幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

La Reverdie 『Carmina Burana』 

CARMINA BURANA 
SACRI SARCASMI 
LA REVERDIE 

ほんとうのカルミナ・ブラーナ
~中世写本『ブラヌス歌集』、その聖なる風刺性~
アンサンブル・ラ・レヴェルディ古楽器使用)


CD: Arcana / 551 MEDIA SRL 
A 353 (2009) 
Stampato in Italia da Pozzoli S.p.A. 

株式会社 マーキュリー
Mer-A353 
2,800円(税込 2,940円)

 


帯文:

「オルフの傑作の、向こう側――遠い中世に響いていた、この歌集本来の音楽とは。
ヨーロッパ最前線の中世音楽集団が、周到な作品研究の末たどりついた、ユニークな美質。」


帯裏文:

「吟遊詩人たちの歌ではなく、教会のための歌でもない――十九世紀の初め頃、ドイツ南端のベネディクトボイエルン修道院で発見された一冊の古い中世写本『ブラヌス歌集(カルミナ・ブラーナ)』には、教訓的な歌や恋歌に混じって、社会風刺をこめた歌あり、鳥類についての歌あり、哲学にまつわる歌あり・・・と、きわめて知的でありながら同時に驚くほど人間らしく、精細あざやかに中世人の心意気を伝えてくれる詩歌の数々が掲載されていたのでした。二〇世紀には作曲家オルフの合唱作品の歌詞に使われ、世界的に知られるようになったこの写本はしかし、「歌集」と題されながらも楽譜らしきものはほとんどなく、古楽器奏者たちがこれらの詩歌を「演奏」するためには、同時代の資料を徹底的に比較・検討し、適切なメロディを再構築するところから始めなくてはなりません。現代における中世音楽演奏の世界で他の追従を許さぬ実績を築いてきたイタリアの精鋭集団ラ・レヴェルディは、豊富な研究実績と現場経験を頼りに、その比類ない音楽性に最新の研究成果を反映させ、彼らにしかできない、生のままの中世をありありと彷彿させる絶妙解釈を打ち立てました。近年では北イタリア出自説も囁かれる『ブラヌス歌集』――生々しい中世の息吹の奥深さと美しさが、いま、ここに。」


CARMINA BURANA 
SACRI SARCASMI 


1. Bonum est condidere  4:33 
主を信じることは善なること
[1v, 2f, 3v, 3sy, 4v, 5p, 6v, 7v, 8v] 
2. Adtende lector!  0:42 
前口上:この写本を読む者、心せよ
[6vr] 
3. Dic Christi Veritas  2:37 
教えてください、救世主の真実(単旋律版)
[1v, 2v, 3v, 4v] 
4. Dic Christi Veritas  6:17 
教えてください、救世主の真実(多声版)
[1v, 2v, 3v, 4v] 
5. Heu nostris temporibus  1:36 
ああ、我らの時代に
[5p, 6vr] 
6. Flete perhorrete  4:33 
嘆くがいい、嘆かわしいのだから
[1v, 2v, 2f, 3v, 3vl, 4v, 4ct, 5p, 6v, 7v, 8v] 
7. Ad cor tuum revertere  5:53 
自分の心を、よく覗いてみろ
[3v, 3vl, 4ap] 
8. Curritur ad vocem  2:13 
金がしゃらしゃら、たっぷりあるうちは
[5v, 6v] 
9. Omittamus studia  7:15 
春は過ぎ去って久しい
[1v, 2v, 2vl, 3v, 3vl, 4v, 4ap, 5v, 5cm] 
10. Carmen ante litteram [D. D. Sherwin]  3:34 
ナイトハルト・フォン・ノイエンタールの歌によるD. D. シャーウィンの器楽曲
[1s, 1l, 2f, 3vl, 4ap] 
11. Fas et nefas  2:49 
公平と不平は、紙一重
[1v, 1l, 2v, 2vl, 3v, 3vl, 4v, 4ap, 5v, 6v, 7v, 8v] 
12. Procurans odium  2:32 
憎しみの道は、いつもひねくれている
[1v, 3v, 4v] 
13. Ave nobilis venerabilis  3:24 
ごきげんよう、気高くもめでたきマリア様
[1v, 2v, 3v, 3c, 4v, 5cm] 
14. La Quarte Estampie Royal  2:15 
王のエスタンピ 第4番
[1l, 2f, 3vl, 4ap, 5p] 
15. Tempus transit gelidum  4:47 
凍てつく季節は過ぎ去った
[1s, 3v, 3c, 4v, 4ap] 
16. Olim sudor Herculis  7:38 
そのむかし、ヘラクレス
[1v, 2v, 3v, 3vl, 4v, 5v] 
17. Eunt ambe virgines  1:52 
前口上:乙女ふたり、どちらも気高き美しさ
[6vr] 
18. Frigus hinc est horridum  3:32 
おそろしい寒さは過ぎ去った
[1v, 1l, 2v, 2vl, 3v, 3vl, 4v, 4ap, 4ct, 5v, 5p, 6v, 7v, 8v] 

