『シェーンベルク: ワルソーの生き残り/オーケストラのための変奏曲/オーケストラのための5つの小品/映画の一場面への伴奏音楽』
ピエール・ブレーズ指揮/BBC交響楽団/語り手: ギュンター・ライヒ
LP: 株式会社CBS・ソニー
25AC 434 (1978年)
¥2,500
帯文:
「シェーンベルクとブレーズ、
二人の間に交わる感情や理知の動きが創造するおそろしいまでのドラマ―鍵谷幸信」
「昭和53年度文化庁芸術祭参加」
シェーンベルク
Arnold Schoenberg
SIDE A
1.ワルソーの生き残り 作品46※ 7:14
A Survivoir From Warsaw, Op. 46
語り手・男声合唱・オーケストラのための
テキスト=アーノルト・シェーンベルク
2.管弦楽のための変奏曲 作品31 19:30
Variations For Orchestra, Op. 31
SIDE B
1.管弦楽のための5つの小品 作品16
Five Pieces For Orchestra, Op. 16
Ⅰ 1:59
Ⅱ 4:40
Ⅲ 2:48
Ⅳ 2:01
Ⅴ 3:28
2.映画の一場面への伴奏音楽 作品34 8:22
Accompaniment To A Cinematographic Scene, Op. 34
ピエール・ブレーズ指揮
Pierre Boulez
BBC交響楽団・合唱団
BBC Symphony Orchestra
語り手: ギュンター・ライヒ※
Günter Reich
プロデューサー: ポール・マイヤース
エンジニア: ロバート・グーチ、マイク・ロス=トレヴァー
録音データ: 1976年10月録音
◆本LP解説(武田明倫)より◆
「《ワルソーの生き残り》作品46」
「1947年8月、クーセヴィツキー財団の依嘱によって作曲された作品である。シェーンベルクはナチス政権が樹立された1933年、ドイツを離れるとともに祖先の宗教であるユダヤ教に改宗し、自らの民族的・政治的立場を明確にした。1942年には皇帝に即位したナポレオンを罵倒したバイロンの同名の詩による《ナポレオンへのオード》(作品41)を作曲しているが(もちろん、ここではヒトラーをナポレオンに見立てている)、この《ワルソーの生き残り》は前者と対をなす、いわゆる〈アンガージュマン〉(政治参加)の作品である。彼はナチズムの嵐の吹き荒れるワルソーから奇蹟的に脱出してきたユダヤ人の話にもとづいて、自らテクストを書いた。」
「《管弦楽のための変奏曲》作品31」
「シェーンベルクがその〈12音技法〉に到達したのは、弟子のルーファーの証言によると(現在これ以外の証言はない)、1921年の夏のことだった。」
「1926年から28年にかけて作曲された《管弦楽のための変奏曲》は、この技法をオーケストラ曲に適用した最初の作品であり、同時に彼のオーケストラ曲の頂点をきずく名作ともなった作品である。シェーンベルクはつねづね自分がいかにドイツ音楽の伝統に忠実な作曲家であるか、ということを述べているが、彼はこの最初のオーケストラを用いた12音技法による作品を作曲するにあたっても、〈変奏曲〉という、きわめて伝統的・保守的な形式を選んでいる。」
「《管弦楽のための5つの小品》作品16」
「シェーンベルクが無調という未知の世界に突入したのは1908年、《第2弦楽四重奏曲》(作品10)の第4楽章においてであったが、この作品はその翌年、1909年に作曲されている。」
「この作品は1912年の最初の出版の際には、各曲に標題は与えられていなかったが、出版社の要求によって1922年版から、第1曲から順に、《予感》、《過去》、《色彩》、《急転回》、《オブリガート・レシタティーヴ》という標題が付けられた。」
「《映画の一場面への伴奏音楽》作品34」
「1930年、12音技法によって作曲されたこの作品は、無声映画のためのものと思われるが具体的な映画の存在は知られていないし、また実際に映画の伴奏音楽として演奏されたこともない。たぶん映画そのものはシェーンベルクのイメージとしてのみ存在したと考えるべきだろう。続けて演奏される音楽は3つの部分から成り、それぞれ《威嚇する危険》、《恐怖》、《破局》という標題が付されている。」
◆本LPについて◆
厚紙シングルジャケット、インサートにトラックリスト&クレジット、武田明倫による解説、「ワルソーの生き残り」テキスト対訳(柴田南雄)。
★★★★☆
Accompaniment to a Film-Scene
BBC Symphony Orchestra, Pierre Boulez
Broadcast: 4 August 1974