幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『カザフの音楽』

『カザフの音楽』
Music of Kazakhstan 
ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー 53 
中央アジアカザフスタン 


CD: キングレコード株式会社 
KICW 85073/4 (2008年) 2枚組 
定価¥2,800(税抜価格¥2,667)

 

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帯文: 

中央アジアカザフスタンはドンブラという国民楽器を持っている。
その弾き語りやソロ演奏などを中心とした代表曲ベスト。」


帯裏文: 

「時にモンゴルを思わせる朗々たる歌唱。トルクメンの持つ軽やかな絃の響き。トクタガーノフ・アイトジャンの見事なドンブラ・ソロを聴くと、ロシアがバラライカに求めたものが判るような気がします。弓奏のコブィズを聴くと、ユーラシア東部の精霊信仰の輪郭が見えるような。カザフは深いというのに納得。」
「★1992年発売の
KICC-5166、
1995年発売の
KICC-5199と
同内容です。」


Disc 1 

〈ドンブラ弾き歌い〉 
1.コシタス(エスタイ作曲) 5:19
Koshtas (composed by Estai)
2.パンコイレク(ムヒト作曲) 2:31
Pankoilek (composed by Mukhit)
3.ブルブルィム(カザフ民謡) 2:57
Bulbulym (Kazakh folksong)
4.トルクィン(イブライ作曲) 3:47
Tolkyn (composed by Ibrai)
5.バルハディシャ(アハン作曲) 3:43
Balkhadisha (composed by Akhan)
6.スルジェケイ(カザフ民謡) 4:28
Surzheki (Kazakh folksong)
7.トリャガイ(ジャカノフ作曲) 7:35
Toliagai (composed by Zhakanov)
8.アルダク(カザフ民謡) 5:42
Ardak (Kazakh folksong)

〈コブィズ独奏〉
9.ジャルグィズ・アヤク(アビケイ作曲) 3:35
Zhalgyz ayak (composed by Abikei)
10.ジョルドィ・コヌィル(イフラス作曲) 4:12
Zholdy konyr (composed by Ikhlas)
11.エルデン(イフラス作曲) 4:39
Erden (composed by Ikhlas)
12.カザン(イフラス作曲) 3:59
Kazan (composed by Ikhlas)
13.シヌィラオ・クス(イフラス作曲) 4:24
Shynyrau kus (composed by Ikhlas)
14.カンバル・バトィル(イフラス作曲) 3:53
Kambar batyr (composed by Ikhlas)
15.アック(カザフ民謡) 4:12
Akku (traditional piece)


Disc 2

〈ドンブラ独奏〉 
1.アクサク・クラン(足の悪い野生の馬) 5:23 
Aksak kulan 
2.シュバル・キュイク(まだらのかもしか) 6:24 
Shubar kyuik 
3.コヌィル・カズ(茶色の鵞鳥)(アシェムタイ作曲) 3:54 
Konyr kaz 
4.サルィ・オゼン(黄金の湖) 2:36 
Sary ozen 
5.セキルトペ(遊び) 1:57 
Sekirtpe 
6.カラジョルガ(黒い馬に乗っていく) 1:49 
Kara zhorga 
7.アブィル(アブィル作曲) 3:55 
Abyl 
8.コスバサル 4:22 
Kosbasar 
9.サルィ・ジャイラウ(黄金の牧草地)(タッティンベト作曲) 2:37 
Sary zhailau (the Golden steppe)  
10.バルジャン(カザンガプ作曲) 5:30 
Balzhan 
11.コヌィル(アビカン・ハセーノフ作曲) 3:53 
Konyr 

〈ドンブラ弾き歌い〉 
12.スル・コクシェ(麗しいコクシェ山よ)(イブィライ作曲) 2:33 
Sulu Kokshe (Oh, beautiful Kokshe!) 
13.ビズディン・ジャクタ(セイフリン作曲) 3:14 
Bizdin zhakta 
14.カザフ民謡「アピトク」 3:21 
Apitok 
15.カザフ民謡「シムィル」(高揚した気分) 2:16 
Shymyr 
16.カザフ民謡「ドゥニェ・アウ」 4:05 
Dunie-au 
17.カザフ民謡「ザマンダス」(同じ世代の人) 3:29 
Zamandas 
18.カザフ民謡「グリデライム」 2:36 
Gul'deraiym