Durata totale  69:23 


LA REVERDIE 

アンサンブル・ラ・レヴェルディ
CLAUDIA CAFFAGNI (1): voce (v), liuto (l), salterio (s) 
クラウディア・カッファーニ:歌、リュート、プサルテリウム(中世の琴の一種)
LIVIA CAFFAGNI (2): voce (v), flauti (f), viella (vl) 
リヴィア・カッファーニ:歌、笛、弓奏ヴィエル
ELISABETTA DE MIRCOVICH (3): voce (v), viella (vl), symphonia (sy), campane (c) 
エリザベッタ・デ・ミルコヴィチ:歌、弓奏ヴィエル、シンフォニア(中世ハーディガーディ)、鐘
ELLA DE MIRCOVICH (4): voce (v), arpa (ap), cithara teutonica (ct) 
エッラ・デ・ミルコヴィチ:歌、中世ハープ、シトール(中世ギター)
DORON DAVID SHERWIN (5): voce (v), cornetto muto (cm), percussioni (p) 
ドローン・デイヴィッド・シャーウィン:歌、ミュート・コルネット木管楽器)、打楽器
ANDREA FAVARI (6): voce (v), voce recitante (vr
アンドレア・ファヴァーリ:歌、語り
PAOLO BORGONOVO (7): voce (v) 
パオロ・ボルゴノーヴォ:歌
MATTEO ZENATTI (8): voce (v) 
マッテオ・ゼナッティ:歌


Registrazione realizzata nella chiesa del convento francescano di Monte Mesma, Ameno (Italia) 
dal 13 al 17 ottobre 2008, a cura di Michel Pierre e Anne Decoville. 
Montaggio digitale: Anne Decoville 
Produzione: 551 Media SRI. 

In copertina: "Monaco e dama alla gogna sono ammoniti dal cavaliere dellla dama". Dettaglio dalle *Decretali di Smithfield (Decretali di Gregorio IX), Francia?, 1340 circa (London, British Library). 

Redazione editoriale: Alessandro Ponti 
Frogetto grafico: Mirco Milani 

録音:2008年10月13~17日、アメーノ(イタリア北東部ピエモンテ地方)、フランチェスコ会モンテ・メスマ修道院教会堂
録音技師:ミシェル・ピエール、アンヌ・ドコヴィル
編集:アンヌ・ドコヴィル
デザイン:ミルコ・ミラーニ
編集:アレッサンドロ・ポンティ
作監修:ジョヴァンイ・スガリ
ジャケット絵画:『スミスフィールド教皇勅書』(グレゴリウス9世勅書)より「修道士と婦人、足枷にかけられ、婦人の追従者である騎士に諭される」(おそらくフランス、1340年頃)ロンドン、英国図書館(ブリティッシュ・ライブラリ)所蔵


◆本CDについて◆

輸入盤国内仕様。三面デジパック。ブックレット(全80頁)にトラックリスト&クレジット、Ella de Mircovichによる解説「Sacri Sarcasmi: I paradossi dei Carmina Burana」(伊文)、「Sacred Sarcasm: The Paradoxes of the Carmina Burana」(英訳)、「Sarcasmes Sacrés: Les paradoxes des Carmina Burana」(仏訳)、「Sacri Sarcasmi: Die Paradoxa der Carmina Burana」(独訳)、La Reverdieによるコメント「Il Codex Buranus: provenienza, datazione e ricostruzione melodica」(伊文)、「The Codex Buranus: Origins, Date and Melodic Reconstruction」(英訳)、「Le Codex Buranus: Sources, Datations, et Reconstruction Mélodique」(仏訳)、「Der Codex Buranus: Herkunft, Datierung und melodische Rekonstruktion」(独訳)、ラテン語歌詞&対訳(伊・英・仏・独訳)、「Autori/Authors/Auteurs/Autoren」、「Monte Mesma」(録音場所について)(伊・英・仏・独文)、アーティスト写真(モノクロ)4点、「Monte Mesma」写真(モノクロ)2点。投げ込み(二つ折りクロス巻き三つ折り×1、十字折り×2)にトラックリスト&クレジット、エッラ・デ・ミルコヴィチによる「解題――『ブラヌス歌集』、その聖なる風刺性」(訳・補:白沢達生)、アンサンブル・ラ・レヴェルディによる「『ブラヌス歌集』概要」(訳・補:白沢達生)、「演奏者紹介」、「各曲解説/テクスト試訳」(テクスト翻訳・注:白沢達生)。

イタリアの古楽アンサンブル、ラ・レヴェルディのCD第17作(アルカナ・レーベルでは第14作)。本作では、「カルミナ・ブラーナ」の、従来の「反社会的知識人(ゴリアール)」による「場末のざれ歌」といったイメージとは異なる、聖職者たちによる「あくまで教会の倫理観に反しないようにしながら、(中略)どうにか恋愛にまつわる詩も愉しんでみたい」という「Sacri Sarcasmi」(聖なる皮肉)の表現に焦点を当てています。#10、14はインスト曲です。

★★★★★