幻の猫たち 改訂版

まぼろしの猫を慕いて

『韓国/江陵の巫楽(ムーダン)』

『韓国/江陵の巫楽(ムーダン)』 
Shamanic Music in Gangneung 

ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー 143  
東アジア/韓国


CD: キングレコード株式会社 
KICW 85184 (2008年)  
定価¥1,800(税抜価格¥1,714)

 

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帯文: 

「韓国東海岸地方に残るシャーマン儀礼祭、江陵・端午祭の中からクッの儀礼を収録。打楽器の強烈な響きと巫女の舞。」


帯裏文: 

世界遺産江陵端午祭』の巫楽は、韓国人の芸能の故郷。というより、サムルノリなどうねるリズムのルーツ。パンソリを凌ぐ切々たる歌唱。歌うのは人間文化財の賓順愛。巫楽は韓国人の魂の根元と言い換えてもいいでしょう。演奏は一族屈指の名手ばかり。なかでも聴きものは宋東淑の杖鼓と金明大の小金。」

「★2001年発売の
KICC-5749と
同内容です。」


1.竿降ろし Daenaerim 10:09 
2.プノリ Puneori 5:07 
3.将師縁譚 Jangsupuri 5:57 
4.コーム Geomu 7:54 
5.サモジャン Samojang 13:14 
6.死者縁譚 Sajaepuri 9:12 


演奏:韓国江陵市巫楽グループ江陵端午祭保存会 
Gangneung Danoje Preservation Association 

宋東淑:杖鼓(チャンゴ) Song Dongsuk: janggu 
金張吉:鉦(ケンガリ) Kim Jangkil: ggoegari 
金明大:鉦(ケンガリ) Kim Myeongdae: ggoegari 
宋正煥:鉦(ケンガリ) Song Jeonghwan: ggoegari 
金明光:銅鑼(チン) Kim Myeonggwang: jing 
賓順愛:神歌 Bin Sunae: song 

録音:1998年9月24日、キング関口台スタジオ 
Recorded Sep. 24, 1998, King Sekiguchi-dai Studio 
監修:黄縷詩 Supervision: Hwang Rusi 
協力:茂木仁史、朴原模 
Producer: Hoshikawa Kyoji 
Engineer: Suga Takao 

Cover Design: mitografico 
Cover Photo: 扇(クッパン)(国立民族学博物館所蔵/富浦隆則撮影) 


◆本CD解説「巫楽/江陵端午祭のクッ」(茂木仁史)より◆ 

「【巫楽とクッ】巫楽(ムアク)とは、巫女(ムーダン)による「クッ」という祭祀儀礼の中で行なわれる音楽と舞踊のこと。「クッ」は日本の神楽に似て、神を迎え、遊び、送るもの。死者の霊を慰めたり、家の祝福、病気平癒、村の平和と安全などさまざまな願い事を「クッ」に託す。短いものでは半日、長ければ数日間を費やして行う。」

「【江陵端午祭朝鮮半島東海岸にある江陵市で、旧暦の端午の節句を中心に五日間行なわれる韓国でも最大級のお祭り。」

「【江陵・巫楽の人々】このCDで演奏しているのは江陵で活躍する世襲巫の一族。江陵の巫女の正統を継ぐ賓順愛を中心に、一族でも屈指の名人である楽士五人で編成されている。賓順愛は2000年7月に若くして人間文化財(韓国の人間国宝)に指定された。(中略)砂時計型胴の締太鼓である杖鼓(チャンゴ)を打つのが長老の宋東淑。かつて人間文化財に指定されかかったが、選定に携わる者が家を訪ねた時に役人を畏れて逃げてしまったため、指定を逃したという逸話を持つ。(中略)彼を盛り立てるように、一族の中堅・若手が脇を固める。楽器編成はシンプルで、杖鼓のほかは金属の楽器が二つ。日本の鉦を薄くしたようなケンガリと、チンという銅鑼が使われる。ケンガリは単純な形態ながらも饒舌な表現力を持つ楽器で、二~三人で演奏して多彩な音色と複雑なリズムを刻む。」


◆本CDについて◆ 

ブックレット(全16頁)にトラックリスト&クレジット(英文)、解説「巫楽/江陵端午祭のクッ」(茂木仁史)、「曲目解説」(朴原模)、英文解説、写真図版(モノクロ)8点、「ザ・ワールド・ルーツ・ミュージック・ライブラリー」CDリスト。インレイにトラックリスト&クレジット(邦文/英文)。

世界宗教音楽ライブラリー 49」『韓国広陵の巫楽』(2001年)の再リリースです。

★★★★★ 


死者縁譚


◆本CD「曲目解説」(朴原模)より◆

「あの世に行けなく苦しみや憎しみを抱いたままこの世を彷徨う死者の霊魂は祟りとして人々に危害を加える。各演目の最後には、身寄りのない死霊を鎮める「死者縁譚」が行われる。巫女は盃と神刀(シンカル)をもち、恨みを持って死んでいった者、海で死んだ者、北門に出入りする者など、様々な無名の死霊の鎮魂をする。」