアの子守歌) 〔作曲者不詳〕
19. Taranto d'Almeria (G. Paniagua) 2:16
タラント・デ・アルメリア 〔G. パニアグワ〕
Atrium Musicae de Madrid
direction Gregorio Paniagua
Enregistrement octobre 1976
Prise de son Alberto Paulin
Illustration: J. Bosch, Le Jardin des Délices (détail)
◆本CD別冊「解説」(濱田滋郎)より◆
「飽くことなき古楽探究の基盤に立つパニアグワは、17世紀ドイツのすぐれた音楽学者アタナジウス・キルヒャー(1602~1680)の著作をはじめ、ヨーロッパ諸国の、ふだんは顧みられぬ古文献から、〈tarantella〉または〈tarantela〉(スペイン語では l の字がひとつ抜ける)の数々を選び出し、私たちの前に示してくれる。ことに由緒正しいスペイン人として故国の古文献発掘に力を注ぎ、マドリード国立図書館やバルセローナ中央図書館に所蔵される作者不詳の写本のほか、17世紀きってのギタリスト兼作曲家ガスパール・サンス、その後輩で18世紀初頭にスペイン王妃つきのギタリストだったサンティアゴ・デ・ムルシア、同じ頃のハープの名手ディエゴ・フェルナンデス・デ・ウエテなどによる、まことにめずらしい楽曲を明るみに引き出している。かと思えば、大クープラン(1668~1733)の《神秘な防壁》や大モンテヴェルディ(1567~1643)の《ヴェスプロ(聖母マリアの夕べの祈り)》から取った一節、ミヒャエル・プレトリウス(1571~1621)の舞曲のひとつ、イギリス人ジョン・プレイフォード(1623~1685)のカントリー・ダンスなどをさりげなくプログラムにはめこみ、なるほどこれもタランテラか……と思わせてしまうところが心にくい。(中略)そのうえ、末尾には突如として正真正銘アンダルシアのフォルクローレが飛び出してくる。」
◆本CD別冊「タランティズモ(毒グモ症)論」(パニアグワ)より◆
「さて、イタリア東南部はタラント(Taranto)の近辺に、地名にちなみタラントゥラ(tarantula)の名をもって知られる一種のクモが多産いたします。この名称はリコーサ(Lycosa)属のクモ幾種かを包括いたしますが、いずれにせよ体長約2センチから3センチ・メートルのもので、ギリシャ、南フランス、スペイン、チュニジア等々地中海沿岸の諸地方、ことに乾燥した、陽光の強い地帯に広く分布しております。タラントゥラに咬まれますと(中略)、その疼痛たるや甚だしく、古代このかた人びとはこれによって生ずる害毒を誇張するあまり、タラントゥリズモもしくはタランティズモと呼ばれる病がそこに誘発されると信じてまいりました。(中略)タラントゥラによる疼痛をおぼえた患者は、とある大いなる悲哀感、悩ましい無気力感、いわゆる死にそうな気持に襲われます。しかも引きつづき、なりふり構わずやみくもに踊り出したいという、止みがたい欲求に駆られるのであります。これは抑えがたい痙攣(けいれん)をともなう欲求でありまして、これを鎮め治療に導くには、急速なリズムを持つ音楽によるしか方法はなかったのです。このさいの音楽は、おおむね高い音を発する、これにふさわしい楽器によるものでなければなりません。音楽はまた、患者それぞれの体質に応じたものが要求されます。患者はこの音楽を求めて絶望的な叫びを挙げつつ、幾時間を通じ、時には二日にもまたがって、ついに力尽きるまで飽くことを知らず踊りつづけるのであります。さすがに何度か休止の時間が訪れますが、そのさい周囲の人びとは病人をよく包み、発汗をうながすために精のつくスープ、およびワインを与えます。このことは、同じく力尽きるまで踊りのために伴奏を付き合わねばならぬ楽師たちに対しても同様であります。かくして、しかし、無事あらゆる毒を流し去ったときにのみ、病いは完癒するのです。」
◆本CDについて◆
別冊解説書(日本語)付き輸入盤CD。
原盤ブックレット(全16頁)に「Dr. Don Gregorio Paniagua Rodriguez」による解説「Les Tarentelles: Musicotherapie traditionnelle」(仏・英・独)。別冊解説書(全16頁)に「解説」(濱田滋郎)、「タランティズモ(毒グモ症)論」(ドクトル・ドン・グレゴリオ・パニアグワ/訳:濱田滋郎)。
オリジナルLPは1977年仏ハルモニア・ムンディ。日本盤LPは1983年に『古楽療法「タランテラ」』としてビクターから発売されていて、本CDの別冊解説書に掲載されている文章はそのLPより再録されたものです。
★★★★☆
Gregorio Paniagua | Tarentule-Tarentelle | A
Gregorio Paniagua | Tarentule-Tarentelle | B1
Gregorio Paniagua | Tarentule-Tarentelle | B2
nekonomorinekotaro.hatenablog.com
nekonomorinekotaro.hatenablog.com