口琴
19.口琴独奏 1:00 
Shankobyz tune (Jew's Harp Solo)


クルィシェヴァ・カパシ(ドンブラと歌:Disc 1, #1-3/Disc 2, #12-18) 
dombra: Kulysheva, Kapash
バイボスィノフ・カイラト(ドンブラと歌:Disc 1, #4-8/口琴:Disc 2, #19) 
dombra: Baibosynov, Kairat
ウンベトバーエフ・スマグル(コブィズ独奏:Disc 1, #9-15) 
kobyz: Unbetbaev, Smagul
トクダガーノフ・アイトジャン(ドンブラ独奏:Disc 2, #1-11) 
dombra: Toktaganov, Aitzhan

録音: 1991年6月12日、アオイスタジオ 
Recorded: 12 June 1991, AOI studio Tokyo
Director: Hoshikawa Kyoji
Engineer: Takanami Hatsuro
Licenced by MIN-ON

Cover Design: mitografico
Cover Photo: ドンブラ(国立民族学博物館所蔵/富浦隆則撮影)


◆本CD解説(森田稔)より◆ 

「カザフ人はトルコ系の言語を話す民族で、歴史にこの名で登場するのは、15世紀のことである。(中略)カザフというのはトルコ系の言葉で放浪者、ないしは冒険者を意味する。」
「カザフ人は遊牧民であり、イスラム教徒であるので、支配民族のロシアとは長い軋轢の歴史を重ねている。音楽は民族の自覚を保つものとして、今世紀に入るまで強力な伝統を守ってきた。」
「カザフの伝統音楽では、歌謡形式と器楽形式とそれぞれに発達してきたが、歌い手では叙事詩ジルを歌うジルシまたはジラウ、歌謡アンを歌うのはアンシ、詩オレンを語るのはオレンシなどと呼ばれる。器楽曲はキュイと呼ばれ、一般に、物語的な標題を持っているが、キュイの演奏家キュイシは、まずその物語を話してから、「では、私のドンブラー(またはコブィズなど)が語る物語を聞いて下さい」といって、キュイを弾き始めるという。その他に、アクィンという即興的に作詞作曲する総合的な音楽家がいて、尊敬を集めている。」
「楽器はドンブラーがもっとも普及している。ドンブラーはロング・リュートで、指で打ちつけたり、爪弾くようにして演奏する。独奏にも用いられるし、歌の伴奏にも利用される。(中略)コブィズは弓奏の楽器で、19世紀まではバフスィと呼ばれるシャーマンの専用の楽器であった。(中略)その倍音の多い、複雑な響きは、現在でも神秘的な雰囲気を伝えてくれる。」


◆本CDについて◆ 

二枚組用ジュエルケース(10mm厚)入。ブックレットに解説(森田稔)と英訳、写真図版(モノクロ)8点、「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー」CDリスト。ブックレット裏表紙に写真図版(カラー)1点。
ディスク1は1992年リリース『遊牧の叙事詩~カザフの音楽Ⅰ』(KICC 5166)と、ディスク2は1995年リリース『風響のドンブラ~カザフの音楽Ⅱ』(KICC 5199)と同一内容です。1999年のシリーズで出た『カザフの音楽―ステップの風』(KICW-1047はこの二枚から編集した一枚ものです(ディスク2, #1-4,9,12,14/ディスク1, #1,4-6,9-12,15/ディスク2, #19)。

★★★★☆ 


Koshtasu (composed by Estai)

youtu.be

Zholdy Konyr (composed by Ikhlas)

youtu.be

Shynyrau Kus (composed by Ikhlas)

youtu.be

 

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